家の隙間によって生じる自然換気量は、C 値(相当隙間面積)・室内外の温度差・外気の風速によってそれぞれ変動します。
下記の表は、気密性能と内外温度差による換気回数を表しています。
宮城の真冬を考えると、室内と室外の温度差は日中で15℃、夜間から早朝で25℃位(寒い早朝)かと思いますので、内外温度差20℃で比較してみましょう。
一時間あたりの家の隙間によって生じる自然換気の回数はC値1.0の場合は0.07回・C値2.0の場合は0.13回・C値5.0の場合は0.33回となります。
この数値は無風状態の換気回数ですが、風速が加わった場合の表が次の表となります。
風速2.5Mの風が吹くと、C値1.0の場合の換気回数は0.1回・C値2.0の場合は0.2回・C値5.0の場合は0.48回となります。
さらに風速6.0Mの風が吹いた場合はC値1.0の場合の換気回数は0.25回・C値2.0の場合は0.5回・C値5.0の場合はなんと1.23回となります。
もちろん風向きや周辺の状況により、数値はそれぞれ変動はしますが、家の隙間(漏気)によって、これだけの自然換気量が生まれる事となるのです。
設置が義務化された計画換気では、概ね0.5回(2時間に一回)の換気量を確保するように設計されているため、実際は上記の換気回数がプラスされることとなるのです。
※ このグラフをみれば、高気密・高断熱の基準とされるC値5.0(温暖地)や2.0(寒冷地)の基準は、非常にあまい基準だという事がご理解いただけると思いますし、このあまい基準さえ削除された省エネ基準は、絵にかいた餅だということもご認識いただきたいのです。
当然、漏気による自然換気は、熱交換などの機能はありませんので、冷たい外気がそのまま侵入する事になります。
つまり、気密性能が悪い場合、いくら高性能な換気設備を設置しても、必然的に換気過多となり冬期間は熱損失が大きく、寒い、暖房費がかかるなどの問題が発生することになるのです。
こうなると、誰しもが換気のスイッチを切りたくなるのですが、スイッチを切ると今度は換気不良を招き、結露やカビの発生に頭を悩ますことになるから大変なのです。
そして、さらにやっかいなのが、隙間によって換気の経路がみだれ、排気口周辺の空気のみが外部に排出されることで、排気口から遠い居室や寝室などの空気はよどんだままの状態となり、空気が入れ替わらなくなり換気の意味がなくなってしまうのです。
※ 穴の開いたストローを吸っても、口元の空気しか吸えずストローの先の空気は全く吸えなくなるのと同じ理屈で、こうした現象を換気経路のショートカットといいます。
大事なのは、温度差や風向きで換気の量・性能が変動するような、ショートカットを引き起こす気密性能の悪い家を選択してはいけないということで、例え風があっても影響の少ない1.0を切らなければならないのがお解りになるかと思います。
因みに世界一厳しいといわれるカナダのR-2000という基準では0.7cm2/m2以下となっており、私達の全国の仲間達や、国内の気密・断熱のトップランナーの間では、0.7cm2/m2が最低基準となっており、日々高水準の家づくりに取り組んでいます。
※ 弊社がご提案するソーラーサーキットでは、全棟気密測定を実施し、C値1.0以下を保証させていただいておりますが、将来の経年変化も考慮し、0.5を目標値として気密施工を実施しており、これまでの平均値は0.46cm2/m2となっております。
尚、C値は建物の大きさや形状・開口部の面積比率や種類によっても差が生じます。
例えば40坪・総2階建ての建物で、シングルドアを設置、窓面積を少な目に計画し、掃出しや高窓でも気密が若干落ちる引違い窓を最小限にし、気密性の高い縦すべり等の窓を配置すれば、0.1程度のC値を計測する超高気密住宅は難なくクリア出来るのです。
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外断熱が家族を守る 〇 家の隙間による自然換気量
k-taka:[大東住宅/社長ブログ]
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