1990年に入り、内部結露による被害の深刻さに気付いた研究者や技術者・断熱材メーカーの方々は、結露被害を防止するため、建築業界はもとより、国の関係機関や一般ユーザーなど各方面に高気密・高断熱住宅の必要性を訴え、その周知を図っていきました。
※ここでは詳しく触れませんが、ちょうどこの頃から、気密性能が確保しやすい外断熱(外張り断熱)が注目されるようになりました。
しかしながら、寒さの厳しい地域で徐々に普及していきましたが、従来の通気性を旨とした長年続く日本の建築手法の変更には抵抗もあり、「高気密」という言葉自体から抱く誤解や偏見が根強く、造り手にも住まい手にもなかなか広まる事はありませんでした。
そうした中、ようやく1999年3月、当時の建設省にて改正された「次世代省エネ基準」に初めて、相当隙間面積(C値)の気密基準が設けられました。
南北に長い日本では、気候の違いが大きく、求められる断熱基準にも違いがある為に、6つの地域に区分され、それぞれの地域にあわせ相当隙間面積(C値)にも基準が明記されました。
しかしながら、その基準は、温暖地で5.0以下、寒冷地でも2.0以下という大変ゆるい基準で、測定の義務もなく非常にあいまいなものでした。
そしてあろうことに、25年4月1日より施行された改正省エネ基準では、気密性能の確保する旨の明記はあるものの、この甘すぎる基準すら削除されたのです。
この気密基準を疎かにした断熱基準を2020年までに義務化にするというのですから、全くナンセンスな話で、将来大きな社会問題になるのではないかと本当に心配でなりません。
こうした背景には、日本という国の悪しき習慣や業界の様々な思惑や事情が複雑に絡み合ってのことだとは推測されますが、気密性能をないがしろにした住宅は、いくら断熱性能を強化しても、その性能を十分に発揮する事はなく、省エネにも快適性の向上にもつながらないばかりでなく、内部結露によって徐々に住まいと人の健康を蝕み、短命な住宅になる危険性が非常に高いということを是非ご理解いただきたいのです。
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