家賃以下のマイホームの罠

若い世代の方々は、現在支払っている家賃を無駄だと考え、この国の老後の不安もあって、出来るだけ早い時期にマイホームを取得したいと考えている方々が多く、家賃以下あるいは家賃並みで買える物件にと目がいきがちです。

こうした、ある意味、堅実ともいえる考え方そのものは、あながち間違ってはいないのですが、ことマイホームとなれば、基本的には生涯暮らす訳で、気に入らないからといって、賃貸の様に住み替えることは出来ないということを十分検討した上での判断が必要なのです。

しかし、お洒落な外観やインテリア・キッチンやバスルームに目を奪われ、今だけの特別キャンペーン・家賃以下のマイホーム!消費増税前・史上最低の低金利などのセールストークに引き込まれてしまいます。

そして、マイホームが欲しいという気持ちが強ければ強い時ほど、目に見えない構造や住み心地・光熱費などの重要なポイントも、営業マンの「〇〇ですので大丈夫です。ご安心下さい」という言葉で安易に納得し、衝動買いしてしまうケースが多くみられます。

毎月の支払は、もちろん重要ですが、ローンの他に、月々の光熱費や固定資産税や都市計画税・修繕費やメンテナンス費用など、目に見えないコストやアフターサービスの良し悪しも考慮しなければなりません。

また、住んでみないとわからない住み心地や使い勝手や家族が増えた場合の収納スペース、家の耐震性や耐久性・将来の資産価値・借入先の選定やローン種別の検討など、勉強しなければならないことは山ほどあり、知らないまま・知らされないままに家を建てるリスクは非常に大きく、後から後悔しても誰も保証してくれず、結局は、瑕疵や欠陥以外は、全て自己責任となります。

何より、真剣に考えなければならないのが、家族の健康であり、家の温熱環境や空気環境の悪さによって、シックハウスやアトピー・喘息などのアレルギーを引き起こしたり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったりするケースも少なくありません。

身体が丈夫で健康な若い世代の方は、多少の暑さ・寒さは問題ありませんが、人間誰しもが年老いていくのは必然ですので、免疫力が低下する老後のこともリアルに考えなければならないのです。

こうした話をすると、マイホームを検討している方に水を差す様で恐縮ではありますが、単に見た目の価格や表面的な仕様だけで、マイホームを取得した方々は、後々、数多くの不満やストレスを感じながらの生活を強いられるケースが多く、様々な要因によって、時には家庭崩壊を招いてしまうこともあるということを理解する必要があります。

実際、新築後10年以内で売りに出される中古住宅は圧倒的に建売やローコスト住宅が多いのが現実です。

建売やローコスト住宅が、全てダメだとは申しませんが、マイホームの購入は、家の良し悪しや性能の違い・35年後も快適に住み続けられる家なのかどうかを見極める知識と目を養ってからでも遅くはありません。

家は、生涯で一番高い買い物であり、一生一代の大事業でもあるということをご理解いただき、家づくりを進めていただきたいと思います。

この記事へのコメントはこちら

以下のフォームよりコメントを投稿下さい。
※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。