HOME > 記事一覧

結露が一番多いのも寝室

以前、家の中で一番風邪やインフルエンザにかかりやすい場所は寝室という話を紹介させていただきましたが、一般的に一番結露が多いのも寝室になります。

昨日、寝室の室温についてアップした通り、宮城県にお住いの方の寝る時の室温は16.1℃で起きた時の室温は11.3というのが、平均的な寝室の室温です。

仮に、室温が16.1℃で湿度が50%だったとすると、結露の発生する露点温度は8.3℃となります。

つまり窓ガラスの表面が8.3℃以下になっていれば、窓に結露が発生しているということになり、アルミサッシの1枚ガラスの住宅のほとんどで、結露は発生しているということになります。

これから先は、サッシ枠やガラスの種別によって変わりますが、新築で使用されるケースが多いアルミと樹脂の複合サッシのペアガラスであれば、外気温が0℃であっても、夜の時点では、まだ12℃前後はあると思いますので、寝る時点での結露は発生しないはずです。

そして、ここからが大事なのですが、早朝にかけての室温の低下に伴い、当然ながら、窓の表面温度も低下していきます。

温度が下がれば、空気中に水蒸気の含むことの出来る量も減少するので、湿度は逆に上昇し、結露の発生する露点温度も上がってくるのです。

例えば、起きた時に12℃位の室温に低下すれば、寝る時50%だった湿度は80%を超え、露点温度も10℃位になってしまうので、普通のアルミのペアガラス程度の窓では、結露が発生してしまうというわけです。

つまり、夜の時点で、8.3℃だった露点温度が朝には10℃になるというわけで、暖房を消して室温が下がると益々結露が発生しやすくなっていくのです。

しかし、この計算は、あくまで寝室内の水蒸気量が、寝る時と起きた時と変わらない場合の計算だということをご理解していただきたいのです。

人間は、呼吸や汗によって、必ず体内から水蒸気を発生させております。

季節や体重によっても違いますが、1人で1時間当たり30グラム~40グラムもの水蒸気を発生して、生きています。

仮に、夫婦2人が眠る寝室であれば、最低でも1時間当たり60グラムの水蒸気を排出している計算となり、、寝ている7時間で、二人合わせて420グラムの水蒸気が発生しているのです。

室温12℃で8畳の寝室の飽和水蒸気量は300グラムで、10畳の寝室であれば500グラムの水蒸気を含むことが出来ることになります。

つまり、呼吸や汗だけで、420グラムもの水蒸気が発生するということは、元々空気中に含む水蒸気をプラスすると、ゆうに飽和水蒸気量をオーバーしてしまうのはご理解いただけると思います。

そして、乾燥対策に、加湿器などをつけたりしたら、その分の水蒸気もプラスされることになり、寝室内の湿度は、どんどん上昇し結露だらけとなる危険すらあるのです。

※ 開放型の石油ファンヒーターは、有害なガスに加え、1時間当たり300gから500gの水蒸気も発生させますので、隙間の多い昔の住宅以外は基本的にはNGです。

実際には、これらの水蒸気の全てが寝室内の空気中に滞留する訳ではなく、寝具やカーテン・衣服などにも吸収され、その他の寒い部屋や押入れや天井裏や壁の中に湿気は移動していくわけですが、この水蒸気が色々な悪さをもたらしてしまうのはいつも紹介しているとおりで、ここでは省略させていただきます。

※ 乾燥している冬場でも、カーテンやクロスにカビが生えたり、床やソファや布団・マクラが湿っぽいというのはこうした理由となります。(布製品は特に湿気を吸収する)

このような問題を解消するには、室内の換気が重要であり、出来るだけ暖房費の負担を抑えながら、室温が低下しない家の性能が必要になってくるのです。

寝室に空気清浄機を設置している方も多くなりましたが、空気清浄機は空気中の浮遊物質をフィルターに吸着させるだけで、室内の空気は単に循環されるだけで、二酸化炭素の濃度も下がらなければ、酸素濃度が増える訳でもなく、湿度ももちろん変わりません。

またの機会に詳しくお伝えいたしますが、就寝中は人の呼吸によって二酸化炭素も排出します。

換気の悪い住宅では、空気中の酸素量も徐々に減少し、空気中の二酸化炭素濃度が、厚労省の推奨基準である1000PPMを遥かに超えて、健康への影響が出てくる5000PPM以上のお宅が多く、中には10,000PPMを超えているお宅も、少なくありません。

昔の隙間が多いお宅であれば、寒さの問題は別にしても、隙間風によって、換気不足は少ないのですが、気密や断熱が中途半端に進んだ?現代の住宅で、換気が機能せず、寝室のドアを閉めたままで、寝ていたりすると、本来、健康の源となる睡眠中に寝室の環境の悪さによって病気になる危険性が高くなるのです。

適切な換気量が発揮するには、気密性能が重要となり、換気による不快な寒さと暖房費を抑えるためには、家の断熱性能と第一種熱交換換気が必要なのです。

そして、計画どうりに綺麗な空気に満たされて暮らすには、定期的な清掃やメンテナンスもまた必要だということも合わせてご理解下さい。

樹脂サッシのトップメーカーであるシャノンさんでも、未だに結露するとの相談で、一番多いのが寝室だそうです。

さすがにファンヒーターが原因というのは、めったにないそうですが、やはり一番多いのが、

〇換気を消している 〇換気の掃除をせずに機能していない

ということで、換気が最大の原因だそうです。

日本人の多くは家のメンテの習慣があまりなく、車のメンテや清掃はしても、家のメンテをまめにやっている人は少ないのですが、換気は家の中の空気の守り役として最も重要な役割を果たす場所でもあります。

くれぐれも定期的な清掃をお願いいたします。

寝室の室温は何度ですか?

  • 寝室の室温は何度ですか?
ウェザーニュースのサイトに、全国66,000人の調査による冬期間の暮らし方についての様々なデータが掲載されていました。

興味深かったのが、夜寝る時と朝起きた時の寝室の室温で、地域ごとにけっこう差があることが分かります。

ちなみに、宮城県の場合の平均は、寝る時が16.1℃で起きた時が11.3℃で、北海道は寝る時は19.2℃で起きる時が16.3℃だそうです。

日本で一番寒い北海道ですが、家の断熱に関しては一番進んでおり、このような室温になっていますが、最低気温が-10℃にも-20℃にもなる北海道で、寝室の室温の低下が、夜と朝とで、3度にも満たないことに改めて感心しました。

弊社の外断熱に住まわれるオーナー宅の正確な調査は、実施しておりませんが、寝室の寝る時の室温は18℃前後になるように推奨しております。

これは、20℃以上にすると、逆に就寝中に暑くなり布団を剥いだりするケースが多々でてくるからです。

2階部分の間取り構成にもよりますが、2階に設置するエアコンは、極力個室ではなく、全体に効率よく熱配分出来るように、2Fのホールなどに提案しておりますが、ホールの室温を20℃位の温度設定にすると、外気温が下がる真冬では、寝室やお子さんの部屋の室温は自然に18℃前後になります。

そして、夜間もエアコンを消さずに運転していると、18℃前後の寝室の温度はそのままか、人間の発熱によって若干上昇し、エアコンを消すと、外気温にもよりますが、2度前後低下し16℃前後になるという訳です。

※ 換気と熱効率を高めるため、居室のドアは基本的にオープンです。

ここからが、大事なポイントですが、エアコンは消さない方が、逆に省エネになりますよと、いつもご案内しているのですが、どうしてもこれまでの生活習慣もあり、エアコンを消してしまうお客様がいらっしゃるのです。

もちろん、消していただいても、16℃前後の室温はキープするので寒くはないのですが、起きてから2階全体の室温を上げるために、エアコンをつけると、設定温度20℃にするために負荷がけっこうかかり、しかも日中の高い電力を使うために、暖まるまで時間がかかり、仮に1時間で暖まったとしても、割安な夜間時間帯の1時間当たりの電力料金と比較すると、最低でも10倍から15倍位高くなってしまうのです。

つまり、折角節約しているつもりでも逆に節約にはならないということで、寝る時もエアコンはそのままにしていた方が、快適性も高まり、かつ電気料金も安いということになります。

そして、これは断熱性能の高い外断熱の家だからこそのなせる業で、普通の家ではこうした連続運転は、単にエネルギーの浪費につながり暖房費も大きな負担となります。

従来の、いる時だけ、使う時だけ暖める間欠式の暖房では、家の中の温度差が大きくなり、不快なばかりか、ヒートショックなどの危険も高まり、結露やカビなど様々な問題が発生してしまうのです。

断熱性能の高い外断熱の家では、従来の同じ暖房費で、連続暖房が可能となりますので、ご理解の程お願いいたします。



同時吸排レンジフード採用率の低さにビックリポン!

先日、コンセントボックスからの隙間風の記事をアップした時に、ご紹介した同時吸排型のレンジフードですが、翌日、弊社と取引のある2社の住宅設備メーカーがたまたま事務所に来たので、同時吸排型レンジフードの採用率を確認してみました。

http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=446692

感覚的に60%くらいかなと思っていたのですが、ナント2社ともにせいぜい3%~5%ではないかというのです。そしてT社の担当者がいうには、担当している工務店やハウスメーカーが20社ほどある中で、標準で同時吸排を採用しているのは、大東さんだけですということでした。

前回もご説明しましたが、レンジの排気量は、1時間当たり400立米から600立米あり、とても大きいので、排気に見合う分の空気を給気するための措置が必要で、同時吸排型のレンジかキッチンのそばに専用の給気グリルの設置が必要です。

こうした対策が取られない建物では、レンジの換気をつけるたびに、換気システムの吸気口や家中の隙間から空気を引っ張り込んでしまうのです。

※ 勝手口にガラリ付のドアをつけ、換気を回す時はガラリをあけて下さいというメーカーもありますが、気密性や断熱性が低いので?です。

一番空気を引っ張りやすいのが、キッチンに隣接するダイニングやリビング周辺の隙間で、換気の給気口や窓サッシ・コンセントなどの、外壁側に面している場所から、空気を引っ張るので、入居者がいる場所を冷たい空気がまともに通過するので、寒く不快でもあり暖房の効率も低下してしまいます。

そうすると、ついつい換気も不十分となり、調理の臭いや生活臭が家中に漂い、ニオイ対策でファブリーズを使い、逆に健康を害してしまうという悪循環さえ生まれてしまいます。

こうした状況から、空気清浄機の需要も増加しているのですが、清浄機は室内の空気を循環して、空気中の汚れ成分を吸着するだけで換気機能はないということを理解しなければなりません。

こうしたことは、高気密・高断熱住宅を真剣に手掛ける造り手の間では常識であり、弊社では、20年以上も前から同時吸排型のレンジフードは標準仕様で、特にPRすらしていない当たり前のことでした。

その当たり前だと思っていた、同時吸排のレンジフードの採用率がわずか5%未満という事実は、ある意味衝撃的なことでした。

費用的に、5万~6万のコストを削減するために、採用していないのだとは思いますが、これでは、いくら省エネ基準を満たしているといっても、ユーザーが満足する省エネで快適な住宅はもちろん、健康な暮らしさえ実現することは出来ません。

レンジフードの問題は、寒い冬だけの問題ではありません。

年中使うのがレンジですので、その他の季節においても、同じ現象が起こり、春先には花粉や黄砂・PM2.5 や粉塵にまみれた空気が入り込み、梅雨や夏には湿気を含んだ空気や熱い空気が、レンジを使うたびに大量に室内へ流入してしまい、カビやダニの繁殖につながり、室内空気が汚染され、アレルギーを初め様々な病気を引き起こしてしまいます。

いくら除湿しても、空気清浄機があっても、家の中の空気は綺麗にならず、結果、消臭剤や芳香剤・柔軟剤や防虫剤などを多用することになり、健康へも悪影響を及ぼしてしまうのです。

たかがレンジフードと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、とても重要なポイントです。

気密や断熱同様、レンジの換気なども、ユーザーが求めなければ、疎かにされてしまう部分ですので、新築を計画中の方は、くれぐれもご注意ください。


住環境で環境過敏症を予防する

  • 住環境で環境過敏症を予防する
先月末に名取文化会館で、尚絅大名誉教授(環境医学)の北條先生による「環境過敏症」についての講演が行われました。

環境過敏症というのは、あまり聞いたことがない方も多いと思いますが、代表的な症例が、「アレルギー疾患」 「シックハウス症候群」 「化学物質過敏症」 「電磁波過敏症」となります。

一般的に、アレルギー疾患のあるお子さんや女性はシックハウスになりやすく、そのまま放置していると化学物質過敏症や電磁波過敏症に移行しやすく、住宅環境や生活環境の早期改善が重要だとしている。

環境過敏症を予防するためには、キレイな空気と温度と湿度を一定に保つ、真のバリアフリー住宅の中で暮らすことが、何より重要だと思います。

クローゼットの防虫剤は必要ない?

  • クローゼットの防虫剤は必要ない?
先日、ドラッグストアに寄ったのですが、消臭剤や防虫剤が所せましと並んでいました。

ビックリしたのは、無臭のイメージが強かったムシューダの香りつきの製品がズラリと並んでいたことでした。

防虫剤には、いろいろなタイプがありますが、シックハウスの規制物質にもなっているバラジクロロベンゼンをはじめ、ナフタリン・しょうのうに加え、ムシューダのように無臭タイプの殺虫剤も多くなってきました。

しかし、無臭といわれるピレスロイド系の防虫剤でも、毒性は低いというものの有害成分は含まれているので健康への影響がなくなるわけではありません。

そして、折角というか何というか、臭いのしない防虫剤に、香料を混ぜてニオイをつけるという発想に、非常に違和感を感じました。

もちろん、これは消費者ニーズに応える部分もあり、難しい問題でもありますが、防虫剤に加え、クローゼット内の生活臭やカビ臭さを消すために、香料をプラスしており、二重の有害成分が混じり、その他の合成界面活性剤や防カビ材など何十種類ものVOC(揮発性有機化合物)が含まれていることを考えると、ぞっとするのは私だけではないと思います。

防虫剤に関わらず、消臭剤や柔軟剤・合成洗剤にしても、食品添加物にしても、それぞれの化学物質の安全性は、検査によって、安全基準は満たされているのですが、考えなければならないのは、一つ一つの物質の短期間の摂取による毒性はクリアされていても、長期間の暴露の影響やその他の家庭用品や食品添加物・農薬などに含まれる数多くの化学物質の複合的摂取の影響などは実質検証されていないのが実状です。

その一方で、アレルギーやシックハウス・化学物質過敏症などの患者は、急増しているのというのが社会の現実です。

衣服に食痕を残す害虫は「ヒメマルカツオブシムシ」や「イガ」の幼虫ですが、適切な温湿状況を整え、洗濯や清掃を心がければ、防虫剤の必要性はなく、空気環境を汚し、健康にも影響を及ぼす防虫剤の使用は極力控えたほうがいいのはいうまでもありません。



害虫の成虫は、春先に、窓開けや隙間からの侵入と洋服などについたまま家に持ち込むケースがほとんですので、家に害虫をいれない・通気や換気で、収納やクローゼットの中の湿度を50%台に保つ・汚れたままの衣服は、クローゼットに入れないなどの対策が必要です。



家の中に温度差があったり、クローゼット内の換気や通気が不十分だと、湿気や結露によって、害虫を呼び寄せ、卵を産んでしまいます。

室内の換気を心がけ、扉のついたクローゼットなども日中留守にするようなときは、オープンにして、時には扇風機などで風をあてたり、湿気がこもらないようにするのが大事なことです。

ということで、私はオープン収納をいつも推奨しています。





※ 食害にあいやすいのは、ウールやカシミアなどの動物性繊維で、ポリエステルなどはよほど汗や皮脂などが付着してなければ、食べられません。