室内で呼吸する空気の影響が一番大きいのが、床面の空気になります。
東京大学生産技術研究所 加藤 信介教授の研究によると、人が呼吸する起源となる部屋の部位に、床・壁・天井とある中で、床面が一番影響するというもので、立っている場合でも53%・寝ていると実に73%の空気が床起源によるものだそうです。
立っていても、53%の空気が床が起源するというのは、驚きですが、これには理由があって、人の体温によって、空気の上昇気流がはたらき、床面の空気を上昇させることで、こうした現象になるそうで、同じ面積の天井の比率と比較すると、雲泥の差が生じるのがわかると思います。
そして、論文の中には、床面に近く生活をする乳幼児は、大人の10倍以上の有害な物質を取り入れているとも書かれています。
つまり、免疫はもちろん、肺機能も未発達の赤ちゃんが、毎日、床面の空気を吸い続けているということになるのです。
少子化が叫ばれている一方で、喘息やアトピーなどのアレルギー患者が急増し、20才未満の化学物質過敏症患者も増加していると言われていますが、こうした影響も非常に大きいのではないでしょうか。
床材の選定やハウスダストなど気を付けるのはもちろんですが、洗剤やワックス・そして消臭剤や芳香剤・柔軟剤や防虫剤・殺虫剤などの有害な物質も、床面に溜まりやすいということですので、呼吸だけではなく、接触などにも注意が必要なのは言うまででもありません。
気密・断熱・換気・冷暖房のバランスをよく整えて、温度・湿度・清浄さのバリアをなくし、日常の清掃に注意すればこうした日用品も基本的に不要となるのです。
そして、床面の状態もさることながら、床下の空気環境も床面の空気を大きく左右するという認識も必要で、床下の防腐剤や防蟻剤はもとより、カビや害虫を発生させないことも重要となります。
人が、摂取する物質は、水・食物・空気の3要素ですが、重量比でいうと実に80%以上が空気であり、その内、平均で57%が室内の空気で、室内空気は健康にとって何より重要だということをご理解いただきたいと思います。
また、足元を暖めるために、電気カーペットや床暖などを使用する方も多いと思いますが、床面を暖めることで、さらに上昇気流の影響は大きくなりますので、小さいお子さんやお年寄りのいるご家庭では、十分な注意が必要ではないでしょうか。
「室内環境汚染」と題した東京大学生産技術研究所 加藤 信介教授の講演内容ですので、ご興味のある方は、目を通していただければ幸いです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/54/4/54_4_267/_pdf
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