人の健康の三大要素として、よく知られている栄養・運動・休養ですが、住まいの環境に、一番大きな影響を及ぼすのが休養です。
そして、この休養で最も重要となるのが何といっても良質な睡眠です。
人は睡眠中に、身体の成長を促し、免疫力を高め、脳や身体の休息やストレスの解消・記憶の整理など様々な作用が働いています。その効果を引き出すには、単に睡眠時間ばかりでなく、早く眠れる、深く眠れる、すっきり目覚めるといった、睡眠の質を高める環境づくりが大切になってきます。
人の眠りには『レム睡眠』と『ノンレム睡眠』の二種類があり、『ノンレム睡眠』は深い眠りのことをいい、脳を休めるステージで初期睡眠時に発生します。
深い眠りをしっかりとることで脳をリフレッシュさせ記憶力全般を向上させるのです。
成長ホルモンの分泌もこの時間帯に集中し、子供の成長やお肌のターンオーバー(表皮の新陳代謝)にも大切といわれております。
一方、『レム睡眠』とは浅い眠りのことをいいます。
これは体力回復のステージで、徐々にノンレム睡眠が浅く短くなり、レム睡眠の割合が多くなります。
レム睡眠時では筋肉の力が抜け、身体の疲れをとったり、記憶や感情を整理し固定・消去をしています。ただ睡眠が浅くなることで、ちょっとした騒音や環境変化で夜中に目を覚ましやすくなってしまいます。
このように、二種類の睡眠にはそれぞれ役割があり、眠りについたら朝まで目覚めないことが理想とも言えるのですが、朝までぐっすり眠れていない方は非常に多く、ぐっすり眠るための睡眠環境を整えることが大切になってくるのです。
最近、睡眠負債の問題が取り上げられるようになりましたが、睡眠時間はもとより、質の悪い睡眠は、免疫力の低下から、ガンや糖尿病・高血圧・うつ病や認知症など様々な病を引き起こし、寝不足から交通事故などの二次的な危険も高くなるので十分に注意が必要です。
では、ぐっすり眠れる環境とはどんな環境でしょう。
ぐっすり眠れるためには、『光』と『音』と『温熱』『空気の清浄さ』といった4つの環境を整えることが、重要になります。
光と音については文字通り、明るくなく、静かな状態ということになり、比較的環境は整えやすいのですが、こと温熱や空気質となると、家の性能がだいぶ影響されることになります。
※ 防音性の高い外断熱の家では、台風や大雨でうるさくて寝れないということもなくなります。
但し、室内の音も外へ逃げにくいので、生活音には気を付けて下さい。
一般的に、夏は室温26~28℃、湿度60%前後の寝室の温湿環境が好ましいとされ、冬は室温は16℃~20℃、湿度は50%前後の状態が好ましいとされますが、こうした環境を保つためには、一般的には冷暖房に頼らなければならないのが現状ではないでしょうか。
しかし、冷暖房の運転で発生する『風』や『音』によって、目が覚め、睡眠が妨げられたり、エアコンをつけっぱなしで寝たら逆に体調をこわしたといったような話はよく聞かれます。
つまり、睡眠中はできるだけ冷暖房の運転しなくても、ぐっすり眠れる環境づくりが大切なのです。
そして、空気の清浄さも非常に大事です。
人が呼吸する空気を一番多く取り入れているのは、室内の空気ですが、その中でも長時間眠る寝室の空気の量が一番多く、一番空気が汚れているのも寝室というのが一般的です。
窓やドアを締めきって、眠る方も多いと思いますが、人は呼吸によって酸素を取り入れ二酸化炭素を吐き出し、徐々に酸素濃度は減り、二酸化炭素の濃度は上昇し、夫婦二人が休む寝室では、1000PPM以内とされる室内の二酸化炭素濃度が5000PPMを超えている住まいもあるのです。
つまり、朝の目覚めが悪いのも、頭がぼーとしたり、偏頭痛がひどいのは、こうした空気の汚れが影響しているとも言えるのです。
また、人は就寝中にも、呼吸や汗により、1時間当たり50グラム程の水分を発生させており、室温の低下や換気不足・水蒸気の発生など、悪い条件が重なり、結露が発生しやすいのも寝室となります。
さらに、寝具には多くのハウスダストやダニが潜んであり、寝具に消臭剤やクローゼットの衣服には、防虫剤を使用しているご家庭も多く、知らず知らずの内に有害な化学物質を体内に取り込んでしまい、アレルギーを悪化させたり、シックハウスや化学物質過敏症を発症してしまうケースも多いのです。
空気清浄機を設置しているご家庭も、多いのですが、清浄機は空気中の汚れや臭いの成分をフィルターに吸着させ、ろ過しているだけで、換気機能はなく、あくまで換気のサポートという認識が必要です。
つまり、就寝中こそ、きれいな外気を導入し、汚れた空気を排出させる計画的な換気が、とても重要になってくるのです。
うちは、隙間風があるから大丈夫という方もいらっしゃいますが、いつも言うように、隙間換気は外との温度差の大きい冬に作用する空気の対流現象です。温度差がなくなるこれからの季節は、隙間換気は、機能しづらくなってきますので、少し窓を開けて寝るとか、朝の窓開けよりも、寝る前にしっかり窓を開け、換気してからお休みになると大分、寝室の空気環境は改善するのでお試しください。
私の家の寝室にも、一応エアコンは、ありますが、ソーラーサーキットの家に住んで8年間、暖房としては、一度も使用したことがなく、冷房をつけたのも数えるほどしかありません。
熱帯夜の夏でも、扇風機を1時間タイマーで弱運転にするだけで、朝までぐっすり眠りにつけるのです。
一方、冬でも、外断熱の保温性の高さを発揮して、2階ホールの8畳用のエアコンを18℃設定にして、自動運転していれば、寝室の温度も18℃から20℃を朝まで保ってくれるので、羽毛布団一枚と短パンとシャツ一枚で、ぐっすり眠れ、寒くて布団から出たくないということもないのです。
もちろん、冬も夏も寝室のドアは、オープンにしており、換気を妨げることなくきれいな空気の中で、熟睡できるのです。
※ 我が家の寝室には、今話題のダイソンの羽根なしの空気清浄機もつけていますが、換気+空気清浄の相乗効果で、喘息もちの家内も絶賛するほど、快適な寝室の空気環境になっていると思います。
http://daitojyutaku.co.jp/log/?l=447436
まだ、日本では、家の断熱性や光熱費の問題もあり、寝室を常時暖めるという習慣も少なく、寝る前に多少暖めても、寝る時には暖房を消して、朝の寝室温度が5℃~10℃以下という家が大半です。
そうすると、布団を何枚もかけたり、厚いパジャマによって、寝返りの頻度も多くなり、布団がずれたり、ベッドから落ちて、寒さで目が覚めたりして、トイレも近くなり、夜間頻尿やヒートショックのリスクも自ずと高まるのです。
何気に怖いのが、暖かい布団の中で、冷たい空気を何時間も吸い込むことで、呼吸器や肺機能にも負担がかかるばかりでなく、肺や内臓までも冷え、深部体温も低くなり、免疫力も低下してしまうということです。
就寝中に、心不全などの突然死を引き起こすのも、寝室の寒さや暑さによる血圧の変動や心筋梗塞・汗をかき水分不足による動脈硬化や急激な身体の冷えの影響が、大きいとされています。
そして、体重比で大人の倍以上、空気を取り込み、免疫はもちろん、抵抗力も体温の調整機能も未発達の乳幼児や小さいお子さんなどは、寝ている間に病を発症するケースが多く、大人以上に寝室の空気環境はとても重要なのです。
健康の源は、何といっても質の高い睡眠です。
「ぐっすり眠れる家」 は家族の健康にとって、一番重要だということをご理解下さい。
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2015.09.25 (中山の高梨欽司)火災保険の制度
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