外断熱が家族を守る 〇 暮らし方にもご注意を

  • 外断熱が家族を守る 〇 暮らし方にもご注意を
〇 ファンヒーターについて

暮らし方の説明をする前に、いまだに多くの方が利用している石油式のファンヒーターについて説明させていただきます。

ファンヒーターは改めて説明するまでもなく、燃焼した汚れた空気を室内に排気する訳で、こうした開放型のファンヒーターを暮らしのメイン暖房としている先進国は日本だけと言っても過言ではありません。

建物の断熱化が進んでいる欧米の方が、日本のファンヒーターを見たら、「オー・マイ・ゴッド」となるのは間違いありません。

燃焼し汚れた空気を煙突もつけず室内に排気する事自体がクレージーという事なのです。

ファンヒーターは一酸化炭素や窒素化合物などの有害物質に加え、強力な温風が吹き出す事で、床のほこり・カビの胞子・ダニの死骸などを知らず知らずのうちに撒き散らしているという事を理解しなければなりません。

さらに石油が燃焼した分の水分を放出する事で、ガラス面や壁・床下・天井の内部結露を引き起こし、建物まで腐らせてしまう本当に怖い暖房なのです。

【1時間に一度十分な換気を行ってください。】とあるのは健康被害を防止する為の表示以外何物でもありません。

しかし、折角部屋が暖まったのに、窓を全開にし換気をする人はどの位いるでしょう。

多くは喉が痛いとか頭痛がして初めて空気の入れ替えをサッと行うだけだと思います。

健康な方ならいざ知らず、お年寄りや病弱な方、アトピーなどのアレルギーに悩ませられているお子さんがいる家庭ではタブーな暖房とも言えるのです。

隙間が多い古い建物の場合、外気温と室内との温度差によって生じる、空気の対流による「隙間換気」が自然に行われているので、それほど問題にはならなかったのですが、中途半端に気密性が保たれている現代の住まいでは十分な注意が必要です。

特に、性能レベルの高い高気密・高断熱の家ではファンヒーターは厳禁なのです。

※ 換気が作動していれば、命の危険があるわけではありませんのでご安心下さい。

人間が生きていく上で体内に取り込む物質の重量比は、食物・水分・空気で、それぞれの割合は7%・8%・85%となり、この85%をも占める空気が健康に大きな影響を与えている事を理解しなければなりません。(特に家にいる時間の長い奥様やお子様・お年寄りは注意が必要です)

さらに付け加えるならば、ファンヒーターを使用する断熱性の低い家の多くは、いる場所だけ暖める局所暖房がほとんどで、洗面所や浴室・トイレなどの非暖房室との温度差が最低でも10℃から15℃も生じるため、ヒートショックによる心臓や脳疾患の危険性も必然的に高まるのです。

家族の健康を守るべき住まいが、健康を蝕み、病気や事故を誘発する場であってはならないのです。

冬暖かい高気密・高断熱といわれて、住んでみたら思いのほか寒いということで、禁断のファンヒーターを使用するお客様も随分いらっしゃるようです。

内断熱であれ外断熱であれ、こうしたもどきの家は絶対に選択してはならないのです。

〇 開放的な暮らしと暖房方法

省エネで快適な暮らしを実現するための高気密・高断熱住宅ですが、暮らし方にも十分な注意が必要で、家を建てただけで快適な住み心地の良い家になるわけではないということを理解しなければなりません。

弊社で外断熱の家をプランニングする場合は、出来るだけ開放的なプランをご提案させていただいております。

そして、お住まいになるお客様は、寝室や居室はもちろん、洗面・脱衣所・浴室・トイレに至るまで、使わない時は開けたままというのが基本的な生活スタイルとなります。

改めて説明するまででもなく、小さなエネルギーで各部屋間の温度差をなくし、寒さを感じる事なく快適に過ごしていただく為にも大事な事です。

ドアを締め切ったままにしていると、暖房のある部屋と暖房のない部屋との温度差が5℃前後は生じるので、いくら断熱性能の高い外断熱の家でも、部屋間の温度差によって生じる空気の対流によって、スース―と空気が入ってくるのです。

※ オープンな暮らしを実践することで、部屋間の温度差はほぼ一定となり、トイレや洗面・浴室などの非暖房室でも、2℃~3℃の温度差となります。

外断熱の家の場合、構造の外側(基礎・壁・屋根)で連続した断熱・気密工事を施工する事で、熱橋(ヒートブリッジ)と隙間を防ぎ、暑さ・寒さを建物の外側で遮断する事が出来るのです。

そして、従来、外気の影響を直に受けていた床下や天井裏・壁の中にいたるまで室内と同様の温熱環境となり、建物腐朽の大きな原因につながる躯体内における内部結露をも防ぐのです。

また断熱ラインを構造の外側にする事で、必然的に内断熱の建物と比べ、室内側(断熱ライン内側)の容積が倍近くの大きさになります。

つまり熱容量の大きな建物となり、大きなやかんや鍋でお湯を沸かすのと同じように、熱くなるのも時間がかかる一方、一度暖まればなかなか冷めないという外断熱特有の大きなメリットが生まれるという事になるというわけです。

さらに、基礎のコンクリートや柱や梁などの木材までも、蓄熱体となって熱を蓄える事で、床・壁・天井といった壁面もあたたまり、その輻射熱によって、さほど室温を上げなくとも体感温度は高く、十分な暖かさを感じる事が出来るのです。

そうすることで、震災などで停電となってもしばらくは寒さを感じずに過ごせるというわけです。

こうした温度差を感じず快適な暮らしを実現するためにも、暖房については24時間連続運転が基本となります。

暖房費も気になるところですが、いる時だけ、あるいは、使う部屋だけを暖めるという従来の間欠式の部分暖房では、その部屋の空気を暖めているだけに過ぎないのです。

暖房を消して時間がたてばすぐに寒くなり、輻射熱の暖かさを感じないばかりか、家全体が暖まるまで時間もかかり、暖房効率も悪い為、暖房費を節約しているようであまり違いはなく、実は無駄な使い方をしてるともいえるのです。

春や秋の場合は、寒いと感じる時だけ利用するのは、もちろん何も問題ありませんが、例えば、寒い冬に、夜暖房を切った場合は、朝の室温も15℃前後に低下してしまいます。こうなると暖房のない部屋は12℃から13℃位まで室温が低下する場合もあります。

こうした状態で、暖房をつけると、機器への負荷がかかり、電気代もかかり、エアコンや温風ヒーターの気流や運転音が不快に感じるものです。

部屋をオープンにしていればいるほど、なかなか暖まらず、部屋のドアを閉めることで、益々温度差が広がり、時にはトイレや洗面所などのガラスにうっすらと結露が生じたりもします。

外断熱のメリットを最大限に生かすためには、柱の芯まで20℃にするという感覚をもつことが必要なのです。

そうすることで、外断熱特有の輻射熱効果が発揮されるのです。

つまり、空気を暖めるのではなく、建物の柱の芯まで暖めるくらいの感覚が必要なのです。

24時間連続運転といっても、40坪位の建物であれば、エアコン暖房でも、1階と2階に一台ずつエアコンを設置し20℃位の温度設定で運転させても、暖房費は月15,000円から多くても20,000円で十分まかなえると思います。

※ エアコンの上手な使い方については、後章で説明させていただきます。

つまり、これまでの1部屋分から2部屋分の暖房費で家の隅々まで、温度差のない快適な暮らしが実現するのです。

電気代も高騰しており、節約意識が働くのは十分理解できるのですが、寒さによって生じる様々なストレスから解放されることで、ストレスのない快適な暮らしが実現するのです。

人は贅沢にできており、これまで10℃も15℃も温度差があった暮らしから5.6℃なんて何でもないように思うのですが、慣れてくるとその5.6℃が今度は大きなストレスになってくるのです。

風邪をひいて、寝込んで病院に行くより、多少電気代が嵩んでも、元気に快適に暮らせた方が間違いなく健康にも財布にも優しいはずですので、暮らし方への考え方を是非変えていただきたいと思います。

どうしても変えられないというお客様は、開放的なプランにすると冬場は大きな不満をいだきながらの生活を強いられますので、玄関ホールやリビングにも、ドアや扉の検討をお願いいたします。

※ 部分暖房や間欠暖房での暮らしは、吹き抜けやリビング階段を設置した場合も、寒さを感じご不満につながる場合がありますのでご注意ください。

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