ぐっすり眠れる寝室の環境こそが健康の源

最近、睡眠負債の問題が取り上げられるようになりましたが、睡眠時間はもとより、質の悪い睡眠は、免疫力の低下をもたらし、ガンや糖尿病・高血圧・うつ病や認知症など様々な病を引き起こし、寝不足から交通事故などの二次的な危険も高くなるので十分に注意が必要です。

人間は、生まれてから亡くなるまで、最低でも、人生の3分の1は眠っている計算となり、男性の平均寿命からすると27年間も寝室で眠っていることになります。

ぐっすり眠れるためには、『光』と『音』と『温熱』『空気の清浄さ』といった4つの環境を整えることが、重要になります。

光と音については文字通り、明るくなく、静かな状態ということになり、比較的環境は整えやすいのですが、こと寒さや暑さや空気の鮮度となると、家の断熱や気密・換気性能がかなり影響してくることになります。

一般的に、夏は室温26~28℃、湿度60%前後の寝室の温湿環境が好ましいとされ、冬は室温は16℃~20℃、湿度は40%~50%の状態が好ましいとされますが、こうした環境を保つためには、普通は、冷暖房に頼らなければならないのが現状ではないでしょうか。

しかし、冷暖房の運転で発生する『風』や『音』によって、目が覚め、睡眠が妨げられたり、エアコンをつけっぱなしで寝たら逆に体調をこわしたといったような話はよく聞かれます。

つまり、睡眠中はできるだけ冷暖房がなくても、ぐっすり眠れる環境づくりが大切なのです。

そして、空気の清浄さも非常に大事です。

人が呼吸する空気を一番多く取り入れているのは、室内の空気ですが、その中でも長時間眠る寝室の空気の量が一番多く、一番空気が汚れているのも寝室と言ってもいいでしょう。



ドアを締めきって、眠る方も多いと思いますが、人は呼吸によって酸素を取り入れ二酸化炭素を吐き出し、徐々に酸素濃度は減り、二酸化炭素の濃度は上昇し、夫婦二人が休む寝室では、1000PPM以内とされる室内の二酸化炭素濃度が、朝には5000PPMを超えている住まいもすくなくありません。



つまり、朝の目覚めが悪いのも、頭がぼーとしたり、偏頭痛がひどいのは、こうした空気の汚れが少なからず影響しているとも言えるのです。

また、人は就寝中にも、呼吸や汗により、1時間当たり50グラム程の水分を発生させており、室温の低下や換気不足・水蒸気の発生など、悪い条件が重なり、一番結露が発生しやすいのも寝室となります。

さらに、寝具には、多くのハウスダストやダニが潜んであり、消臭剤や芳香剤を置かれるご家庭も多く、さらにクローゼットの衣服には、防虫剤を使用しています。

そして、夏を迎えると虫よけの防虫剤などを使用するなどして、知らず知らずの内に、有害な化学物質を体内に取り込んでしまい、アレルギーを悪化させたり、シックハウスや化学物質過敏症を発症してしまうケースも多いのです。

空気清浄機を設置しているご家庭も、多いのですが、清浄機は空気中の汚れや臭いの成分をフィルターに吸着させ、ろ過しているだけで、換気機能はなく、あくまで換気のサポートという認識が必要です。

就寝中こそ、きれいな外気を導入し、汚れた空気を排出させる計画的な換気が、とても重要になってくるのです。

うちは、隙間風があるから大丈夫という方もいらっしゃいますが、いつも言うように、隙間換気は外との温度差の大きい冬に作用する空気の対流現象です。

温度差のある冬は、ちょっとした隙間でも、隙間換気が機能しますが、これからの季節は、風がなければ隙間換気は、働かなくなります。

少し窓を開けておくとか、朝の窓開けよりも、寝る前にしっかり窓を開け、換気してからお休みになると、大分、寝室の空気環境は改善するのでお試しください。

私の家の寝室にも、一応エアコンはありますが、ソーラーサーキットの家に住んで9年間、暖房としては、一度も使用したことがなく、冷房をつけたのも数えるほどしかありません。

熱帯夜の真夏でも、窓を開けずとも、扇風機の弱で朝までぐっすり眠りにつけるのです。

一方、冬でも、外断熱の保温性の高さを発揮して、2階ホールにある8畳用のエアコンを18℃位の設定にして、自動運転していれば、寝室の温度も18℃から20℃を朝まで保ってくれるので、羽毛布団一枚と短パンとシャツ一枚で、ぐっすり眠れ、寒くて布団から出たくないということもないのです。

もちろん、冬も夏も寝室のドアは、基本的にオープンにしており、換気を妨げることなくきれいな空気の中で、熟睡できるのです。



※ 我が家の寝室には、ダイソンの羽根なしの空気清浄機もつけていますが、計画換気+空気清浄の相乗効果で、喘息もちの家内も絶賛するほど、快適な寝室の空気環境になっていると思います。

まだ日本では、家の断熱性や光熱費の問題もあり、寝室を常時暖めるという習慣も少なく、寝る前に多少暖めても、寝る時には暖房を消して、朝の寝室温度が5℃~10℃以下という家が大半です。

そうすると、布団を何枚もかけたり、厚いパジャマによって、寝返りの頻度も多くなり、布団がずれたり、ベッドから落ちて、寒さで目が覚めたりして、トイレも近くなり、夜間頻尿やヒートショックのリスクも自ずと高まるのです。



何気に怖いのが、暖かい布団の中で、冷たい空気を何時間も吸い込むことで、呼吸器や肺機能にも負担がかかるばかりでなく、肺や内臓までも冷え、深部体温も低くなり、免疫力も低下してしまうということです。

がん細胞は、体温が35℃位が一番増殖すると言われており、就寝中は誰もが1℃~1.5℃体温が低下することを考えれば、基礎体温を上げつつ、出来るだけ体温が低下しないような寝室の環境も必要ではないでしょうか。

就寝中に、心不全などの突然死を引き起こすのも、寝室の寒さや暑さによる血圧の変動や心筋梗塞・汗をかき水分不足による動脈硬化や急激な身体の冷えの影響が、大きいとされています。

そして、体重比で大人の倍以上、空気を取り込み、免疫はもちろん、抵抗力も体温の調整機能も未発達の乳幼児や小さいお子さんなどは、寝ている間に病を発症するケースが多く、大人以上に寝室の空気環境はとても重要なのです。

そして、免疫が低下してくる中高年の方にとって、就寝中は、出来るだけ免疫が戦う相手を少なくすることが、健康長寿の秘訣ともなります。

健康の源は、何といっても質の高い睡眠です。

キレイな空気の中で、寒さや暑さを感じることなく「ぐっすり眠れる家」は家族の健康にとって、一番重要だということをご理解下さい。

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