画像は環境省の【COOL CHOICE】のサイトからの転用です。
みんなの住いの困りごと
過度な湿気や結露は、シックハウスはもとより、喘息やアトピーなどのアレルギーの発症や悪化を招き、人と建物の健康を阻害する悪の根源ですが、その危険性をご存知ない方も多いようです。
カビによってダニも繁殖し、カビをとったり、臭いを消すために、カビ取り剤や消臭剤・芳香剤を使用したり、衣服の防虫剤なども必要となり、アレルギーを悪化させたり、発症する方も多く、中には化学物質過敏症という大変な病を引き起こす方も少なくありません。
要因は、燃焼系の暖房器具・過度な加湿・換気不足など様々ですが、最近は多くのご家庭で普通にしている洗濯物の室内干しなどにも、十分な注意が必要です。
脱水や乾燥具合にもよりますが、5キロの洗濯物には3リットル前後の水分が含まれていますので、その分の水蒸気が発生するという理解が必要です。
例えば、温度が20℃の6畳の部屋で、3リットルの水蒸気が発生した場合、その水蒸気の分だけで、室内の湿度は約60%ほどになってしまうために、もともとの湿度が仮に40%だったとすると、ナント100%の湿度になってしまうために、水蒸気を排出するための換気や除湿が必要になるのです。
弊社が所属しているみやぎ健康・省エネ住宅推進協議会の会長でもある東北大学の吉野博名誉教授の論文によると、「洗濯物は居間において顕著に結露やカビの発生リスクとなっており、常時換気を行ったとしても、洗濯物からの湿気の発生量に対して換気量が不足していると推察される。」とされています。
弊社のお客様には、家干しするスペースをあらかじめ想定したプランを提案させていただいておりますが、案外多く見受けられるのが、茶の間やリビングでの家干しです。
一番暖かくて早く乾くということかとは思いますが、水蒸気の発生によるカビの発生はもちろん、
雑菌の増殖・洗剤や柔軟剤に含まれる成分の揮発などの影響を受けるのであまりお奨めは出来ません。
特に、臭いの強い合成洗剤や柔軟剤の影響を受けやすいのが、家にいる時間が長いお子さんや女性の方・高齢者の方々となりますので、極力避けていただきたいと思います。
余談ですが、あのナイチンゲールも病室の中で、干し物をするのは最悪で、治る病気も治らなくなると説いています。
ちなみに我が家の家干しスペースは、2階のエアコンがある階段ホールで、エアコンの風で早く乾燥させるようにしていますが、近くに排気グリルもあり、水蒸気や洗濯物のニオイもダイレクトに外へ排出するようにしています。
量が多い場合は扇風機を使ったり、梅雨時はエアコンと除湿を併用させるなどしています。
家干しの基本は、とにかく早く乾くような環境をつくることが重要で、換気されたキレイな空気の中で早く乾かせば、香の強い、合成洗剤や柔軟剤は不要です。
また、部屋間の温度差が大きいと、暖かい部屋で発生する水蒸気は、平衡化の作用が働き、水蒸気の絶対量が少ない部屋へ移動するために、換気が悪いと、温度の低い寒い部屋の窓や押入れにも、知らず知らずの内に結露が発生します。
水蒸気の粒子は10万分の2ミリほどの微粒子で、いくら部屋を閉め切っていても、壁をすり抜けて、寒いところに向かっていくのです。
そして、水蒸気は、室内ばかりでなく、温度差のある壁体内にも移動するために、家の気密が悪いと床下や壁の中・小屋裏などの内部結露の発生リスクが高まり、家が腐れたり、シロアリの被害も誘発してしまうのです。
また、結露による加水分解にて、木材の防腐剤や防蟻剤も揮発しやすくシックハウスの要因になるという理解も必要です。
見える場所のカビは対処が可能ですが、目に見えない構造内部のカビは消えることはありえません。
それどころか、年々増え続け、カビに囲まれた暮らしをいつまでも強いられることになり、循環器系の病気のリスクも高まるということをご理解いただきたいと思います。
よく、インフルエンザの防止のために、湿度は60%以上という話をTVなどで聞きますが、少々無責任な話で、22℃で湿度が60%にすると、露点温度は13.9℃となり、普通の家ではあちこちで結露が発生して、インフルエンザの予防どころでなくなります。
もし、換気も疎かにして、リビングで干し物をしたり、ファンヒーターなどを使用したりすると、湿度はすぐに80%にも90%にもなり、露点温度は益々高くなり、たとえ外断熱の家でも、結露が発生してしまう場合があるのです。
冬は乾燥しているのが、必然ですので、40%前後を一つの目安にせいぜい上げても50%位で抑えるように心掛けて下さい。
ちなみに、室温が22℃の場合の、露点温度は、湿度が50%だと11.1℃となり、40%だと7.8℃に下がり、普通の家でも、結露の発生は大分抑えられます。
乾燥が気になる方は、保湿クリームやマスク・喉が渇いた時は水分の補給や飴などの対策を図っていただければ十分かと思います。
乾燥よりも怖いのが、湿気や結露であり、湿気や結露による空気の汚れということをご理解いただければ幸いです。
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2015.09.25 (中山の高梨欽司)火災保険の制度
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2015.08.25 (阿部貴日呼)毎週のように行っています
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2014.12.10 (高橋一夫)ありがとうございます。
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2014.12.08 (ちょーすけ)勉強になります
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2014.12.04 (T氏)ごちそうさまでした!
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