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地震に強い外断熱の家

  • 地震に強い外断熱の家
お客様から、外断熱は地震に弱いと聞いたのですが、どうなのでしょうというメールが届いたので、外断熱の耐震性について、紹介させていただきます。

東日本大震災では、震度6強の大地震に加え、津波の猛威に見舞われましたが、内陸部で建築した外断熱の家は、ほとんどが無傷で、一部被害が出た建物もエコキュ―トが倒れたり、外壁材や内装材の多少のひび・基礎モルタルのクラックといった軽度の被害で済みました。

一方、津波の影響を受けた沿岸部においても、150棟ほどの外断熱の家がありましたが、RCの建物の直撃を受けた1棟をのぞき、周りの建物がほとんど流されたにもかかわらず、弊社の建物だけ、津波に耐え抜いたという現場が、多数ございました。

トップ画像にある建物も、東日本大震災の津波により大きな被害を受けた若林区の藤塚という地区で、一棟だけ流されずに残ったI様邸です。当時は、地元の方々に「奇跡の一棟」と呼ばれ、日経ホームビルダーにも掲載されました。

藤塚地区は、100件程の世帯が暮らす地域でしたが、家のみならず街全体が、大津波に一瞬のうちに流されてしまいました。

そんな中、I様の家だけが地震と津波の猛威に何とか流されずに耐えたのです。

その後、危険区域に指定され解体を余儀なくされましたが、家財道具や貴重品・思い出の品のほとんどが無事に残り、涙ながらに喜んでいらっしゃいました。



このように、多くの建物が津波被害を免れたのは、構造躯体にJ・WOODというLVL構造材を使用した耐震構造に最大の要因があるのですが、従来の木造住宅の常識をはるかに越える耐震性が発揮されたのです。



通常、建物の耐震性を図る一つの基準になるのが壁倍率で、柱の間に組み込む筋違や、柱の外側一面に張る構造用面材によって壁倍率は決まります。

つまり、外断熱であれ内断熱であれ、耐震性については全く関係はなく、私自身もこれまでそう思っておりました。

しかし、震災時における耐震性の高さを様々な角度から検証してみると、家の外側に張り巡らせた発泡ポリスチレンという板状の断熱材と構造躯体とをしっかり緊結させることで、壁の強度が増して、数字には表れない耐震性のアップにつながったのではないかという考え方に到達したのです。






それほどに、この強さは驚異的で、基本的にありえない程の耐震性を今回の震災で発揮したといえるのです。

HPにも、築16年経過した利府のモデルハウスの解体時の状況について、アップしておりますが、解体時の構造の状態をこの目で確認して、この考えは間違いないと確信している次第です。



外断熱の建物は、基礎・壁・屋根といった構造躯体の外側に、板状の断熱材を連続して施工するのですが、いわば構造に鎧を着せた状態になるわけで、計算上には表れない耐震性が発揮されるのです。

そして、基礎コンクリートも断熱することで、紫外線や酸性雨による強度の劣化も抑え、構造躯体に通気性をもたせ、内部結露も防止することで、建築当初の強さが長期にわたり保持できるのが、外断熱の家であり、弊社の建物は、最高レベルの耐震性を有した建物だということをご理解いただければ幸いです。

家の断熱性能は住んでみないとわからない

省エネ基準の改正やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の普及によって、住宅の断熱性能への意識が大分浸透してきたように感じます。

「冬暖かく・夏涼しい」

ローコストメーカーから大手のハウスメーカーにいたるまで、全ての会社の営業マンが口を揃えて話すセールストークの一つですが、そのレベルには雲泥の差があり、建てた後に後悔するお客様も少なくありません。

下記のグラフは、旭化成建材が全国的な調査を実施したデータですが、冬の寒さや夏の暑さに多くの不満を感じているのがお分かりいただけると思います。





折角、建てたマイホームが、寒くて換気を消したり、エアコンでは暖まらずにファンヒーターを使ったり、夏寝室が暑くて、一階に寝ているという話を良く聞きます。

こうした住宅は、単に寒い・暑い・光熱費の問題だけではなく、結露やカビが発生し、アレルギーになったり、風邪やインフルエンザにも罹患しやすく、将来、ヒートショックなどの悲しい事故を引き起こす危険性も高くなります。

そして、温度差による内部結露により、腐朽や蟻害などで家の耐久性も損なわれ、資産価値も著しく低下するなど様々な影響を及ぼしてしまうということをリアルに考えなくてはなりません。

気密や断熱は、建ててからでは直しようがないということをご理解いただき、家の中身を見極めた上での家づくりが非常に大事なことなのです。




この時期のエアコンの使い方

大分、日中は暖かくなってきましたが、まだ朝晩は温度が低く、寒さを感じずに暮らすには、ある程度の暖房が必要です。

我が家では3月下旬位から、1Fのエアコンを19℃・2Fのエアコンを17℃にそれぞれ設定温度を下げ運転させています。

もちろん、24時間つけっぱの状態ですが、ほぼ家中の温度は20℃前後と一定の状態をキープしているので、1月・2月の寒い時期と室内温度は変わることはありません。

つけっぱと言っても、室温が下がった場合にエアコンが動くので、日中温度が上がると、待機中の時間帯の方が多いのではないかと思います。

まだ、外断熱での暮らしに慣れていない方は、暖房を切ったりつけたりしている方もいらっしゃるかもしれませんが、夜切って、朝寒いからといって、エアコンをつけると、電力単価も3倍位になるうえに、運転の負荷がかかり、消費電力も上がりますので、逆に料金は高くなる場合があります。

夜間時間帯の5~6時間の電気料金と朝7時以降の1時間分の電気代はほとんど同じです。

さらに、朝に1.2時間エアコンをつけても、暖まるのは室内の空気だけですので、外断熱特有の輻射熱のメリットは生かされずに、一日の室内温度も、2℃~3℃変動し、室温も低めになりがちです。

そうすると、壁面の温度も下がりますので、おのずと体感温度も低く感じるものです。

何より、つけたり、消したり、寒さを感じたりというのが、ちょっとしたストレスになりますので、状況に合わせた温度設定の上、もうしばし連続運転なされてみて下さい。

エアコンを切ったり、寒く感じる時だけ運転する目安は、朝の最低気温が10℃以上になり、日中も18℃以上になるGW前後あたりが、一つの目安になりますが、あくまで目安ですので、それぞれのお客様が暮らしに合わせて調整いただければと思います。

また、ナビシステムの電源はまだオンにしなくていいですかというご質問がありました。オンにしても、電気代がかかるわけでも、ダンパーが開閉したり、小屋裏ファンが動いたりしないので、どちらでも構いませんが、日中の温度が、20℃位になるゴールデンウイーク明けあたりからで、OKですのでよろしくお願いいたします。

構造部の熱橋よりも怖い接合金物

前回、充填断熱の構造部の熱橋(ヒートブリッジ)についての記事をアップさせていただきましたが、建物構造の接合部を支える構造用金物も熱橋の影響を大きく受けてしまう箇所になります。

特に、基礎と土台をつなぐアンカーボルトや外気側から壁体内に貫通する金物は、冷たい外気の影響を受け、結露は免れず、断熱材を濡らし、木材を腐らせ、金物まで腐食するなど様々な問題を引き起こしてしまいます。



  



昨今の建物には、耐震基準の強化もあり、構造用の金物が多数使用されています。

充填断熱による高気密・高断熱住宅に、真摯に取り組んでいる造り手は、金物部分の熱橋の影響を抑えるために、断熱補強やウレタンを充填するなどの対策を図っています。



   

しかし、このような業者はごく少数であり、ほとんどが金物の熱橋などお構いなしに施工しているのが現状です。

悩ましいのが、お構いなしと言っても、熱橋の怖さを知りつつ、無視しているのではなく、理解していない業者が、ほとんどということで、別に手抜きというわけではないということです。

結果的に、ユーザーにも伝わることはなく、よほど勉強しなければ気づかない部分でもあり、ほとんどのユーザーは、知らないまま、知らされないままに家が造られてしまっているのです。



実際に、金物部の結露によって、僅か築6年で構造がボロボロになった被害例も、報告されており、決して他人事ではないという認識が必要です。

充填断熱の建物を選択する場合は、気密や断熱・換気・冷暖房に加え、熱橋対策はなされているか、十分確認した上での家づくりを進めなければ、将来後悔する可能性が大きくなりますので、くれぐれもご注意ください。

もちろん、完全な外断熱の場合は、構造や金物部分も断熱材の内側になることで、熱橋の影響は受けることはありません。

熱橋対策を実施するのは、配線・配管が貫通する部分だけでOKですのでご安心ください。

熱橋(ヒートブリッジ)が及ぼす問題を解消するには

内断熱(充填断熱)の最大の欠点は、何といっても構造躯体そのものが、非断熱部分になるということで、室内と室外の温度差の激しい季節においては、熱橋(ヒートブリッジ)という文字どうり熱を伝える橋となります。



熱は、温度の高い所から低い所へ移動するのはご理解いただけると思います。

内断熱の場合は、木造であれ、ツーバイであれ、鉄骨であれ、構造部は、基本的には断熱材ではないので、おのずと非断熱部分(全体の20%前後)となり、熱橋の影響により熱損失が大きいものになります。



つまり、冬は、室内の熱を外へ逃がし、夏は外壁の裏側から、高温の熱を室内に侵入させるというわけです。

そして、熱橋は、住み心地の悪さや光熱費に影響を及ぼすわけですが、それより怖いのは、温度差によって発生する壁体内の結露であり、結露水が木材や断熱材を濡らし性能が低下し、構造材の腐朽や蟻害の誘発を招いてしまうのです。

また、長期間、熱の伝導により収縮と膨張を繰り返すことで、狂いや痩せ・割れといった構造の変形・毀損を招き、構造用金物のボルトも錆びたり緩んだりと劣化が進み、耐震性の低下にもつながるのです。

木造で、一般的に使用される木材は、無垢の乾燥材か集成材です。

無垢材の場合は、乾燥材でも18%~20%・集成材でも15%前後の含水率となります。

建築後、乾燥が進み、木材の含水率は10%以下に下がりますが、乾燥すれば、数ミリ程度の痩せが生じるのです。

痩せた部分には断熱材が入っておらず、言わば無断熱となり、断熱の欠損部となり、わずか数ミリの痩せでも、家全体でみるとかなりの部分が無断熱となり、さらに結露を助長させてしまうのです。

※ ハウスメーカーの営業マンは、多少の痩せは断熱材が追随するので、問題ありませんというようですが、そうしたデータも公表しておらず、リフォームの現場で壁の中を見る限り、そうした現場は、目にしたことはありません。

一昨年4月の熊本地震では、旧耐震の住宅のみならず、新耐震基準の住宅でも、半壊や全壊の被害を受けましたが、こうした経年劣化による、耐震性の低下も大きな要因となっています。

参考までに、主な建築材料や断熱材の熱伝導率を比較してみましょう。

<建築材料>
〇 杉・ヒノキ0.12W/mK
〇 軽量気泡コンクリート0.17W/mK 
〇 コンクリート1.6W/mK
〇 鋼材53 W/(m K)W/mK)
 
<断熱材> 
〇 グラスウール16K0.046 W/mK
〇 高性能グラスウール24K0.036W/mK
〇 吹き込み用グラスウールGW-1- 0.052 W/mK・30K相当 0.04 W/mK
〇 ロックウール0.038W/mK
〇 ポリスチレン3種0.028W/mK
〇 ソーラーサーキット断熱材0.024W/mK

鉄骨の熱電導率は大きすぎて、比較するまでもございませんが、断熱性がある程度有する木材でも、熱伝導率は0.12W/mKとなり、高性能グラスウールの3倍も熱伝導率が高く、同じ断熱性能にするには、30センチ以上の柱にしなければならず現実的ではありません。

つまり、内断熱の壁の中には、断熱材と性能の異なる木材が混合しており、様々な不具合が生じることは、ご理解いただけるのではないでしょうか。

その点、外断熱の場合は、構造まるごと断熱材で囲いますので、柱も熱橋にはならず、壁の中での結露が生じる危険性は、よほど無茶な暮らし方や過度な冷暖房をしない限り、結露の心配はなく、仮に万が一結露が生じても、空気層によって乾燥するという保険までついているのです。

木は生きているとよく言われますが、あなたが木になったつもりで想像してみて下さい。

冬、室内側が20℃で外が0℃だったとします。つまりお腹が20℃で背中が0℃ということです。

逆に、夏外壁の裏側が40℃で室内がエアコンをつけて27℃だったとします。今度は背中が40℃でお腹が27℃になるわけです。

そればかりか、断熱材に左右を囲まれ、内装材と構造用の耐力面材に前後を挟まれた状態が、何十年も続いたら、木の健康状態は維持できるでしょうか。

熱伝導率の高い鉄骨造とは違い、木造の場合は、熱橋の影響は少ないとされ、長年、見過ごされてきましたが、既存の住宅の壁の中の悲惨な状況を考えれば、いつまでも見過ごすわけにはいかないのではないでしょうか。

そして、構造材以外にも、熱橋の影響を一番受けやすい部分が、実はまだあるのですが、長くなりそうなので、後日、紹介させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

いずれにしても、熱橋が及ぼす様々な問題を根本から解決するには、家の断熱は外断熱にするのが、一番理に叶っているということをご理解いただければ幸いです。