カマキリ

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生きた獲物を大きな鎌でがっしりと捕え、むしゃむしゃと捕食してしまう昆虫界のハンター “カマキリ”。そう聞くと、いかにも恐ろしい危険な昆虫という印象ですが、大きな眼のついた三角形の顔を自由に動かす様子や、体を反らして様々なポーズで相手を威嚇する姿にはどことなく愛嬌があり、昔から子どもたちに人気の高い昆虫です。

“カマキリ” というの名前の由来には、「鎌で切る」から来たという説と「鎌を持つキリギリス」から来たという説があるそうですが、そもそもカマキリの鎌は敵を切るための武器ではなく、獲物をがっしり捕らえるためのものです。またカマキリは、色や形からバッタやキリギリスの仲間と思われがちですが、バッタやキリギリスではなく、ゴキブリやシロアリなどと同じ仲間に属します。

カマキリの腹部が平べったいところは、バッタよりゴキブリに近い特徴だと言えます。

カマキリの腹部が平べったいところは、バッタよりゴキブリに近い特徴だと言えます。

バッタやキリギリスは後脚が発達しているのに対し、カマキリは前脚が鎌状に発達しています。

バッタやキリギリスは後脚が発達しているのに対し、カマキリは前脚が鎌状に発達しています。

カマキリは秋に交尾・産卵を行ない、生まれた卵は翌年の春に孵化します。チョウやガの幼虫はイモムシの姿で生まれますが、カマキリの幼虫は卵からかえった時点でほぼ成虫と同じ姿をしています。そして蛹にはならずに何回かの脱皮を繰り返しながら、真夏から秋にかけて大きく完全な大人へと成長します(不完全変態)。また冬を越すカマキリはおらず、交尾・産卵を終えるとほとんどのカマキリはその数カ月の生涯を閉じます。

カマキリの不思議な特徴・生態は?

●カマキリが多くなるのは「秋」?
カマキリをよく目にする季節といえば「秋」という印象が強いのですが、カマキリの数が秋に多くなるわけではありません。春に孵化したカマキリは幼虫の段階から狩りを行ない、生涯を通じて積極的に獲物を捕食し続けますが、まだ大人になり切れていない春や初夏は体が小さいためあまり目立たず、秋になって充分に成長すると、私たちが見つけやすくなるのです。
●カマキリを見つけるなら「花」のまわり?
カマキリを見つけるなら花を探せ!っていうくらい、カマキリは花のすぐ下で自分の体を葉・茎に擬態(体の色・形などを周囲の物や他の動植物に似せること)してじっとしていることが多いです。でも、花の蜜を吸うわけでもないカマキリが、なぜ花の周りにいるのでしょう? それは、花にやってくる虫たちを待ち伏せて狩りをするから。カマキリは自分から獲物を探し回って動くのではなく、獲物のくる場所でじっと待ち伏せて捕まえるタイプ。だから獲物の集まりやすい花のすぐ近くは絶好の狩り場というわけです。

カマキリは動かずにじっとして葉や茎と一体化しながら獲物を待ちます。

カマキリは動かずにじっとして葉や茎と一体化しながら獲物を待ちます。

セイタカアワダチソウで待ち構えて、キタテハを捕えたオオカマキリ。

セイタカアワダチソウで待ち構えて、キタテハを捕えたオオカマキリ。

●どうして同じ種類のカマキリに「茶色」と「黄緑」がいるの?
カマキリにはちょっと変わった特徴があります。それは、同じ種類のカマキリでも色の違う個体がいるということ。たとえば、オオカマキリには緑色のオオカマキリと茶色のオオカマキリがいます。その理由についてはよく分かっておらずいろんな説があるのですが、はっきりしているのは育った場所や環境によって色が決まるのではなく、遺伝子で決まるということ。生まれて2齢目まではみんな同じ薄茶色で、3齢目から黄緑と薄茶色に別れていきます。

黄緑色のハラビロカマキリ。

黄緑色のハラビロカマキリ。

2024.07.19:masato0525:[コンテンツ]

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