あとがき

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戦後、経済の発展にともない、私達の暮らしも便利さや快適を求めて、確かに物は豊かになりました。しかし一方では、物の豊かさと引き換えに心の豊かさといった大事なものが失われてきたように思えます。

子どものいじめや自殺、若者による凶悪犯罪、大人による子どもや弱者への虐待、高齢者の孤独死など、社会で起きている様々な問題は、私達人間が心の豊かさを失った故の大きな代償ともいえるのではないでしょうか。

「住み心地のいい家」は、災害時においても、家族の命と健康を守り、暮らしの大きな支えにも、心のよりどころともなります。そして、思いやりや優しさを育て、私達人間の心を豊かにして、元気に明るく、前向きに生きる源にもなります。

21世紀に入り、地球環境を考える意味でも、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄といった時代から、本当にいいものを、長く大事に使う、ストックの時代となり、本当の意味での豊かさを追求しなければならないのです。

本書では、現代の住宅の抱える問題点やこれから家を建てる場合の注意すべきポイントを説明させていただきました。

つたない文章ではございますが、住宅の隠された裏側を多少なりともご理解いただけたかと思います。

その中で、特に皆様にお伝えしたいのは、気密や断熱の重要性であり、疎かにした場合に生じる様々な危険要素であり大きなリスクなのです。

保険や金融にも自己責任が求められていますが、住宅選びにも正しい自己判断が必要であり、間違った判断により生じたリスクは、結果的に自己責任となるのです。

今日、表面的には、消費者保護が叫ばれ、法整備が進んでいるかにも思えますが、住宅における様々な被害は、消費者側の管理や住まい方とも、密接な関わりがあるために、原因の特定は難しく、瑕疵担保の対象にならないケースが多々あるのです。

内部結露による住宅の腐朽やシロアリ被害は、この最たるもので僅か10年の瑕疵担保保険の対象からも、除外されていることを理解しなければなりません。

マイホームを取得する多くのお客様は、長期の住宅ローンを利用しますが、もし、ローンを完済する10年も20年も前に、家が住めない状態になり、その価値を失うことになったらまさに悲劇なのです。

新築で、そんな悲劇は?という方も、多いのですが、こうした問題は表面化しないだけで、実に多くの方々が、被害に遭遇し、悩み苦しんでいるという悲しい現実を理解しなければならず、こうした悲劇に遭遇しないためにも、リスクとなりうる要素を一つ一つ取り除いた家造りを進めなければならないのです。

本書では、外断熱の有利性を説明させていただいている面もございますが、内断熱でも外断熱でも、気密・断熱・換気の性能が計画どうりに発揮され、適切な冷暖房計画と暮らし方を実践し、造り手と住まい手とが一体となりメンテナンスを実施すれば、いつまでも強く・いつまでも快適な長寿命の住宅は実現します。

これから、家造りを進めていく方々は、検討しているハウスメーカーや工務店の方々に、本書で説明した家造りの急所ともいえるポイントを投げかけ、喚起を促していただきたいのです。そうすることで、家造りに対しての姿勢も変わり、心から満足できる本物のいい家に近づくものと思います。

また、本書をお読みになり、自社のPRと感じる方も少なからずいらっしゃると思います。

もちろん、私は大東住宅の代表者であり、宮城中央ソーラーサーキット会の会長としても、ソーラーサーキットの推進を図らねばならない立場ですので、PRという側面もございますが、主な目的はPRではありません。

弊社は、長年、外断熱の家造りに取り組んで参りましたが、これまで900棟を超える外断熱の建物を造らせていただきました。

本書は、これまで家を建てていただいたOBのお客様にも読んでいただき、ご自身の住まいが、今後も安心して暮らせる家だということを改めてご認識いただくとともに、これまで、言葉だけではなかなか伝えきれなかった暮らし方のアドバイスや注意点なども知ることで、さらに快適に住んでいただくための本でもあります。

そして、弊社の社員はもとより、協力メーカーや協力業者・施工にあたる職人さんにいたるまで、気密や断熱に対しての同じ認識と家造りに対しての想いを共有し、お客様の喜びや感動をさらに深める家造りに邁進していくための教科書でもあります。

さらに私は、全国約1,500社の、建設・不動産関連企業が加盟する(一社)全国住宅産業協会の理事でもあり、この春設立した(一社)東北住宅産業協会の理事長として、これまでの業界の古い体質や悪しき習慣から脱却し、お客様から、真の満足や信頼を得られるよう、住宅の性能や品質のさらなる向上を図り、省エネで快適で健康で、災害に強く、50年・100年先にいたるまで、次の世代に住み継がれるような価値ある家づくりをこの宮城から全国に発信していきたいと強く願っている一人でもあります。

是非、本書は、家造りを検討している方ばかりでなく、建築や不動産関係に従事している方々や医療機関や金融機関、そして公共機関の皆様にも、読んでいただきたいと思っております。

本書は,全国の図書館にも寄贈させていただくので、頒布価格を設定しておりますが、同封のアンケートにお答えいただいた方には進呈させていただきます。

そして、多くの方に読んでいただき、宮城や東北のみならず、日本の家づくりを変えていくきっかけになれば、著者としてこれに勝る喜びはございません。

いい家に住みたいという願いは、人々がもつ共通の願いであります。その願いをかなえ、健康で快適な「住み心地のいい家」を建てていただくために少しでもお役にたてれば幸いです。

最後まで、お読みいただき、本当にありがとうございました。まだまだお伝えしたい話やお伝えしなければならない事実は多々ございますが、限られた誌面の中で、出来るだけご理解いただけるよう精一杯努力したつもりです。

ご不明な点やご質問などございましたら、綴じ込みのハガキやHPの問い合わせコーナ-からご連絡下さい。

この本の発行にあたりましては、多くの方々のご指導、ご協力をいただきました。心より厚く御礼申し上げます。









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