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爽やかな朝

  • 爽やかな朝
週末とは一転して、昨日は、カラッと晴れあがり、乾いた空気が上空に入り込んだ影響もあり、秋を思わせるような爽やかな朝を迎えました。

私は、朝目覚めると、自分の体感温度の精度?を確認するために、真っ先に確認するのが、寝室の温湿計ですが、25.7℃で57%の湿度になっておりました。

というのも、この時期の寝室の朝は、概ね27℃前後の室温で、湿度は、夫婦の発する呼吸や汗の影響もあり、リビングやダイニングよりも若干高く、65%前後というのが平均的な温湿環境です。

そうした中、25.7℃の57%といういつもと違う数字の温湿計を見ると、直感的に外の温度や湿度を連想してしまうのですが、これは職業病というか、多分私くらいかもしれません(笑)

すぐさま妻に、「多分、外は温度も湿度も大分下がってカラッとしているはずで、おそらく22,3℃で湿度も60%位のはずだよ」

と囁き、外の温湿計を確認したら、案の上、22.2℃で62%になっておりほぼピッタンコでした。



それから、朝の散歩をして家に戻ると、いつもは涼しく感じる室内が、今日は逆に暑さを感じたほどで、こんな爽やかな日こそ、天然のエアコンの出番とばかりに、窓を一斉に開放しました。





対角線上の窓も開け、爽やかな空気を取り込み、室温も湿度も下がり、すこぶる快適になってきました。



<窓開け前>



<窓開け20分後>

どこまで、室温や湿度が下がったかは、見届けることはできませんでしたが、家を出る際に、妻から「窓はこのまま開けてていいの~。」

と、ガクッとくる問いかけがあり、

「気持ち良ければ開けててもいいし、寒いと感じたら閉めればいいじゃん。風も強くなってきたので、自分で考えて~」

と、思わず言ってしまいましたが、長年住んでいるにもかかわらずこんな具合です(汗)

窓開けは、条件が揃えば積極的に取り入れて欲しい最高の換気法だということは、これまでも随分話しているのですが、以前は窓開けが日課だったにもかかわらず、窓を開けなくても快適な暮らしに慣れると、窓の開け閉めがおっくうになるようです。

気温もそうですが、湿気や風の状態を考慮しながら、人が心地よいと感じる時は、大いに窓を開けていただき、不快に感じる時は窓開けは控えるというのが基本となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※ 昨日のように、爽やかな日は、押入れやクローゼットも開放して頂き、溜まった湿気を追い出したり、お布団やカーペットなどの天日干しなどもしていただくと、気分も爽快となりますので是非どうぞ~。

昨晩の状況です。



<夜10時過ぎですが、大分気温は下がっています>


<ダイニング>

<トイレ>

<リビング>

<寝室>
※ 寝ようと思って寝室に行ったら、少しひんやりしており、温度が低いのでもしや?
と思ったら、朝開けた東側の小さな窓が、開いたままでした。私が窓を開ける時は大抵2方向の窓を開けるのですが、家内はいまだそういう意識がなく気付かずに、大きな窓だけ閉めて
東側の窓には気付かず開けたままだったのです。妻でさえ教育するのも何気に大変です(笑)








温度が高い方が爽やか

  • 温度が高い方が爽やか
昨日は、朝から雨模様でしたが、お昼過ぎにスコールのような雨に見舞われました。

雨の影響によって、一気に気温も下がりましたが、モデルハウスの室温や湿度は、朝から晩までほぼ一定です。

そして、外気温よりも逆に室温の方が高くなりましたが、湿度が51%ということで、室内の方が爽やかで快適だということは、ご理解いただけると思います。

なぜ、外の湿度が高いのに室内の湿度が低いのかといえば、リフレアの効果も大きいのですが、気密性能の高いソーラーサーキットの家は、隙間からの湿気の侵入はほぼないからなのです。

もちろん、計画換気による外気導入によって、多少湿度は上昇しますが、導入した湿気を含んだ空気は、室内の汚れた空気とともに排気されますので影響は非常に少ないのです。

よく、除湿してもなかなか湿度が下がらないとか、除湿を止めるとすぐ湿度が上がるという話を聞きますが、これは湿気が隙間から絶えず侵入してくるからで、ほとんどが気密の悪さが大きな要因となります。

家の隙間は、すきま風や冬の暖房費に大きな影響を及ぼすばかりでなく、梅雨から夏の時期は、日射熱の侵入にくわえ、外の水蒸気まで家の中に取り込んでしまうのです。

そして、床下や壁の中・小屋裏を通過して、侵入することで、断熱材や構造躯体まで、湿気の影響を受け、性能の劣化やカビや腐朽菌が発生したり、室内をエアコンで急に冷やしたりすると、時には内部結露さえ引き起こし、人の健康はもちろん、家の耐久性まで阻害してしまうということをご理解いただきたいと思います。

C値の悪い(すき間の大きい家)は、いくら断熱材を吟味しても意味はなく、逆効果にさえなってしまうのです。

住宅には、耐震性はもとより断熱性を表すQ値やUa値などの数値は、たくさんありますが、どの数値も、あくまで計算値にしか過ぎず、C値だけが、測定によって、簡単に性能を実証できる唯一の性能値となり、このC値が住み心地や光熱費ばかりでなく、家の耐震性や耐久性などほとんどに影響する要の性能となります。

新築する場合は、必ず気密検査を実施して、最低でも1.0以下の気密性能を確保することが、将来後悔しないために、必要不可欠な最低限の条件となり、気密性能がわからない住宅を省エネ住宅とか、高性能住宅というのは、完全な間違いとも言えます。

そして、新築時点の性能が、将来も保持するためにも、気密の劣化を抑えることが重要で、収縮の少ない構造材や、湿気の影響を受けない断熱材の選定にくわえ、気密と断熱の施工方法が重要となるということもご理解いただきたいと思います。

機械換気で窒息する?

冗談か本気か?ですが、気密性が高い家で、停電して換気が止まったら、窒息しないのですか?というお客様がたまにいらっしゃいます。

答えは、もちろんNOです。どんな高気密住宅であろうとも、潜水艦ではありません。

必ず、換気を設置するための穴が、最低5.6ヶ所は開いており、確かに空気は汚れますが、1週間や2週間停電したとしても、窒息することは絶対にありませんのでご安心ください。

私の家は泉区ですが、震災時に6日間停電しました。

もちろん、換気せずとも窒息はしませんが、空気の綺麗なソーラーサーキットの家に住むと、不思議に空気には敏感になるので、1日に何回か5分位ずつ、窓を全開にして、換気しましたが家族6人、元気に暮らしておりました。

2003年に、シックハウス対策として、24時間換気が義務化になりましたが、義務化される前の家では、換気といえばキッチンやトイレ・洗面だけでしたので、普通の方は、計画換気と言ってもあまりピンとこないのもしようがありません。

実際に、折角の換気も寒いからとか、音が気になるとか電気代がもったいないからと言って消しているユーザーも多く、家の中の空気は汚れによって、アトピーや喘息などのアレルギーの患者の増加は、換気不足がもたらしている部分も多分にあるのではないでしょうか。

そして、今でも、高気密・高断熱そして、24時間計画換気という名前を聞いただけで、息苦しくて、機械的なイメージを持たれ、拒否反応を示す方がけっこういらっしゃいます。

陽当たりが良くて、風通しのいい家の方が、ある意味自然ですし、一般のユーザーの皆様がこうした思いを抱くのはごく当然のことと思います。

建築業界の中にも、未だにこうした考えを持っている方が、まだまだ多く、とりあえず義務化で家が建てられないから、安い換気を組み込んでいる業者が多いのも現実です。

という私自身も、恥ずかしながら25年位前までは、計画換気なんて無駄で、自然換気が一番なんて言ってました~(笑)

ご理解いただきたいのは、換気システムを付けたからといって、窓を閉めっぱなしにしなければならないということではありません。

何といっても、換気の王様は窓開け換気です。

四季を通じて人が心地よさを感じられる状態の時には、窓を全開にして開放的な暮らしをしたいものです。

昔は一日中窓を開けていたり、家の中に誰も居なくても平気で窓を開けていたお宅はけっこうありました。

しかし、何かと不用心な現代において、たとえ在宅時にでさえ、気軽に窓を開けられなくなってきているのが現実ではないでしょうか。

しかも、窓開け換気は非常に気まぐれで、日本の気候を考えた場合、天気が良くても風が強かったり、風がほどよくても雨が降っていたりと、気象条件は変化し、人が心地よく感じられる日数や時間帯は全体の1割程度しかなく、ホコリや虫などの侵入や、共働きなどで日中も不在になりがちな生活環境の中で、室内の空気を常に新鮮な状態に保つには、窓開け換気は不向きになってきたのです。

また、花粉や黄砂、最近話題となっているPM2.5の問題もあり、これらの物質を除去した上で綺麗な空気を取り入れる事も必要な時代になってきているのではないでしょうか。

人間が一日で摂取する物質で、空気の割合は85%であり、家庭内の空気は実に57%にもなるのです。

小さなお子さんやお年寄りはもっと多くの割合で、室内空気を取り入れて暮らしているのです。

目にはみえませんが、室内の空気にはおびただしい程の有害な物質が含まれており、これらをなくすことは、現実には不可能です。

案外、見落としがちなのが人の呼吸によっても、空気は汚れているということで、空気中の酸素を消費した分、二酸化炭素を吐きだしているのです。

つまり、呼吸によって取り入れた分の酸素は減少し、逆に二酸化炭素は増加しているのです。

空気清浄機を設置しているご家庭も多くなりましたが、清浄機は空気をろ過して循環させているだけですので、あくまで換気が主役で清浄機はそのサポート役という理解が必要です。

ドラッグストアにいくと、様々な消臭剤や芳香剤・などが所狭しと陳列されています。

これらを使用しても、匂いの元を除去する事は出来ず、逆に含まれる化学物質により、健康への悪影響さえ起こしてしまうのです。

カビの増殖やダニの繁殖を抑えるためにも、室内の空気環境は非常に大事なのです。

日々の生活の中で、温度と湿度のバリアをなくし、綺麗な空気に満たされて暮らすことは、様々なストレスを解消し元気に明るく暮らす源となります。

大切なご家族の健康を守るための「空気の守り役」として、計画換気を考えていただきたいと思います。

※ こうした話をすると、家は隙間があるから、自然換気が働くから大丈夫という方もいらっしゃいます。何度か説明しておりますが、隙間換気は室内外の温度差が大きいと換気の作用が働きますが、温度差がなければ、よほど風が強くなければ空気の出入りはなく、ほとんど換気の作用は働きません。つまり、隙間換気が作用するのは、基本的には冬期間や春・秋の外気温が下がった夜間に限られるということをご理解下さい。

性能が将来も維持できる住まいと暮らし方を

  • 性能が将来も維持できる住まいと暮らし方を
高性能住宅というフレーズを用いて、大手メーカーからローコストメーカーまで、自社の住宅をPRしていますが、実際にそのレベル差は大きく、残念ながら、本物の高性能住宅と言えるのはごく僅かです。

しかも、20年後・30年後の経年変化による性能の劣化を考えると、これまで以上に短命になってしまう家が、増加する可能性が大きいと危惧している次第です。

これは、中途半端な家のつくりが大きな要因ではありますが、実際に住まわれるユーザー自身の間違った暮らし方による影響も少なくないということを、失礼ながら付け加えさせていただくことをお許し下さい。

改めて、高性能住宅の要素を紹介させていただきます。

〇 温度差が少ない

従来の住宅では、暖房のある部屋と暖房のない部屋(浴室や脱衣場・トイレも含む)の温度差や、夜寝る時と朝起きる時の温度差は、最低でも10℃から15℃位生じるのが一般的な家です。

残念なことに、現在もこうした家とほとんど変わらない住宅が、高性能住宅として、次々建てられていますが、高性能住宅というからには、真冬の部屋間の温度差は2℃~3℃以内、暖房を消した夜と早朝の温度差も5℃以内というのが最低の目安となります。

家の温度差が5℃以上になると、寒い部屋の窓や押入れなどに湿気が移動してしまい、結露が発生する可能性が高くなり、カビやダニも繁殖しやすくなります。

また、10℃以上の温度差を強いられた暮らしによって、ヒートショックによる悲しい事故が急増しており、家の温度差をなくすことは、ヒートショックを防ぐためにも重要です。

〇 省エネルギー

部屋間の温度差を小さくするには、室内に暖かさが行き渡るためのエネルギーが、当然ながら必要です。

そして、どんな家であれ多額の暖房費を投入すれば温度差のない暮らしは一応は可能となりますが、気密や断熱が不十分な家で、家中を暖めると暖房費が莫大になるために、現実的ではありません。

高性能住宅では、これまでの1室から2室分程度の暖房費で、家中の温度差を一定にすることが可能で、寒さがもたらす様々なストレスを解消するとともに、温度差によって生じる結露を抑え、省エネで快適な暮らしが実現します。

ただ、家だけ高性能にしても、省エネで快適にはならず、開放的な間取りや暮らし方も非常に大事になります。

暖房もこれまでの、いる部屋だけ閉め切って暖房する局所暖房や使う時だけ暖房する間欠暖房では、高性能住宅の恩恵を享受するのは難しく、温度差によって、少なからず湿気や結露問題の完全な解消は望めないのも現実です。

高性能住宅では、間欠運転や局所暖房と変わらぬ光熱費で、全館暖房が可能で、家中の温度差を2℃~3℃以内に抑えられますので、これまでの暮らし方を変えることも重要です。

〇きれいな空気

24時間計画換気の導入により、頻繁に窓を開けずとも、室内の空気の汚れや湿気を排出し、かつ新鮮な外気を導入することで、室内の空気は常にきれいな状態を保ち、シックハウスはもとより、空気の汚れによる喘息やアトピーなどのアレルギーの発症や悪化を防ぎます。

そして、空気の汚れや湿気によって、カビやダニ・害虫も繁殖し、臭いを消すための、消臭剤や芳香剤を使用し、防虫剤や殺虫剤も必要になり、アレルギー症状や化学物質過敏症の患者も急増しているという認識も必要です。

特に、長時間いる寝室の空気は重要で、きれいな空気の中で、質の高い睡眠をとることで、免疫も高まり、健康を維持できるのです。

しかしながら、換気設置は義務化でも、使用は個人の自由になっている現状の中、換気不足と思われる住宅が非常に多く、アレルギー患者の大きな増加要因とも言われています。

また、換気をつけていても、気密性能が低かったり、フィルター清掃などのメンテが悪く、換気が機能していない住宅も多いので注意が必要です。


〇音が静か

気密性や断熱性を高め、開口部も性能の高いサッシを採用することで、外部の騒音はもちろん、台風や大雨の音などで、睡眠を妨げることのない静かな住まいとなります。

※ 遮音性が高いということは、当然、家の音も漏れにくいのですが、家の中の音が漏れにくいということは、家の音が気になる場合も少なからずございます。二世帯住宅をご計画している方は、同居なされる親御さんに配慮し、音が気にならない間取りの検討が必要です。

〇高耐震&制振・免震

地震国日本では、頻繁に大きな地震が発生し、そのたびに大きな住宅被害に見舞われます。

東日本大震災でも、地域によっては震度6強の本震と同レベルの余震によって多くの被害が発生し、熊本地震でも、大きな地震が連続して発生し、新耐震の基準を満たした住宅でも全壊した住宅が数多くありました。

現行の基準法では、震度6強の地震では倒壊しない強度というのが定められていますが、この程度の強度では、不十分であり、さらなる耐震性の強化が必要です。

また、熊本のような連続地震にも耐えるには、地震の揺れを最小限にする必要があり、高性能住宅には、制振装置や免震装置が求められています。

ざっと、高性能住宅の要素を紹介させていただきましたが、高性能住宅のベースとなるのが、
気密・断熱・換気・冷暖房のバランスとなります。

特に、気密と断熱は、高性能住宅の要であり、どちらが欠けても高性能な住宅にはなりえません。

そして、住まい手となるユーザー自身も、これらの要素の重要性を理解した上での正しい暮らし方が必要となるのです。

正しい暮らし方というと面倒に感じる方もいらっしゃると思いますが、難しくも何ともありません。

暮らし方のポイントは、基本的にこの3つです。

〇 計画換気は常時運転し、適切なメンテナンスによって必要な換気量を確保する。
〇 温度差を小さくする開放的な暮らし方と温度差を抑えるための適切な冷暖房の使い方
〇 加湿や除湿によって、湿度を冬40%~夏60%台にコントロールする

常に換気された新鮮な空気の中で、家の中の温度と湿度のバリアをなくす暮らしを心がけることで、省エネで快適に、そして健康な暮らしが送れるのです。

そして、こうした性能が、建築当初ばかりでなく、長期間にわたり維持できる家こそが、本物の高性能住宅となり、50年後も次の世代に引き継げる資産価値の高い住宅となるのです。

気を付けたいのが、気密や断熱の性能の経年による劣化で、この二つの性能が劣化すると高性能の要素が、徐々に崩れてしまうのです。

30年もてば十分というお客様もおりますが、ご自身も年々年齢を重ね、体力や免疫力が低下していくのは必然です。

人生90年時代と言われる今日、年齢を重ね、体が弱ってくる30年後も40年後も家の基本性能が維持できる家にしなければならないということで、ご家族のためにも、ご自身の老後をリアルに考えた家づくりが必要な時代なのです。

僅か1%の性能が劣化していくだけで、30年後・40年後にはどうなるでしょう。

性能が低下していくことで、さらに劣化は加速され、将来は今のローコストの建売住宅以下になる可能性すらあるのです。

特に、湿気や結露は大敵で、窓や押入れなどの表面結露にくわえ、目に見えない床下や壁の中・小屋裏の湿気を抑え、内部結露を防ぐ、家のつくりと住まい方が重要です。

私達も贅沢になり、一家に何台もの冷暖房があたり前の時代ですが、過剰な冷暖房と家の中途半端な気密と断熱によって、内部結露は冬ばかりでなく夏にも多くの住宅で発生しているのが現実なのです。

湿気(水蒸気)は、冬期間は室内から外へ移動し、梅雨から夏季は、外から室内へと移動するということをご理解いただき、躯体の中へ湿気を侵入させないつくりが重要となるのです。

湿気や内部結露によって、家の耐久性が著しく低下するのは、この国の住宅の歴史を見れば火をみるより明らかです。

構造躯体の湿気や結露を防ぐことで、「いつまでも強く・いつまでも快適に」住む人と住まいの健康をいつまでも守り、50年後も次の世代に引き継げる価値ある住まいになるということをご理解いただければ幸いです。

家の良し悪しを見極める確かな目をもつ

現在の住宅市場は、20代・30代の一次取得層が中心となっており、住宅業界では、若い世代の方々をターゲットにした営業展開を図っています。

若い世代の方々は、現在支払っている家賃を無駄と考えており、この国の将来の不安もあって、出来るだけ早い時期にマイホームを取得したいと考えている方々が非常に多く、家賃以下あるいは家賃並みで買える物件にと目がいきがちです。

一方、売り手側もこうした顧客心理をよく理解しており、さも若い世代の家づくり応援団かのようなセールストークを巧みに用いて購入を誘導します。

住宅ローンに縛られた生活は、物価上昇や教育費が上昇する中、趣味や娯楽まで制限され、不幸な生活になってしまうといった、若い世代の方々の共感を得られるような説明をするのが一般的で、低価格・高品質を打ち出した営業戦略です。

こうした、ある意味、堅実ともいえる考え方そのものは、あながち間違ってはいないのですが、ことマイホームとなれば、基本的にその家に一生暮らす訳で、気に入らないからといって、賃貸の様に住み替えることは出来ないということを十分に理解した上での判断が必要なのです。

家は、住宅ローンの他に、固定資産税や都市計画税・修繕費やメンテナンス費用など、目に見えないコストも考慮しなければなりません。

特に、住んでみないとわからない住み心地やその家の光熱費、使い勝手や子どもの成長や家族が増えた場合の収納スペース、家の耐震性や耐久性・将来の資産価値・借入先の選定やローン種別の検討など、勉強しなければならないことは山ほどあります。

そして、人生100年時代とも言われる中、家のローン返済が終わる30年後・35年後以降も、その家で、健康に暮らし続けられるかどうかをリアルに考えなければなりません。

身体が丈夫で健康な若い世代の方は、多少の寒さや暑さ・湿気は、不快なだけで、健康への影響も少ないのは事実で、気力や体力で乗り切れますが、人間誰しもが年老いていくのは必然で、免疫が低下する老後のことも考えなければならないのです。

現在、日本の住宅の耐用年数は、30年にも満たず、解体される住宅の築年数は、平均で27年前後です。

今の新築は、40年も50年も持つのではと思っている方も多いのですが、現代の住宅の造り方も従来の延長線であり、中途半端な断熱化とユーザー側の間違った暮らしによって、これまで以上に短命になる危険性を孕んでいるという認識が必要なのです。

人口減少が進む中、土地という資産価値の上昇は見込めず、年金の削減や支給年齢の繰り下げなどを鑑みれば、将来の大規模改修や建て替えなどは、よほど恵まれた方でなければ不可能です。

こうした話をすると、マイホームを検討している方に、水を差す様で恐縮ではありますが、単に見た目の良さや価格だけで、マイホームを取得した方々は、後々、数多くの不満や我慢・ストレスを感じながらの生活を強いられるケースが多く、様々な病を引き起こし、時には家庭崩壊を招いてしまうこともあるということを理解する必要があります。

予算や毎月の支払額は、非常に重要な要素ですが、ここから家づくりを検討すると、大事な部分がどうしても見えなくなり、優先順位を見誤ってしまうのが家づくりの怖いところなのです。

安価でしかも省エネで快適に健康な暮らしが送れ、地震に強く長持ちする家は、基本的にはありえない話で、肝心な要となる温熱環境と空気環境は、疎かな住宅になってしまうのです。

マイホームの購入は、家の良し悪しや性能の違い・35年後も快適に住み続けられる家なのかどうかを見極める知識と目を養ってからでも遅くはなく、そんなに面倒なことでもありません。

寒い冬や、梅雨から夏にかけて、目に見えない床下や壁の中・小屋裏の温度や湿度がどうなるか考えればいいだけです。

家は、生涯で一番高い買い物であり、一生一代の大事業でもあるということをご理解いただき、家づくりを進めていただきたいと思います。