昨日に引き続き、もう一つの質問を紹介させていただきます。
Q.セミナーありがとうございました。まだ住宅について、それほど詳しくありませんが今後の仕事に活かさせていただきます。
・宮城県の工務店ではまだ外断熱やソーラーサーキットが普及していないのでしょうか?
・そうした工務店様に、外断熱への取り組みを促す重要なポイント等あれば教えて頂きたいです。
A. ご質問の通り、ここ宮城でも家づくりの主流は、充填断熱であり、ソーラーサーキットはもちろん、外断熱の家づくりに取り組む工務店は、ごく僅かです。
正しい外断熱がシェアを伸ばしていくことこそが、日本の家づくりには必要不可欠だと、常々考えておりますが、私達がいくら声高に叫ぼうとも、オイルショック以降、長年続く断熱の考え方は、そうそう簡単には転換出来ないのは、周知の事実です。
住宅業界に限ったことではありませんが、この国の悪しき習慣や住宅関連業界の見えない力がはたらき、外断熱の急速な普及は正直いって困難です。
理解しなければならないのは、外断熱でなくても、充填断熱でも、コストや手間・工期をかければ高性能な住宅は出来るということです。
しかし、充填断熱では、熱橋の影響や湿気や結露による経年変化は、避けがたいのも現実です。
省エネで快適に、そして健康に暮らせて、建物も長寿命にするには、気密・断熱・換気・冷暖房のバランスが重要だということは、これまで再三お伝えしている通りです。
そして、ユーザー自身も、気密や断熱に対しての正しい理解に基づいた、日々の暮らし方の改善や工夫も必要なのですが、これまで慣れ親しんできた生活習慣もあり、暮らし方の改善は、そう簡単なことではありません。
しかも、造り手側でさえ、気密や断熱・換気の重要性を本当に理解しているのはごく少数で、どうしても、肝心な部分を曖昧にした従来の延長のような家づくりが続いているのです。
しかし、家の断熱や空気性能が、人々の健康に大きな影響を与えるという考え方が定着しつつあり、様々なエビデンスも揃ってきてる中、医療費の削減や健康長寿社会の形成の観点からも、家の高性能化が各方面で叫ばれるようになってきました。
また、車は燃費で選ぶのが当たり前の世の中になったように、住宅も燃費で選ばれる時代はもうすぐそこまできています。
これからの日本は、少子高齢化による社会保障費の増加や年金の支給年齢の繰り下げや減額・医療費や介護費用の問題・世帯数減少と空き家の増加に伴う不動産価値の低下を考えれば、30年後に家を建て替えられる方の層は、ほんの一握りではないでしょうか。
今後も長く、地元の工務店として、元請で住宅を手掛けていくのであれば、見た目の安さや売りやすさを考えた家ではなく、あくまで高気密・高断熱をベースにした高性能な住宅であり、次の世代に引き継げる本物の長寿命の家づくりなのです。
なぜならば、こうした部分が大手のハウスメーカーやローコストビルダーが一番手を付けたくない部分でもあり、手を付けようとしてもなかなか実現できない弱点でもあるからです。
私達の様に、地元に生かされている中小の造り手は、お客様の真の満足と信頼を得るためにも、光熱費を抑えつつ、しかも快適で健康に暮らせる家づくりに邁進していくことこそが、唯一生き残る道ではないかと私は思っています。
家中が綺麗な空気に満たされ、温度差もなく、湿度のコントロールされた、空気のバリアのない住まいが、本物のバリアフリー住宅であって、家族の幸せにとって、一番大切な健康な暮らしを実現するのです。
そして、暮らしにストレスを感じない快適な住み心地は、何十年経っても色あせることなく、お客様に心から喜んでいただける住まいとなります。
オイルショック以降続く、充填断熱が主流の家づくりは、完璧を求めれば求めるほど、実に多くの矛盾と弊害を抱えてしまいます。
その点、外断熱は、どこから見ても実に理に叶っており、その性能は実証もされているのです。
建築コストも重要な問題ですが、コスト以上の多くのリターンが得られるのが、外断熱での暮らしであり、こればかりは、誠意と信念を持ってユーザーに伝えていくしか方法がありませんが、少なくとも充填断熱で完璧を求めるより、経験を積むことで、逆にコストも抑えられるのが外断熱の家づくりでもあります。
世の中やユーザーの意識や価値観を変えるためにも、業界の内側から、変えていかねばなりません。
共に日本の家づくりを変えていくという使命感を持って頑張っていきましょう。
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