伝統的な日本の人間関係は、一蓮托生的である(河合隼雄氏)という。
夫婦であれ、友人であれ、一度関係ができると一体となって運命を共にすることを理想とする。
それほどの濃い関係でなくても、何かにつけてその人のことを配慮していなくてはならないところがある。
ところが、欧米から個人主義の考えが入ってきて、これまでの日本的人間関係が、あまりにもベタベタとしていて個人の自由を束縛するので嫌になってきた。
そこで、他人と「関係ができる」のをできるだけ避けたいような傾向を持つようになった。
といって、深まらない人間関係ばかりの中に生きていると、孤独感が強くなってくる。
誰かとつき合いたい、話し合いたい、でもこれまでの知人は敬遠したいとなると、他人とどのような関係を持つべきかわからなくなってくる。
お互いに気軽に接する一方で、個人としては自分を大事にする自覚を持っている、嫌な時にはいつでもノーといえる。
難しいけれど、そんな人間関係のあり方を考えていく必要があるのではないだろうか。