セミナーや住まい塾を実施している関係上、たくさんのお客様から住まいに関してのご質問やご相談を頂戴いたします。
その中には、新築間もないお客様からの問い合わせもあるのですが、そうした方々の一番多い質問が、高断熱・高気密住宅で、省エネで冬暖かいと言ってたのに寒いのはなぜですか?とか、隙間風が多いのはどうしてですか?というような質問です。
ハウスメーカーについては、支障もあるので伏せさせていただきますが、大手メーカーから、ローコストビルダー・地元の工務店さんなど色々です。
非常に悩ましい質問であり、回答に窮することもありますが、原因は、依頼先のハウスメーカー側の説明不足や営業マンのオーバートークにあるのは、当然の話として、失礼ながらお客様自身にも、責任の一端があるのではと、感じることが多いのも正直な話です。
そもそも、高気密・高断熱住宅の定義というものは、あってないようなものです。
宮城県は、栗原市を除いて、国の定める断熱の地域区分は3地域となっています。
この3地域で定められている現行の断熱性能は、UA値で0.75W以下で、断熱材の種類や厚さ・窓やガラスの性能などで計算できる仕組みになっており、この数値以下であれば、長期優良住宅の断熱等級が最高ランクとなります。
しかし、長期優良住宅制度のベースとなっている、1999年に創設された次世代省エネ基準には、示されていた相当隙間面積(C値)の基準が、平成25年に改正された省エネ基準では、気密性能を確保する旨の明記はあるものの、何故か削除されてしまい、数値はもちろん、測定の義務すらありません。
つまり、計算上のUA値が0.75Wであれば、事実上、高断熱・高気密住宅として、ユーザーに対してPR出来るわけで、ZEH基準にしてもこの基準を20%高めた0.60Wなのです。
ご理解いただきたいのは、このUA値0.75というのは、あくまで最低限のレベルであって、ハッキリ言うと、とても高断熱とは、言えない建物であり、しかもその数値は、あくまで計算値にしか過ぎず、施工精度によって、その性能すら発揮できていない建物が、非常に多いのです。
しかも、両輪ともいえる気密性能が、ないがしろになっており、手間のかかる気密工事を真剣に施工している業者は、非常に少ないのが現実です。
また、こうした住宅で使用される換気のほとんどは、第3種換気といって、自然給気・機械排気式の安価な換気を採用しているために、常時、壁にある給気口から、外の冷気が侵入してしまい寒さを感じてしまうのです。
その為に、給気口のシャッターを閉じる方が、非常に多いのですが、もともと気密性の低い住宅は、暖房することで、室内外の温度差が生じ、温度差換気が働き、隙間風に悩ませられたり、キッチンの換気をつけようものなら、家中の隙間から、外の空気が侵入してしまうのです。
そして、厄介なのが、気密性能の低い住宅は、冬場は、温度差による隙間換気が自然と働きますが、春から秋にかけては、風がなければ隙間換気は機能せず、換気が重要になるのですが、気密性能が、中途半端だと換気扇は動いても、空気が動くのは、排気側周辺の空気だけになり、家の中全体の換気はなされず、あちこちに空気の淀みができてしまうのです。
また、このような家では、エアコン暖房は不向きで、光熱費が高かったり、なかなか暖まらない為に、部屋を閉め切って、禁断のファンヒーターを使用し、結露やカビの発生に悩んでいる方も少なくありません。
こうした名ばかりの、高断熱・高気密住宅・省エネ住宅が、非常に多いのが、悲しいかな住宅業界の現実ですので、ユーザー自身もある程度の理解が必要で、営業マンのセールストークを鵜呑みせずに、正しい知識に基づいた確かな判断が求められているのです。
宮城のような寒冷地で、高気密・高断熱というからには、最低でもZEH基準をさらに20%向上させた0.48W、C値(気密性能)が、1.0が必要最低限のレベルではないかと思います。
そして、換気には、寒さを感じず、光熱費を抑えるためにも、熱交換タイプの第一種換気が必須でもあります。
拙著「外断熱が家族を守る」には、お客様がどちらのハウスメーカーで建てるにしても、このような情報も含め、必ず役立つ内容を詳しく紹介させていただいておりますので、一生に一度のマイホームを成功させるためにも、是非ご一読いただければ幸いです。
また、随時開催させていただいている住まい塾では、いい家をつくるための簡単なチェックポイントやその見極め方などについても、ご紹介させていただいておりますので、どうぞお気軽にご参加下さい。
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2015.09.25 (中山の高梨欽司)火災保険の制度
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