外断熱が家族を守る 〇 国の基準から削除?
※ここでは詳しく触れませんが、ちょうどこの頃から、気密性能が確保しやすい外断熱(外張り断熱)が注目されるようになりました。
しかしながら、寒さの厳しい地域で徐々に普及していきましたが、従来の通気性を旨とした長年続く日本の建築手法の変更には抵抗もあり、「高気密」という言葉自体から抱く誤解や偏見が根強く、造り手にも住まい手にもなかなか広まる事はありませんでした。
そうした中、ようやく1999年3月、当時の建設省にて改正された「次世代省エネ基準」に初めて、相当隙間面積(C値)の気密基準が設けられました。
南北に長い日本では、気候の違いが大きく、求められる断熱基準にも違いがある為に、6つの地域に区分され、それぞれの地域にあわせ相当隙間面積(C値)にも基準が明記されました。
しかしながら、その基準は、温暖地で5.0以下、寒冷地でも2.0以下という大変ゆるい基準で、測定の義務もなく非常にあいまいなものでした。
そしてあろうことに、25年4月1日より施行された改正省エネ基準では、気密性能の確保する旨の明記はあるものの、この甘すぎる基準すら削除されたのです。
この気密基準を疎かにした断熱基準を2020年までに義務化にするというのですから、全くナンセンスな話で、将来大きな社会問題になるのではないかと本当に心配でなりません。
こうした背景には、日本という国の悪しき習慣や業界の様々な思惑や事情が複雑に絡み合ってのことだとは推測されますが、気密性能をないがしろにした住宅は、いくら断熱性能を強化しても、その性能を十分に発揮する事はなく、省エネにも快適性の向上にもつながらないばかりでなく、内部結露によって徐々に住まいと人の健康を蝕み、短命な住宅になる危険性が非常に高いということを是非ご理解いただきたいのです。
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外断熱が家族を守る 〇 C値とは
「C値」 とは隙間相当面積のことで、家の気密性(家の中に隙間がどのくらいあるか)を示す指標で、 家全体にある隙間面積(c㎡)を延べ床面積(c㎡)で割ったもので、単位はc㎡/㎡となり、
計算式は
C値=家全体の隙間の合計(c㎡)÷延床面積(㎡)
となります。
C値の測定は、気密測定機を使って行い、室内と外気の気圧差が9.8Pa(=1mmAq)の時に、どれだけの空気が室内から外部に流出する量から計算により総相当隙間面積を求めて住宅の床面積で割って算出します。
目視では確認できない住宅の様々な箇所に開いている小さな隙間の面積を合計(cm2)し、住宅の延べ床面(m2)で割って数値化したものです。
例えば、延床面積が40坪(132m2)の住宅場合
C値5.0の場合→ 隙間面積は 660c㎡ となりハガキ4.5枚分
C値2.0の場合→ 〃 264c㎡ となりはがき1.8枚分
C値1.0の場合→ 〃 132c㎡ となりはがき0.9枚分
C値0.5の場合→ 〃 66c㎡ となりはがき0.45枚分
の大きさの隙間があるという事になります。(ハガキの大きさは約148c㎡ )
高気密住宅というと、温暖地では5.0、寒冷地では2.0という数値が一般的ですが、建築後の経年変化を考慮すると、地域
に関わらず最低でも1.0の数値が必要だというのが、有識者の間では常識とも言われております。
高気密・高断熱住宅という言葉そのものは、大分一般的になりましたが、そのレベルはピンキリで、とても高気密住宅と
は、呼べない高気密もどきの住宅も多く、測定の義務化もない為に、C 値1.0を切る建物は、現在建てられている新築住
宅でも残念ながらわずかですので注意が必要です。
※ C値は、建物の大きさや形状・開口部の面積・種類によって異なりますが、弊社建物の平均C値は、0.46と業界トップ
ランクの数値となっております。
外断熱が家族を守る 〇高気密・高断熱住宅の歴史
〇 高気密・高断熱住宅の歴史
省エネで快適な住環境と健康な暮らしを実現し、家の耐久性を大幅に向上させるために、誕生した高気密・高断熱住宅ですが、その歴史は非常に古く、今から35年以上も前に遡ります。
契機となったのが、北海道で起きた「ナミダタケ事件」で、1980年頃、新築3年目の住宅の床下に大量のナミダタケが発生し、床が腐り落ちるという事件が、大量に発生しました。
画像は北海道住宅新聞社のHPから引用
こうした悲惨な被害は道内に拡がり、実に何万棟もの住宅が被害を受け、マスコミでも取り上げられ大きな社会問題にもなりました。
※ 断熱先進エリアの北海道でも、一部無知な業者の建築する住宅では、結露被害はいまだに多い。
原因は、壁内の結露水や床下の湿気が、グラスウールに吸収され、木材を濡らしたことにより発生したものと解り、単に断熱材を厚くするだけでは、暖かくならないばかりか、水蒸気が躯体内に侵入し、建物に重大な被害を及ぼすということが明らかとなって、ようやく高断熱化と高気密化がセットとして考えられるようになったのです。
その後、様々な検証と試行錯誤を重ね、現在では内部結露による諸問題を解消する技術が、基本的に確立しているのですが、こうした技術を実際の現場にて具現化するには、営業や設計・現場管理のスタッフはもちろん、実際に現場で施工にあたる全ての職人さんにいたるまで、気密施工の重要性を認識しなければなりません。そして、高い技術力と丁寧な施工が必須となり、徹底した品質管理が求められるのです。
しかし、このような結露被害を大きな問題としてとらえ、本物の高気密・高断熱の家づくりに取り組んでいる造り手は、ナミダダケ事件から35年も経過した現在でもごくわずかで、宮城県における新築住宅の中でも1割にも満たないのではないかと思います。
こうした背景には、通気性や風通しを長年重視してきた日本の家づくりの背景もあるとは思いますが、結露被害の深刻さや気密の重要性への認識が非常に乏しい事が、最大の要因ですが、高気密化という、名前からくる偏見や誤解・拒否反応が、根強いものがあるのではないでしょうか。
風通しが悪そう。息苦しくなりそう。シックハウスになりそう。中には子供の抵抗力が低下して、ひ弱に育つといった誤った考える方をしている方が、未だにいらっしゃるのは驚くばかりです。
その結果、中気密?で高断熱まがいのアンバランスで危険な住宅が現在もなお建てられ続けているのです。
外断熱が家族を守る 〇結露を防ぎ温度差を解消する為には
〇 結露を防ぎ温度差を解消する為には
住まいの寿命を縮め、住む人までも病気にしてしまう結露を解消し、快適で健康な住まいとするには、どうしたらよいのでしょう。
オイルショック以降建てられた、膨大な数の住宅は、気密という考え方はないに等しく、単に断熱材を詰め込み、アルミサッシを取り付けただけの熱損失の高い住宅になっていました。
その結果、暖房している部屋としていない部屋との温度差が生じ、ガラス面や非暖房室での表面結露に加え、室内で発生する水蒸気が、床下や壁・天井裏に入り込み、目に見えない壁体内部にも、結露が発生し、家の耐久性能の著しい低下につながっていったのです。
※ 石油ファンヒーター(燃焼する分の水蒸気を発生させる)の普及によって、窓ガラスなどに発生する表面結露が大きな問題となり、ペアガラスや二重サッシが取り入れられ、ガラス面での結露は確かに減少しました。しかし、それがかえって、断熱が不十分な部分での内部結露を助長するという悪循環となっていったのです。
これは、結露の発生するメカニズムと結露被害の深刻さを、造る側も住む側も行政も、ほとんど考慮せずに家を造ってきたことが、大きな原因でした。
こうした反省を踏まえ、家の断熱と気密は両輪としなければ、断熱性の向上を図れないばかりか、内部結露のによる住宅被害は、解消しないということがはっきりとわかり、誕生したのが高気密・高断熱住宅なのです。
外断熱が家族を守る 〇 結露は人も病気にする
〇 結露は人も病気にする
結露は、家を腐らせる原因となるばかりでなく、私達の健康にも大きな影響を及ぼします。
シックハウスというと、ホルムアルデヒドやVO C を思い浮かべるかと思いますが、ぜんそくやアトピー等のアレルギー疾患の約80%が、結露や湿気によって生じるカビやダニが原因であるということが、明らかになってきました。
結露や湿気によって、カビが発生し、そのカビを餌にしてダニが増殖します。
このダニの死骸や糞、カビの胞子やほこりが、ハウスダストとして家の中を飛び交い、その空気を吸うことによって、アレルギーが発症してしまいます。
特に抵抗力の低い子供の40%は、なんらかのアレルギーに罹っているといわれ、最近では大人にも同様の症状が多く見られるようになってきました。
計画換気の義務化によって、以前より室内の空気環境は、改善された部分もございますが、家の中をいくら綺麗に掃除しても、アレルギーを引き起こす病原体が、構造躯体の中に潜んでいるかぎり、いくら病院に通い治療を受けても完治は困難なのです。
人間は生活するうえで、口から食物や水・鼻から空気を摂取していますが、それぞれの割合を重量比で表すと、食物は7%・水分は8%で残りの85%は空気となります。
随分と前から、水や食料については、健康への意識が高まってきましたが、一番空気を取り入れる場である家の中の空気をきれいにすることが、体を病気から守る第一歩になるということを理解しなければなりません。