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「冬は防湿・夏は透湿」二つの機能を発揮する気密シートが登場

  • 「冬は防湿・夏は透湿」二つの機能を発揮する気密シートが登場
昨日、逆転結露(夏型結露)についての記事を投稿させていただきましたが、この逆転結露を防止する気密シートが、最近色々なメーカーから、発売されています。

その中で、断熱関連商品の世界的トップメーカーである、マグ・イゾベール㈱で、発売している防湿と排湿という二つの機能を兼ね備えた気密シート「イゾベール・バリオ」を紹介したいと思います。

通常、内断熱(充填断熱)による、高気密・高断熱住宅の施工では、室内側の水蒸気が壁体内に侵入しないように、ベーパーバリアという防湿気密シートを施工するのが必須で、これは、冬期間の壁体内での内部結露と断熱材の湿気による性能低下を抑えるための気密シートとなります。

しかし、内部結露対策は、冬場だけではなく、夏においても重要になってきたのです。

温暖化やエアコンなどの普及にもあり、壁内部と室内の温度差が広がり、夏場に発生する逆転結露の問題が、業界でもクローズアップされるようになったのです。

クールビズ推奨の28℃位の温度設定であれば、あまり心配する必要はありませんが、壁体内が30℃以上になり、湿度が80%を越えてしまうと、室内を27℃以下にしただけで結露は発生してしまい、仮に25℃前後に冷やせば何リットルもの結露が発生することになります。

この逆転結露は、壁体内の温度も高い夏場に起きるもので、構造へのダメージも大きく注意が必要なのですが、目に見えない部分だけに、内部結露の危険性同様、まだほとんどのユーザーには、理解されておらず、造り手さえも意識していない方が大半です。

この気密シートは、冬は室内側の水蒸気の壁の中への侵入を防ぐのと同時に、夏場に壁体内にこもる水蒸気を室内側に排出することで、壁体内の結露を防ぐというものです。

つまり、冬と夏で逆転する水蒸気の動きに合わせ、冬の防湿性と夏の透湿性という相反する性能を合わせ持った気密シートとなります。

ただ、注意したいのは、壁の中の水蒸気を室内側に排出することで、当然室内の湿度は上昇してしまうことになり、室内側の徹底した除湿対策も必須となります。

こうした話をすると、建築を少しわかっている方の中には、壁の中の水蒸気を外へ排出するために、外壁側に透湿防水シートを貼っているから、いらないのでは?という方もおります。

ここが、大事なポイントで、先日もご紹介しましたが、水蒸気は量が多い所から少ない所へ向かって移動するので、透湿シートは、冬場は有効ですが、夏場は水蒸気は室内側へ向かって移動するケースが多いので、透湿シートは機能しないということになるのです。

http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=455348

つまり、壁体内にこもった水蒸気の逃げ場をつくらないと、断熱材や木材が湿気を吸収し、性能の低下を招いたり、時には結露が発生し、木材の腐朽やシロアリを誘引したりと、居住性ばかりでなく、住宅そのものの耐久性を阻害する大きな問題が生じてしまうのです。



メーカーのカタログには、こう書かれています。

〇建物の構造躯体を湿気から守るには、冬期と夏期におけるそれぞれの対策が必要です。

〇冬季においては、建物の室内から屋根・外壁・床下内部への湿気の侵入を抑制することで結露の発生を防止し、構造躯体を乾燥状態に保ちます。

〇一方、夏季においては、屋根や外壁などの内部に閉じ込められた湿気を、室内へ放出することで結露の発生を防止し、構造躯体を乾燥させます。

このように構造躯体を乾燥状態に保つためには冬期と夏期では異なる対策が必要となります。

※マグの製品カタログより

弊社の外断熱は、構造の外側で気密・防湿工事をすることで、構造内部は、外気の影響をほとんど受けないのでこうした部材は必要ございませんが、内断熱(充填断熱)での、高性能住宅を求めれるのであれば、必須の部材かと思いますので、採用をお薦めいたします。 

詳しくは、マグ・イソベール㈱のHPをご覧ください。 

https://www.isover.co.jp/

逆転結露(夏型結露)は、工事中でも発生する

昨日、少し触れましたが、逆転結露という夏型の結露について紹介させていただきます。

昨今の住宅には、エアコンは必需で、一家に何台ものエアコンを設置するのがあたり前になりました。

このエアコンによって、室内と壁体内の温度差が生じ、夏場に発生する結露を逆転結露(夏型結露)といいます。

一般的に、結露といえば、冬の時期を想像しがちですが、猛暑とエアコンの普及によって、多くの建物で、目に見えない壁の中に発生しているのをご存知でしょうか。

下記の画像は、昨年日経ホームビルダーに掲載された建築中の現場で発生した逆転結露の画像です。

この現場では、建築中の雨が、構造材や構造用合板・基礎に入り込み、乾ききらない内に,
断熱と気密工事を行ってしまい、夜間に室内の温度が低下し、逆転結露が発生したのです。

※ 通常、結露は表面結露といって、窓や壁の表面に結露が発生しますが、画像のように気密フィルムの裏側に結露が発生しており、結露の発生する場所が、表面ではなく裏側で、逆転することから逆転結露と呼ばれ、車のフロントにつく結露の位置が、冬と夏で逆転するのと同じです。

このように、エアコンで冷やさなくても、自然の室温低下で、簡単に結露は発生するということを理解しなければなりません。



夏型結露のほとんどは、目に見えない床下や壁の中・天井裏で発生するために、発見は難しく,知らず知らずの内に構造躯体にダメージを及ぼし、木材の腐朽やシロアリの食害を受け、耐震性や断熱性能が低下し、住み心地はもとより、家の耐久性を著しく劣化させるので注意が必要です。

また、壁の中や小屋裏にカビが生えることで、まさしくカビに囲まれた暮らしになってしまい、汚染された空気が室内に入り込み、アレルギーの原因にもなるという認識も必要です。

業界でも、逆転結露の考え方は、両極端で、冬の結露に比べ少量だから影響が少ないとする肯定派と、たとえ少量でも、躯体内温度が高い夏場の結露は、木材の腐朽や蟻害を誘発し、耐震性や断熱性の低下に直結すると危惧する方々と大きく二つに分かれています。

しかし、逆転結露に対しての危険性を意識して、設計や現場に反映する造り手は、少数派であり、ほとんど考慮されないまま、建物が造られているのが、日本の建築業界の現状なのです。

相対湿度が高い7月から8月にかけては、必然的に壁の中の温度や湿度も高くなりがちですが、特に雨が上がり急に暑くなるケースが頻繁に訪れます。

例えば、気温30℃、湿度85パーセントの場合の露点温度は 27℃となります。つまり湿気を含んだ外気が、壁体内に侵入し、エアコンによって冷やされ、27℃以下になると、理論的には気密シートの内側で結露が発生している危険性が高くなります。

特に、繊維系の断熱材を使用している充填断熱の場合は要注意で、蒸し暑いといって、エアコンを24℃~25℃にすると簡単に結露は発生してしまうのです。

断熱の外側に、透湿防水シートを貼っているから、湿気は壁に入らないという方もおりますが、防水シートは、水は、はじきますが、10万分の2ミリという水蒸気の粒子は簡単に通してしまうのです。だからこそ、冬は壁体内に室内から侵入する水蒸気を外へ逃がす透湿性を発揮するのです。

また、後々、乾くから大丈夫という方もおりますが、結露が発生するのは、1回、2回ではなく、何年も続くわけで、たとえ乾いたとしても、濡れた断熱材の性能や土台や柱の強度は、いつまでも保たれるのでしょうか。

年々、猛暑が厳しくなり、熱中症対策もあり、今やエアコンの使用は避けられない時代となっておりますが、壁の中や床下で発生する結露で、カビや腐朽菌が増殖し、木材を腐らせている事はあまり知られていないのが現実です。

外断熱の場合、構造の外側で、断熱材を施工し、気密工事も構造の外側ですので、湿気や熱気を含んだ外気が、構造内に入り込むことは、ほとんどないために、室温を、20℃とか21℃まで、下げなければ逆転結露が発生する可能性はありません。

四季の変化が激しく、高温多湿という日本の気候条件の中で、私達の生活も、便利さや快適さを求めて大分変化しました。

冬も夏も湿気や結露を防ぎ、人も建物の健康を守り、省エネで快適に暮らすには、充填断熱では限界があり、様々な矛盾と弊害が生じてしまうということを業界全体で真剣に考えなければいけない時代になってきているのではないでしょうか。



除湿しても湿気が抜けない理由とは?

湿度は、温度によって変わることは、先日お伝えした通りですが、大事な説明が抜けていたので、付け加えさせていただきたいと思います。

熱は、高い所から低い所へ伝わりますが、水蒸気も、多い所から少ない所へ移動する性質をもっています。

よく、蒸し暑い夏に、除湿してもなかなか湿気が抜けないという声を聞きますが、これには大きな理由があります。

寒い冬は、乾燥した外の空気よりも、人が生活している室内の空気の方が、空気中の水蒸気量が多いので、水蒸気は、室内から外へ向かって移動していきます。

ところが、夏の場合は、外の水蒸気量の方が多い時がままあり、水蒸気の移動方向が逆転し、今度は、室内に向かって移動するケースが頻繁におとずれてしまうのです。



※ アイシネンHPより引用

またまた、面倒な数字を上げて恐縮ですが、前回、30℃で湿度70%の場合、30.4g×0.7=21.49gとなり、空気1㎏中に21.49gの空気を含み、室温が28℃であれば、27.2gの空気が含むことが出来るので、室内の湿度は、21.49g÷27.2g=79%の湿度となるという話を紹介させていただきました。

クールビズで、推奨している28℃ですが、さすがに湿度が79%では、蒸し暑く感じるためにエアコンをつけ、除湿するのが一般的です。

当然、除湿すると、湿度も下がり、室内の水蒸気量そのものも、一旦は少なくなるのですが、室内の水蒸気量が少なくなることで、水蒸気量の多い、壁の中から湿気が入り込んでしまい、除湿をとめると、また湿度は上昇してしまうのです。そして、壁の中の水蒸気もまた室内側へ移動させることで、さらに外の湿気を呼び込んでしまうのです。

特に、気密性能が低い住宅の場合は、隙間も大きいために、日射熱や外の湿気の影響を受けやすく、どうしても、壁の中は、熱や湿気がこもり、室内を除湿すればするほど、冷やせば冷やすほど、熱や湿気が室内へ移動してしまうというわけです。

そして、非常に厄介なのが、気密性が高い内断熱(充填断熱)の場合で、室内側に施工した防湿層(気密シート)の裏側で、水蒸気はせき止められてしまい、壁の中で逆転結露が発生してしまうのです。

つまり、夏場の高湿時には、気密が悪ければ室内側に湿気が侵入し、気密が良ければ湿気が防湿シートでせき止められ、内部結露の危険性が高まるということで、どちらにしても人や建物の健康に大きな影響を及ぼしてしまうのです。

一般的には、壁体内の内部結露は、冬に起きるものと考えられがちですが、エアコンの普及と温暖化の影響もあり、夏場にも、知らず知らずの内に、発生している住宅は、非常に多いのです。

※ 家の中を冷やさなければ結露は起きません。





その点、外断熱の場合は、断熱も気密も構造の外側で施工し、断熱材は透湿性の非常に低い発泡ポリスチレンなどの断熱材を使用するので、構造の外側で熱も水蒸気もしっかりブロックし、、外気より壁の中が高温になったり、高湿になるケースは、ほとんどなく、室内に熱気や水蒸気の侵入も抑制するのです。

※ 但し、外断熱でも気密が悪かったり、断熱の施工精度が悪いと同様の現象が発生します。

気密や断熱を詳しく勉強されたお客様から、大東さんの家は、理に叶った家ですよね。とよく言われますが、完全な外断熱の家は、夏の暑さ対策はもちろん、日本人にとって、昔から厄介な存在だった湿気対策にも、最適な工法だということをご理解いただければ幸いです。




マイホームを高性能にする為のポイントとは

家の住み心地はもちろんですが、光熱費や耐震性・耐久性にしても、住んでみないとわからないものです。

耐震性は、大きな地震に遭遇しなければわかりませんし、耐久性も、20年・30年経過しなければわからないのです。

昨日は、高性能住宅の要素についてお伝えしましたが、今日は、実際に、お建てになるマイホームを高性能にするためのチェックポイントについて、改めて紹介させていただきます。

私は、常々、外断熱の優位性について、お伝えしておりますが、外断熱であろうと内断熱であろうと、次に挙げるポイントを満たすことで、住まいは高性能となり、将来、後悔するような家にはならないはずです。

そのポイントとは、気密や断熱・換気・冷暖房について、依頼先に、次の条件を提示し、確実に実施してもらうだけで、名実ともに高性能となります。

☆ C値(隙間面積)を測定するための、気密検査の実施(気密工事完了時・竣工時)してもらってください。 (寒冷地の基準は2.0ですが、経年変化を考慮し最低でも1.0が必要です)

☆ Q値(熱損失係数)・UA値(外皮熱貫流率)の確認をして、 最低でもQ値1.6UA値0.48w/㎡・k(ZEH基準の20%UP)の断熱計画を実施してもらって下さい。

☆ 数値はあくまで計算値です。断熱の施工精度の確認のために、 断熱施工時に目視はもちろん、サーモカメラにて確認してください。(断熱欠損や施工ムラがないかがわかります)

☆ 開口部の種類と性能値を確認し、樹脂トリプル(LOW-E+アルゴン)もしくは、準防火地域などでも最低でもU値1.6W以下 のサッシを使用してもらってください。
(1.2年後にはどこのメーカーでも標準になってきます)

☆ 換気システムの種別を確認してください。まだ仙台圏では、コストの関係で1種よりも3種換気の採用比率が非常に高いのですが、数多くのクレームや問題が発生しており、宮城のような寒冷地では、第1種熱交換換気が必須となります。

☆冷暖房の種類・容量と配置計画を示してもらってください。高性能というからには、エアコンはどんなに多くてもせいぜい3、4台で十分です。

☆ 冷暖房の連続運転時の部屋別の室温 と暖房費のシュミレーションを提示してもらってください。(家族構成・生活スタイル・体感温度が違うのでというのは×です。24時間20℃に設定した場合の暖房費を出してもらえばいいだけです。)

これらが、全て確実に履行されると、必然的に、いい加減な対応は出来なくなり、様々ある工種の施工精度もグンと向上し、間違いなく住み心地のいい家に近づきます。

そして、太陽光を設置する場合でも、無駄な太陽光は必要なく、床面積㎡あたり0.5kW前後の設置で、十分ゼロエネは可能になります。

もっともらしい理由をつけて、受け入れを拒否されるかもしれませんが、ハッキリ言って、そうした造り手を大事な家づくりのパートナーとして選択すると、お客様自身が将来後悔する可能性が非常に高くなります。

宮城にも、対応の可能な造り手はたくさんいますので、どんなに人柄の良い営業マンであっても、デザインが良くて、価格が予算内でも、候補から外した方が賢明です。

上記に挙げたチェックポイントは、省エネ住宅や高性能住宅というからには、クリアしなければ最低限の条件ともいえます。

そして、これらの条件を満たした上で、次のステップとなる資金計画や間取りプラン・外観や設備・インテリアにと計画を進めれば、お客様の家づくりの成功確率はかなり高いものになるのは、間違いありません。

マイホームは、一生で一番高い買い物です。見た目ではなく、中身をしっかり見極めた上での家づくりが大切です。



高性能住宅の要素とは

  • 高性能住宅の要素とは
高性能住宅というフレーズを用いて、大手メーカーからローコストメーカーまで、自社の住宅をPRしていますが、実際にそのレベル差は大きく、残念ながら、本物の高性能住宅と言えるのはごく僅かです。

改めて、高性能住宅の要素を紹介させていただきます。

〇 温度差が少ない

従来の住宅では、暖房のある部屋と暖房のない部屋(浴室や脱衣場・トイレも含む)の温度差や、夜寝る時と朝起きる時の温度差は、最低でも10℃前後あるのが一般的な家です。

残念なことに、現在もこうした家とほとんど変わらない住宅が、高性能住宅として、次々建てられていますが、高性能住宅というからには、真冬の部屋間の温度差は2℃~3℃以内、暖房を消した夜と早朝の温度差も5℃以内というのが一つの目安となります。

家の温度差が5℃以上になると、寒い部屋の窓や押入れなどに湿気が移動し、結露が発生する可能性が高くなり、カビやダニが繁殖しやすくなります。

また、10℃以上の温度差を強いられた暮らしによって、ヒートショックによる悲しい事故が急増しており、家の温度差をなくすことは、ヒートショックを防ぐためにも重要です。

〇 省エネルギー

部屋間の温度差を小さくするには、室内に暖かさが行き渡るためのエネルギーが、当然ながら必要です。

そして、どんな家であれ多額の暖房費を投入すれば温度差のない暮らしは一応可能ですが、寒い家で、家中を暖めるという方はほとんどいません。

高性能住宅では、これまでの1室から2室分程度の暖房費で、家中の温度差を一定にすることが可能で、寒さがもたらす様々なストレスを解消するとともに、温度差によって生じる結露を抑え、省エネで快適な暮らしが実現します。

ただ、家だけ高性能にしても、省エネで快適にはならず、開放的な間取りや暮らし方も大事なことです。

暖房もこれまでの、いる部屋だけ閉め切って暖房する局所暖房や使う時だけ暖房する間欠暖房では、高性能住宅の恩恵を享受するのは難しく、温度差によって、少なからず湿気や結露問題の完全な解消は望めないのも現実です。

高性能住宅では、間欠運転や局所暖房と変わらぬ光熱費で、全館暖房が可能で、家中の温度差を2℃~3℃以内に抑えられますので、これまでの暮らし方を変えることも重要です。

〇きれいな空気

24時間計画換気の導入により、頻繁に窓を開けずとも、室内の空気の汚れや湿気を排出し、かつ新鮮な外気を導入することで、室内の空気は常にきれいな状態を保ち、シックハウスはもとより、空気の汚れによる喘息やアトピーなどのアレルギーの発症や悪化を防ぎます。

そして、空気の汚れより、臭いを消すための、消臭剤や芳香剤による、化学物質過敏症の患者も急増しているという認識も必要です。

特に、長時間いる寝室の空気は重要で、きれいな空気の中で、質の高い睡眠をとることで、免疫も高まり、健康を維持できるのです。

しかしながら、換気設置は義務化でも、使用は個人の自由になっている現状の中、換気不足と思われる住宅が非常に多く、アレルギー患者の大きな増加要因とも言われています。

また、換気をつけていても、気密性能が低かったり、フィルター清掃などのメンテが悪く、換気が機能していない住宅も多いので注意が必要です。


〇音が静か

気密性や断熱性を高め、開口部も性能の高いサッシを採用することで、外部の騒音はもちろん、台風や大雨の音などで、睡眠を妨げることのない静かな住まいとなります。

※ 遮音性が高いということは、当然、家の音も漏れにくいのですが、家の中の音が漏れにくいということは、家の音が気になる場合も少なからずございます。二世帯住宅をご計画している方は、同居なされる親御さんに配慮し、音が気にならない間取りの検討が必要です。

〇高耐震&制振・免震

地震国日本では、頻繁に大きな地震が発生し、そのたびに大きな住宅被害に見舞われます。

東日本大震災でも、地域によっては震度6強の本震と同レベルの余震によって多くの被害が発生し、熊本地震でも、大きな地震が連続して発生し、新耐震の基準を満たした住宅でも全壊した住宅が数多くありました。

現行の基準法では、震度6強の地震では倒壊しない強度というのが定められていますが、この程度の強度では、不十分であり、さらなる耐震性の強化が必要です。

また、熊本のような連続地震にも耐えるには、地震の揺れを最小限にする必要があり、高性能住宅には、制振装置や免震装置が求められています。

ざっと、高性能住宅の要素を紹介させていただきましたが、高性能住宅のベースとなるのが、
気密・断熱・換気・冷暖房のバランスとなります。

特に、気密と断熱は、高性能住宅の要であり、どちらが欠けても高性能な住宅にはなりえません。

そして、住まい手となるユーザー自身も、これらの要素の重要性を理解した上での正しい暮らし方が必要となるのです。

正しい暮らし方というと面倒に感じる方もいらっしゃると思いますが、難しくも何ともありません。

暮らし方のポイントは、基本的にこの3つです。

〇 計画換気は常時運転し、適切なメンテナンスによって必要な換気量を確保する。
〇 温度差を小さくする開放的な暮らし方と適切な冷暖房の使い方
〇 加湿や除湿によって、湿度を冬40%~夏60%台にコントロールする

常に換気された新鮮な空気の中で、家の中の温度と湿度のバリアをなくす暮らしを心がけることで、省エネで快適に、そして健康な暮らしが送れるのです。

そして、こうした性能が、建築当初ばかりでなく、長期間にわたり維持できる家こそが、本物の高性能住宅となります。

気を付けたいのが、気密や断熱の性能の経年による劣化で、この二つの性能が劣化すると高性能の要素が、徐々に崩れてしまうのです。

30年もてば十分というお客様もおりますが、ご自身も年々年齢を重ね、体力や免疫力が低下していくのは必然です。

人生90年時代と言われる今日、年齢を重ね、体が弱ってくる30年後も40年後も家の基本性能が維持できる家にしなければならないということで、ご家族のためにも、ご自身の老後をリアルに考えた家づくりが必要な時代なのです。

僅か1%の性能が劣化していくだけで、30年後・40年後にはどうなるでしょう。性能が低下していくことで、さらに劣化は加速され、折角の高性能住宅を建てても、将来は今の新築建売住宅以下になる可能性すらあるのです。

特に、湿気や結露は大敵で、窓や押入れなどの表面結露にくわえ、目に見えない内部結露を防ぐ、家のつくりと住まい方が重要です。

私達も贅沢になり、一家に何台もの冷暖房があたり前の時代ですが、過剰な冷暖房と家の中途半端な気密と断熱によって、内部結露は冬ばかりでなく夏にも多くの住宅で発生しているのが現実なのです。

湿気や内部結露によって、家の耐久性が著しく低下するのは、この国の住宅の歴史を見れば火をみるより明らかです。

構造躯体の湿気や結露を防ぐことで、「いつまでも強く・いつまでも快適に」住む人と住まいの健康をいつまでも守り、50年後も次の世代に引き継げる価値ある住まいになるということをご理解いただければ幸いです。