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あてにならないUa値

2015年に改正された現行の省エネ基準ですが、家の断熱性能を表す数値は、Ua(ユーエー)値という数値が用いられるようになりました。

Ua値とは、「外皮平均熱貫流率」のことで、どれくらいの熱量が家の外に逃げるのかを表す数値で、建物の室内と外の温度差を1度と仮定したときに、建物の外へ逃げる1時間当たりの熱量を外皮面積(天井、壁、床、窓等)の合計で割ったもので、下記の数式で求めることができます。

Ua値 = (外皮の熱損失量の合計) ÷ 延べ外皮面積

このUa値のベースとなっているのが、1999年に告示された次世代省エネ基準となり、以前は断熱性能を表す数値として、用いられていたのが、Q値という数値でした。

Q値とは、熱損失係数のことで、Ua値同様、建物の室内と外の温度差を1度と仮定したとき、1時間あたりどのくらい熱量が建物の中から外へと逃げてしまうのかを求める計算式となり、下記の計算式で求めることができます。

Q値 = (外皮の熱損失量の合計 + 換気による熱損失量の合計) ÷延べ床面積

Ua値もQ値も、どちらも熱損失量を表す数値に変わりはないのですが、大きな違いは、Ua値は熱損失量を外皮面積で割るのに対し、Q値は延べ床面積で割る数値となります。

またQ値では、24時間換気による熱損失もカウントしていたのですが、Ua値 にはカウントされていないということです。

つまり、2003年以降、義務化となった24時間換気による熱損失分は、カウントされていないために、どちらも断熱性能を表す数値ではあるものの、実際の性能に近い数値を示しているのはQ値であって、Ua値 は、似て非なる数値とも言えるのです。

また、次世代基準の断熱性能には、O値に加え、気密性能も重要という考え方に基づき、C値という家の隙間面積を表す数値がセットで示されていましたが、Ua値に変更となり、不可解なことにC値の基準は、すっぽりと削除されてしまったのです。

一般的に、Q値からUa値に変更された、理由として挙げているのが、Q値は、家の床面積の違いによって、数値にバラツキが出て、家が小さいと数値が大きくなる傾向があり、断熱性能を平等に比較するためにUa値 に変更されたというのが、主な理由とされています。

しかし、本当のところは、大手のハウスメーカーやローコストビルダーの一番、苦手なC値をうやむやにするために、変更されたというのが実状ではないかと業界で、秘かに囁かれているのです。

もちろん、平等に評価できるという点においては、評価すべき点ですが、換気による熱損失や家の隙間による漏気を除外しているUa値の性能を比較しても、正確な性能や光熱費の比較は出来ないのが現実なのです。

こうした話は、ハウスメーカーの営業マンですら、分からない部分であり、ユーザーでもよほど勉強しなければ知りえないことなのです。

しかし、こうした背景には、業界の思惑や圧力のような目に見えない力が、働いており、現在の住宅業界では、Ua値という数値だけが行き交っており、結果的に、宮城のような寒冷地でさえ、熱損失の大きい3種換気が未だに主流で、気密検査を実施している業者も、ごく少数となっているのです。

そして考えなければならないのか、Ua値は、あくまで計算値であり、保証された数値ではないということで、断熱の施工精度や将来の経年変化も一切考慮されていないのです。

しかも、多くのメーカーで公表しているUa値は、計算上有利になるような断熱仕様や窓面積を少なくした建物で計算しているケースが多く、実際に建てられる建物によって数値は大きく変わるという認識も必要です。

いずれにしても、Ua値は家の断熱性能を示す根拠にはなりますが、そのまま鵜呑みにすると、住み心地や光熱費に大きな影響を及ぼすのは確実で、例え同じUa値であっても、弊社の外断熱の家と比較すると、最低でも20%~30%前後は性能が低いのではないでしょうか。

あくまで、省エネ住宅やZEH住宅には、正しい断熱施工と換気種別に基づいたQ値と家の隙間面積を表すC値が非常に大事だということをご理解下さい。

20年経っても変わらない住み心地

RCの会合が塩釜であり、近くの現場の進行具合の確認に寄らせていただきました。





久々に夏らしいお天気で、暑い中ではありましたが、板金屋さんが、屋根工事にとりかかっておりました。

あいにく、大工さんが他の現場の建て方応援ということで、木工事はお休みでしたが、中に入るとヒンヤリしており、改めて外断熱の夏の爽やかさを実感した次第です。



室内もキレイに整頓されており、合格点をつけられる現場でした。

帰ろうとして車を走らせたとたんに、20年近く前に建てさせていただいた松島の某ホテルの当時の社長の家があり、ご挨拶にお邪魔させていただきました。



住み心地はいかがですか~とお聞きしたのですが、

「とても快適でお陰で健康で長生きさせてもらって感謝してるよ。」

「エアコンつけなくてもなぜこんなに涼しいの?って今でもよく聞かれるよ。」

と有り難いお言葉を頂戴しました。

いつまでも変わらない住み心地を追求するために、外断熱の家づくりに取り組んで、かれこれ25年近くなりますが、こうしたお客様の喜びの声を聞かせていただけるのが、私たちにとっての最大の喜びでもあります。

家づくりにとって、一番大事なのは住み心地です。

これからも、住み心地のいい家づくりに、とことんこだわっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

カビは様々な病を引き起こす

  • カビは様々な病を引き起こす
カビの発生に注意が必要な季節になりました。

カビは、画像の様に様々な病を引き起こしますが、厄介なのは、体調が悪くても、カビが原因とは思わず、無意味な薬を服用し、症状が悪化したり、薬の副作用によって、別の病を呼び寄せるケースも少なくないということです。

カビが発生すると、必然的にカビをエサにするダニや虫も増殖しやすくなるのは言うまでもありません。

そして、防カビ剤や消臭剤・防虫剤・殺虫剤を多用することで、益々空気が汚れてしまい、シックハウスや化学物質過敏症を発症にと健康被害は後をたたないのです。

湿度や室温が高くなるこの時期は、カビや細菌ばかりでなく、内装や家具に染み付いた化学物質や臭い成分も、揮発しやすく、室内の空気は一番汚れています。

人間が体内に取り入れる物質の重量比では、空気が実に85%をしめ、その多くは室内の空気です。

空気の汚れは目に見えませんが、適度な換気と清掃を心がけ、湿度は高くても60%台に抑えていただき、健やかに暮らしましょう。

前の家より寒い長期優良住宅

  • 前の家より寒い長期優良住宅
内断熱(充填断熱)の場合、床下断熱が一般的で、浴室部分の基礎は、内側に断熱材を施工しますが、職人や現場監督の無知や不注意で、様々なトラブルが発生する場合があります。

紹介するのは、日経ホームビルダーという業界誌の記事ですが、浴室の人通口部分(点検や補修などのために床下に入るスペース)の、断熱がなされていないために、床下の冷気が、浴室の床から室内壁に入り込み家が寒いという事例です。

この事例は、家を建てる際に、営業担当者から長期優良住宅で断熱等級が最高なので暖かいですよ。

という説明だったにもかかわらず、下手をすると前の家の方が暖かく、欠陥ではないかと疑問を感じて、第3者に調査依頼して、施工ミスが判明したようです。

詳しくは、記事を読んでいただきたいのですが、浴室の床下部の気密や断熱の施工には、十分な注意が必要です。

気密や断熱に理解が薄く、経験が少ない建築会社や職人・現場管理者だと、こうした不具合は、よくありがちな現象とも言えます。

そして、こうした箇所の公的検査は、スルーされてしまいがちな部分ですので、確かな技術をもった施工者に依頼することが、重要になってくるのです。

こうした施工ミスは、冬の寒さばかりでなく、夏場の湿気や結露によって、カビや腐朽菌・シロアリの被害を招いてしまい、室内の空気環境も悪くするので注意が必要です。

外断熱の家は、基礎の外側に断熱施工し、床下の温度は、一年を通して15℃~25℃以内に保たれ、このような問題は発生しませんのでご安心下さい。

浴室の床下は断熱の死角

住まいの復興給付金の申請を忘れずに

  • 住まいの復興給付金の申請を忘れずに
東日本大震災により、一部損壊以上の罹災証明を受けた方々が、新築した場合に、受けられる住まいの復興給付金を未受給の方が、大分いらっしゃるようです。(宅建業者が売主となり購入した建売や中古住宅も対象になります)

住まいの復興給付金は、年収要件のある通常の住まい給付金とは異なり、基本的に被災を受けた方であれば受給対象となります。

復興給付金は、申請しないと給付を受けられませんが、消費税8%の方は、床面積1㎡あたり5,130円が受給され、今年4月以降に消費税10%で契約した方は、1㎡あたり8,550円の給付金が受給されます。



つまり、120㎡(36.3坪)位の建物を消費税8%で契約した方は、61万円ほどの給付が受けられるのです。(175㎡まで対象)

引き渡し後、1年以内であれば申請可能ですが、わからずに申請しなかったり、通常の住まい給付金を申請したり、年収要件が合わずあきらめたりしている方が、相当数いらっしゃるようです。

お知り合いの方で、申請がまだの方がいらっしゃいましたら、教えてあげて下さい。