昨日、湿度のコントロールについて、紹介させていただきましたが、外の湿度と室内の湿度の関係を理解すると、日々の快適な暮らしにもつながりますので、頭の片隅に入れておいて下さい。
表は、それぞれの温度の空気1立米の中に、含むことの出来る水蒸気の量を示したものです。
このように、温度によって含むことの出来る水蒸気の量が違うことは、いつもお伝えしている通りで、含むことの出来なくなった水蒸気が、水滴となって結露が発生するのです。
さて、まだ梅雨には少し早いですが、外気温30℃・湿度70%だと仮定すると、床面積120㎡(気積300立米)の場合の室内の水蒸気量は、約6.4リットル含んでいることになります。
※ 湿度70%の場合の水蒸気の量は、30.4×0.7=21.28グラムとなりますが、これは空気1立米中の水蒸気量で、家の気積300立米をかけると、単純に6384グラムの水蒸気が含まれている計算となります。
そうすると、室内が26℃の場合の湿度は87%となり、27℃の場合は83%・28℃では78%の相対湿度になります。(室外と同じ30℃なら、室内の湿度は、発生する水蒸気分をカウントしないと70%となります。)
※ 水蒸気の量(絶対湿度という)は同じでも、このように室温が低くなればなるほど相対湿度は高くなり、逆に室温が外より高ければ湿度は低くなります。
注意しなければならないのが、この湿度(水蒸気量)は、人や日常生活で発生する水蒸気は含まれておらず、実際は、この湿度より5%程度は高くなり、室内干しなどする場合は、さらに高くなります。
これからの季節の、室内の理想の湿度は、60%以内ですが、カビやダニ・衣類害虫の発生を抑えるには、最低でも70%未満の湿度にする必要があります。
つまり、人がいないと仮定しても、家の中の水蒸気量は、6384グラムも含んでいることになりますので、26℃の室内で、湿度を70%以内に抑えるには、6384-(24.4×300×0.7)=1150グラム分の水蒸気を取り除く必要があり、27℃の場合は、6384-(25.8×300×0.7)=966グラム・28℃の場合は6384-(27.2×300×0.7)=672グラムの水蒸気量を2時間に1回は(換気量換算)除湿しなければ60%以内の湿度には、ならない計算になるのです。
こんな話をすると、面倒と感じるかも人もいると思いますが、家のダンプネス(高湿度環境)は、人の健康にも建物の耐久性にも、様々な悪影響を及ぼし、換気や除湿を怠ると、結局は、カビキラーや防カビ剤・消臭剤や芳香剤・防虫剤などの使用は避けられず、アレルギーの悪化や発症を招いてしまう可能性が高くなるので、事前に予防した方が得策でもあるのです。
※ カビが発生する条件は、温度・湿度・栄養・酸素で、何か一つでも欠けると発生は抑えられます。また湿度が70%を超えても、気流を与えることで、カビの胞子の着床を防ぎますので、どうしても、カビが生えやすいところには、扇風機やサーキュレーターなどで、気流を与えたり、掃除を徹底するとカビの発生は大分抑えられるということもご理解下さい。
そして、エアコンで除湿する場合、家の広さや設置場所に合わせた機種選定が必要ですが、除湿については、温度を下げ強制的に除湿する冷房除湿と、少しだけ冷やして除湿する弱冷房除湿・冷やして除湿させ、室温に近くまで暖めてから空気を送る再熱除湿などもあり、それぞれ除湿量と電気代が違いますので、省エネで快適にするには、状況に合わせた使い方も必要です。
また、除湿機の種類や能力も様々ですが、室温が上がり逆に暑くなったり、水を捨てるなど、厄介で、梅雨寒の時などの利用は別にして、24~25℃以上になると不快になってしまいます。
この辺につきましては、また後日紹介させていただきますので、よろしくお願いします。
キッチンや洗面・浴室などの局所換気は、生活によって生じる水蒸気を排出するためには重要ですが、計画換気については、室内の汚れた空気を排出しても、排出した分の外気を導入するので、外気の影響を受ける常態的な湿度はなかなかコントロールできません。
外がカラッとしていれば、窓を全開にして換気すると、家の中の湿度も一気に下がりますが、天気が良くて風がほどよく吹いて体感的にはカラッと感じても、実際の湿度は高い場合もあり、逆に湿度が上昇する場合もあります。室内の湿度と外の湿度を把握し、それぞれの空気中の水蒸気量の見極めも必要で、朝の窓開けが日課の方などは、ご注意ください。
いずれにしても、冬の寒い時期は、外の湿度が70%台でも、暖かい室内になると室内の湿度は、30%台に下がり、逆に暑い夏の場合は、外より室内の温度が低ければ、湿度は上がるということだけは、是非頭にいれていただきたいと思います。
※ 調湿効果が高いとされる漆喰や珪藻土ですが、正直言って過度な期待は禁物です。なぜならば、調湿効果はあくまで一時で、過湿状態や乾燥状態が続いている時は、効果がほとんどなくなるということです。冬、乾燥時に、洗濯物を干すなどの場合は、初期時点では、ある程度湿気を吸収しますが、持続性は期待できません。そして、湿度が常時高い時期は、素材もすでに飽和状態になっており、それ以上の湿気吸収はできないのです。珪藻土の 5~6 倍も吸湿するというエコカラットの吸湿量でさえ、 24 時間で、㎡当たり 0.4リットル と言われていますので、1時間当たりにすると17ミリリットルとなり、、仮に、魔法のように常時吸い続けたとして、室内の湿度を10%も低下させるには、50㎡以上の面積が必要となり、現実的ではないので、吸湿については、補助的な機能としてお考えください。
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