内断熱の場合、工法や構造によってもまちまちですが、壁や天井・床組の部分で、断熱がとぎれとぎれになる不連続部分が多くなる上に、断熱材の入らない非断熱部分(構造の部分)が外皮面積の20%前後は必ず出てきます。
※ 外皮面積とは、熱的境界に接している面の面積のことを言います。 外断熱の場合は単純に構造の外側の面積となりますが、内断熱の場合、断熱施工する壁・天井・床面を合計した面積が外皮面積となります。
柱や土台・梁やフレームは、木材であれ何であれ基本的には断熱材に比べ性能が低いので、外気温の影響を直に受け、その部分は熱橋となります。
※ 熱橋とは、文字どうり熱を伝える橋になる部分のことで、業界用語でヒートブリッジともいいます。内断熱の場合、柱部分は断熱材が入らないので熱橋となり、断熱材よりも断熱性能が低く断熱性能に影響するので、省エネルギー基準では、断熱材を貫通する部材がある場合は、熱橋を考慮した計画としなければなりませんが、外断熱は熱橋を考慮する部分は、非常に少ないのです
熱橋は、常に外気温や湿度の影響を受け様々な障害を受けやすくなります。特に構造部分のやせやくるいが出やすく、後々隙間が生じ、断熱性能の低下や壁体内の結露などの問題を引き起こしてしまう危険性が出てくるのです。
そして、気密・断熱ラインの双方が、構造の内側となる内断熱では、構造躯体や断熱材の露点温度に達する部分も必然的に構造内部となります。
つまり、室内で発生する水蒸気(10万分の2ミリという水蒸気の粒子)が、防湿層をすり抜けて躯体の中に侵入すれば、必然的に結露が発生することとなります。
多少の結露や湿気は、断熱材を通過し、外気に面した部分に張った透湿シートを通過し、外壁の内側に設けた通気層から、外部に排出させることで、被害はないとしているのがこれまでの考え方だったのですが、昨今の住宅建築では、耐震性を高める為に、構造用合板やパネルなどの耐力面材を構造の外側に施工するのが一般的で、こうした面材の実際の現場での透湿性がどれほど発揮されるかは、正直解明されていないのです。
弊社では、リフォーム工事も手掛けており、壁内部の状況も多数見てきましたが、ほとんどの現場は、悲惨な状況になっており、壁体内の湿気や結露水が外部に排出できていないのが、現実なのです。
わずか、0.2ミリほどの防湿フィルムと気密テープの耐久性はどれほどなのでしょうか。
内装下地となる石膏ボードを施工する際に大量に使用するビスの隙間から水蒸気は侵入しないものなのでしょうか。
※ 40坪位の建物の場合、石膏ボードの施工に使用するボードビスは約20,000本位になります。
地震で防湿フィルムは破れたり、穴が広がったりはしないものなのでしょうか。
構造材の乾燥により、痩せた部分の断熱欠損によって、結露は発生しないのでしょうか。
一方で、外断熱の場合は基礎・柱・梁・屋根躯体の外側部分に板状の断熱材を施工することで、断熱の連続性が生まれ、開口部や配管部での適切な気密処理を実施することで、高レベルな気密・断熱工事が図れることとなります。
基礎や構造部が全て、断熱材の内側部分となるので、熱橋部分もほとんどなく、構造躯体の中は、ほぼ室内側の温湿状況と近い状態となります。
こうして、従来は家の外側部分として扱われていた、床下や小屋裏・壁の中までもが、室内側として捉えることが出来る様になるのです。
そして、確実な気密・断熱工事を実施することで、構造躯体の内部では、結露の発生する露点温度には達することがない為に内部結露の心配はほぼなくなるという訳です。
弊社が標準で使用している押し出し発泡ポリスチレンという板状の断熱材は、断熱性能・透湿抵抗・強度もそれぞれ性能値の高い優秀な素材であり、雨の心配やつぶれたり、欠けたりするなどの心配もなくなります。
※ 断熱材については後ほど詳しく説明いたします。
もちろん、断熱施工の精度は、外からも内からも目視で確認が可能となり、気密工事の精度は気密検査にて、確実にチェック可能となるのです。
※ 実施しているメーカーは、ほんの一握りですが内断熱の断熱工事の施工精度は、表面温度測定器やサーモカメラで簡単に確認が出来ます。
つまり、外断熱の場合は、完全な気密・断熱施工を実施することで、設計時の断熱性能がほぼ100%発揮できるのに対し、内断熱の場合、造り手の技術のレベルにより、気密や断熱の施工不良が出やすく、熱橋という障害をかかえているが為に設計時の性能を発揮することが非常に困難だと言えるのです。
※ 名前だけ外断熱を謳っていても、気密測定を実施してないメーカーやC値1.0を切れないメーカー・完全な外断熱とはいえないいわゆる「外断熱もどき」の住宅でも、性能は発揮することは出来ません。
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