文科省の学校衛生基準が一部改正され、空調温度もこれまで、10℃~30℃以内とされていた基準が、54年ぶりに17℃~28℃に改正されていたことを最近知りました。
文科省HP
校舎の耐震化が一段落して、ようやく温度や湿度管理の段階に入ってきたのは、子ども達の健康を守るためにも非常に良いことのように思います。
これまで、寒さや暑さを乗り切ってこそ子ども達は強くなるというような考え方が、根強かったのですが、健康面での配慮はもちろん、学習効果を高めるためにも、温度や湿度管理が重要だという認識が高まってきた証ではないでしょうか。
宮城県でも、熱中症対策の一環として、来年度から、仙台市をはじめ各市町村で、一斉にエアコンの設置が推進されると思いますが、一方で、空気汚染による健康への影響も事前に検討した上での設置を進めなければならないと感じている次第です。
教室内を空調によって、暖めたり涼しくするためには、どうしても、窓を閉め切るようになりがちです。
結果的に、換気不足を招き、酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇するのは必然です。
教室内の二酸化炭素濃度は1500PPM以内という公衆衛生基準がありますが、私の経験上、授業中、閉め切った教室内では、多くの学校で1500PPMを上回っています。
室内のCO2濃度が、1500PPMを超えると、眠気を催したり、集中力が低下し、学習効果も低下することは、昨今、明らかになってきました。
換気設備が整った新築の校舎はともかく、築年数の経過した建物は、換気設備が不十分で、適切な窓開け換気が必要ですが、あまり議論されることはなく、エアコンの設置だけが進められている現状です。
また、ホコリや繊維など大量のハウスダストが舞う教室内では、エアコンのフィルターや本体の十分なメンテナンスも必要で、メンテ不良によってさらなる空気汚染につながるということも考慮しなければなりません。
そして、外気との温度差によって生じる表面結露や内部結露によるカビやダニの繁殖にも注意が必要なのは言うまでもありません。
さらに怖いのが、家庭から持ち込まれる消臭剤や芳香剤・柔軟剤や合成洗剤・防虫剤や殺虫剤・制汗剤や整髪料などの有害な化学物質です。
こうした日用品による空気汚染は、アトピーや喘息などのアレルギーの発症や症状の悪化を招き、香害による化学物質過敏症を引き起こす大きな要因にもなりかねないという認識が必要ではないでしょうか。
行き過ぎた香ブームによって、香の影響で学校に行きたくても行けない児童は、確実に増加しています。
空気を取り込む比率が、大人より大きく、肺機能や免疫が未発達の子ども達は、空気汚染による影響は大きく、日用品の中には、脳の中枢神経が侵される危険性がある化学物質も多く、健康の維持はもとより、心身ともに健全な成長を育むためにも、空気の清浄さは何より重要です。
つまり、教室内においても、空気のバリアフリー化が重要で、温度や湿度のコントロールに加え、空気の清浄さも両立させなければ、新たなシックスクール被害者の急増が懸念されるところです。
その他にも、エアコンの設置場所の検討や開口部の日射遮蔽・サーキュレーターなどの設置も検討しなければ、教室内での、机の場所による温度ムラが大きくなり、風邪を引いたり、エアコン病によって体調を崩す子ども達も増える可能性も大いにありえるというのが率直な思いです。
そして、いまだに、ジェットストーブやファンヒーターを使用している学校や児童館も多く見られますので、適切な暖房器具の設置も合わせて検討が必要ではないかと感じている次第です。
このブログを見ていただいている、行政や政治家・学校関係者や父兄の皆様、こうした問題も孕んでいるということを是非ご理解の上で、エアコンの設置を進めていただきたいと切に願っています。
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