「めくってもめくってもページが黄色のタンポポで埋め尽くされている。台紙に25輪ずつ貼られた花は8664輪。大阪市のビルの一室に過去2年分のタンポポが保管されている。セイヨウタンポポなど外来種と、カンサイタンポポなどの在来種の「勢力図」をつくるためだ。半世紀前、自然破壊が進むと外来種が増えると考えた学生たちが調査を始めた。5年おきに市民から花を摘んでもらい、地図に採取地点を記した。…
…高校で生物を教える木村進さんは大学生以来ずっと調査の牽引役。造成地に強い外来種は駐車場や道路脇に、在来種はあぜ道や雑木林に生えます。見分け方は簡単で、外来種は花の下の緑色の部分がひげのように反り返っている。
調査は西日本の府県に広がる。驚くことに、大阪府では外来種が2005年をピークに減り始めた。在来種の盛り返しは、バブルが去り、都市部にも里山的な環境が戻った証拠でしょう。…
植物学者の牧野富太郎は明治後期、セイヨウタンポポが日本中に広がると予言した。的中はしたが、さすがの牧野博士も、子どもからお年寄りまでこれほど大勢が調査を楽しむ時代がくるとは予想しなかっただろう。…」
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