HOME > 大東住宅/社長ブログ

箱型の家はコストダウンに有効

近年、若い世代の方に人気のある、シンプルモダンとかデザイナーハウスの多くは、箱型の総2階タイプで設計するケースが多く、弊社でも箱型キューブタイプの要望が大分多くなってきました。

箱型の家の最大のメリットといえば、大分建築コストが軽減されるということです。

凹凸がない建物は、基礎や構造も含め資材や工事手間の効率がいいのは、何となくご理解いただけると思いますが、建築コストを抑える要素を紹介したいと思います。

箱型の家は、一般的に

〇 屋根がフラットタイプが多く、小屋組みの構造材や工事費用・屋根材の数量や工事費が削減できる。

〇 窓が小さかったり、少ない家が多く、サッシ本体や取り付け工事・カーテンや網戸なども削減できる。(窓が小さくなった分、外壁工事がかかりそうですが、逆に無駄な材料や施工手間が省け、外壁が大きくなっても、ほとんど変わらずに、逆に若干安くなるケースもある。

〇 軒の出が少ないタイプは、軒部分の材料費や手間・屋根工事も削減できる

〇 バルコニーがつかない家も多く、バルコニーの費用を削減できる。

〇 建物の外周で、構造の強度計算が図れるので、オープンなプランを作りやすく、内部の柱や間仕切りの耐力壁が削減できる。

〇 冷暖房の効率が良くなるために、エアコンの容量や台数も削減できる。

こうした要素によって、大分コストダウンが可能となり、2000万以内でも十分外断熱の家が出来て、コストを抑えた分、設備や仕様に費用をあてた設計も可能ですのでよろしくお願いいたします。

※ 屋根のフラットタイプは、外断熱ならではの小屋裏の有効利用や換気のメンテナンスに難点が出ますので、屋根の形状は考慮いただければと思います。





Q値からUa値に変更されたのは?

2015年に改正された現行の省エネ基準ですが、家の断熱性能を表す数値は、Ua(ユーエー)値という数値が用いられるようになりました。

Ua値とは、「外皮平均熱貫流率」のことで、どれくらいの熱量が家の外に逃げるのかを表す数値で、建物の室内と外の温度差を1度と仮定したときに、建物の外へ逃げる1時間当たりの熱量を外皮面積(天井、壁、床、窓等)の合計で割ったもので、下記の数式で求めることができます。

Ua値 = (外皮の熱損失量の合計) ÷ 延べ外皮面積

このUa値のベースとなっているのが、1999年に告示された次世代省エネ基準となり、以前は断熱性能を表す数値として、用いられていたのが、Q値という数値でした。

Q値とは、熱損失係数のことで、Ua値同様、建物の室内と外の温度差を1度と仮定したとき、1時間あたりどのくらい熱量が建物の中から外へと逃げてしまうのかを求める計算式となり、下記の計算式で求めることができます。

Q値 = (外皮の熱損失量の合計 + 換気による熱損失量の合計) ÷延べ床面積

Ua値もQ値も、どちらも熱損失量を表す数値に変わりはないのですが、大きな違いは、Ua値は熱損失量を外皮面積で割るのに対し、Q値は延べ床面積で割る数値となります。

またQ値では、24時間換気による熱損失もカウントしていたのですが、Ua値 にはカウントされていないということです。

つまり、2003年以降、義務化となった24時間換気による熱損失分は、カウントされていないために、どちらも断熱性能を表す数値ではあるものの、実際の性能に近い数値を示しているのはQ値であって、Ua値 は、似て非なる数値とも言えるのです。

また、次世代基準の断熱性能には、O値に加え、気密性能も重要という考え方に基づき、C値という家の隙間面積を表す数値がセットで示されていましたが、Ua値に変更となり、不可解なことにC値の基準は、すっぽりと削除されてしまったのです。

一般的に、Q値からUa値に変更された、理由として挙げているのが、Q値は、家の床面積の違いによって、数値にバラツキが出て、家が小さいと数値が大きくなる傾向があり、断熱性能を平等に比較するためにUa値 に変更されたというのが、主な理由とされています。

しかし、本当のところは、大手のハウスメーカーやローコストビルダーの一番、苦手なC値をうやむやにするために、変更されたというのが実状ではないかと業界で、秘かに囁かれているのです。

もちろん、平等に評価できるという点においては、評価すべき点ですが、換気による熱損失や家の隙間による漏気を除外しているUa値の性能を比較しても、正確な性能や光熱費の比較は出来ないのが現実なのです。

こうした話は、ハウスメーカーの営業マンですら、分からない部分であり、ユーザーでもよほど勉強しなければ知りえないことなのです。

しかし、こうした背景には、業界の思惑や圧力のような目に見えない力が、働いており、現在の住宅業界では、Ua値という数値だけが行き交っており、結果的に、宮城のような寒冷地でさえ、熱損失の大きい3種換気が未だに主流で、気密検査を実施している業者も、ごく少数となっているのです。

そして考えなければならないのか、Ua値は、あくまで計算値であり、保証された数値ではないということで、断熱の施工精度や将来の経年変化も一切考慮されていないのです。

しかも、多くのメーカーで公表しているUa値は、計算上有利になるような断熱仕様や窓面積を少なくした建物で計算しているケースが多く、実際に建てられる建物によって数値は大きく変わるという認識も必要です。

いずれにしても、Ua値は家の断熱性能を示す根拠にはなりますが、そのまま鵜呑みにすると、住み心地や光熱費に大きな影響を及ぼすのは確実で、例え同じUa値であっても、弊社の外断熱の家と比較すると、最低でも20%前後は低いのではないでしょうか。

あくまで、省エネ住宅やZEH住宅には、正しい断熱施工と換気計画に基づいたQ値とC値が非常に大事だということをご理解下さい。

塗り壁=健康というわけではない?

  • 塗り壁=健康というわけではない?
漆喰や珪藻土などの塗り壁は、気密と断熱と換気と冷暖房のバランスがとれている住宅で、温度差のない暮らしと、きれいな空気の中で、使ってこそプラスの効果がはたらきますが、これらのバランスが悪いと逆効果になるケースも少なくありません。

塗り壁の最大のメリットは、調湿性と、どこの会社でも言うと思いますし、確かに調湿性のある素材ではあります。

調湿性というのは、言うまでもなく湿気を吸ったり吐いたりする性能ですが、実際、梅雨のじめじめした時や冬の乾燥期に、何日間も、湿気を吸収し続けたり、湿気を吐き続ける魔法のような塗り壁は存在せず、調湿機能に対して過度な期待は避けた方が賢明です。

そもそも、石膏ボードを下地にして、1.2ミリ塗った程度の漆喰の調湿性は、せいぜい40グラム前後で、70グラム以上という調湿建材としてのJIS基準を満たしていないものがほとんどです。

参考までに、JISの調湿建材としての基準に合格するための測定法を簡単に紹介したいと思います。

調湿性能を測定したい製品の試験体を温度23℃・湿度45%の環境に置いて、試験体に含まれる湿気の量を調整します。

その後に、温度23℃・湿度90%の箱の中に移動させて、試験体に湿気を24時間吸収させて、何g重くなったかを確認し、また23℃・湿度45%の箱に移動させ24時間放湿させるのです。こうした作業を何度も行い吸湿性の測定をしているのです。

画像にある私の家でも、漆喰や珪藻土を結構使用しておりますが、冬の乾燥時にも、湿度の高い梅雨の時期も、クロスの張った部屋と塗り壁の部屋の湿度は、ほとんど変わることはありません。

どういうことかというと、湿度の高い部屋の塗り壁の素材の含湿量も高くなっており、常に室内の湿度と同調しているために、ほとんど吸湿は望めません。

逆に乾燥している冬時期は、素材そのものの含水率も低いために、強制的に霧吹きで水をしみこませたりしなければ、放湿作用は働かないのです。

そして、考えなければならないのが、湿気を吸収するということは、湿気とともに空気中の汚染物質や臭いも吸着し、湿気を吐くということは、吸着した成分も放出してしまうということです。

家の中には、建材や家具・カーテンのほかにも、消臭剤や合成洗剤・柔軟剤や防虫剤などに含まれる数多くのVOCやカビや細菌・人体からも発生する生物由来の有機物が空気中に揮発されており、日々の炊事や家干しによっても様々な臭いは発生し、壁に吸着されてしまうのです。

特に温度が高く、湿度が高くなる時期には、加熱や加水分解され、吸着した成分の揮発量が増加し、色々な臭いがま混ざって、異様な臭いのする塗り壁の家もあり、乾燥時期においても、同様の現象は続いてしまうのです。

ナイチンゲールは、著書「看護覚え書」の中で、病室の内装に漆喰を塗ったり、湿気を吸いやすい床材を使用するのは最悪の行為だと説いていますが、まさしくこうした理由であり、コンビニやデパートのトイレに、タイルやパネルを使うのは、臭いをつけずに掃除しやすくするためなのです。

そして、病室で、物を干すのも最悪ともいっています。

通常の家では、一番暖かいということもあり、キッチンと繋がるリビングで、物干しする方もいらっしゃいますが、合成洗剤や柔軟剤の成分がリビングに放出するばかりか、雑菌も繁殖しやすく、極力避けていただきたいと思います。

最近のCMでは、洗濯物が乾く前に消臭抗菌剤を何度もスプレーするのを宣伝していますが、生干しのニオイや雑菌は抑えたとしても、消臭剤に含まれる有害物質が部屋中に蔓延し、よほど換気を徹底しなければ逆効果となりかねません。

また、塗り壁は、アルカリ性でカビが生えないと思っている人も多いのですが、4.5年すると酸化によって中性となり、湿気を吸い込むことで壁にカビが発生している住宅もあり、防カビ剤の混入された塗り壁も防カビ剤が効かなくなるので、条件が揃えばカビが発生してしまうのです。

そして、塗り壁を採用する場合は、構造材の選定や下地処理などの施工精度も非常に重要です。

建築後の構造材の収縮や、下地処理や塗り方が雑だと、壁のあちこちに、隙間やクラックが生じてしまうケースが多く、クレームを言っても、自然素材なのでしようがないという造り手が多いのも悲しいかなこの業界の現実です。

ちょっと大きな地震が来るとバックり割れて剥がれるケースもあり、補修や費用についても、事前に確認しないと後々大きなトラブルになりますので、ご注意ください。 会社によっては、補修材を渡されるケースもあるようですが、クラックの数や場所・仕上がりのことを考えるといかがなものでしょう。

つまり、住宅の素材も大事なのですが、素材の良さを生かすも殺すも、室内の清浄な空気を保つ換気と、温度差ない家にするための気密性や断熱性、そして、素材に頼らない湿度のコントロールや適切な掃除が備わっているかが重要で、これらのバランスが悪いと、自然素材は逆にカビやダニが繁殖しやすいという理解も必要なのです。

調湿性はもとより、素材だけで健康になる家はあり得ないということをご理解いただきたいと思います。

※ 弊社の外断熱の家は、キレイな空気と温度差のない塗り壁にふさわしい住まいであり、しかも、構造躯体に含水率9%前後のLVLを採用しており、建築後の構造材の収縮や割れなどはほとんどなく、大きな地震でも、クラックの、発生確率は非常に少なく、発生したとしても、軽微なものですので、安心して塗り壁をご採用いただけます。

エアコンの苦手な人へ

ヒートポンプ技術の進歩で、1の消費電力で、7倍以上のエネルギー効率を発揮する、昨今のエアコンですが、冬の暖房にしても夏の冷房にしても、エアコンの苦手な人や嫌いな人は、案外多いのではないでしょうか。

私も以前は、そうでしたが、エアコンが苦手な人の共通点で多いのが、吹き出し口から出る風の強さや音の煩わしさにあります。

温風にしても冷風にしても、あの風が直接身体にあたると、不快なのは当然で、運転音も気になるものです。

それもそのはずで、エアコンから吹き出る空気温度は、設定温度とは違っており、暖房の場合は40℃~50℃と高温で、冷房の場合は12℃~20℃位の低温なので、普通は、1.2分あたっているだけで、不快感を生じてしまい、エアコンの風があたる位置にいると、どうしても暑くなりすぎたり、寒くなりすぎたりするのです。

しかも、エアコンは、室内中の空気をフィルターに通しているだけなので、メンテや換気が不十分で空気そのものが汚れていると、カビ臭がしたりして、空気の新鮮感もなかなか感じることはありません。

また、エアコンの使い方にも大きな共通点があります。

エアコンが苦手な方の多くは、部屋の戸を閉めて、使う部屋だけ、いる時だけ、暖めたり、冷やしたりする局所運転が一般的で、しかも寒い時や暑い時だけ使用する間欠運転するのがほとんどです。

私達日本人は、幼いころから、節約や倹約を意識した教育を受けて育っており、どうしてももったいないという意識が強く、このような使い方が、自然に身に付いているのです。

そして、寒い時や暑い時にスイッチを入れるので、初期運転時には、どうしても負荷がかかるために、風量や音・温度差も大きなものとなり、益々不快に感じてしまうのです。

※ エアコンは設定温度になるまでの電力消費が大きく、設定温度に到達すれば実に効率がよくなります。

しかも、部屋を締め切っての局所運転は、他の部屋と、大きな温度差が生じ、ストレスを感じるばかりか、戸の開け閉めをすると空気の対流によって、廊下や他の部屋から、冷たい風や熱気が侵入するために不快感は増幅してしまうのです。

こうした不快な現象ををもたらす最大の原因は何でしょう。

それは、ズバリ、家の性能であり、気密や断熱性能の低さが最大の共通点です。

寒い家は、暖まるのにも時間がかかり、消すとすぐ寒くなり、暑い家は冷えるまで時間がかかり、消すとすぐ暑くなってしまいます。

つけたり、消したりするということは、そのたびに寒さや暑さを感じるからで、それはそれで、ストレスも感じ、さらに、そのたびに強い風量と大きな音にもストレスを受けるのです。

かといって、長時間つけていても、なかなか家全体を暖めたり、冷やしたりするのは、難しく、電気料金の負担も大きくなるために、益々エアコンが苦手になるというわけです。

そして、断熱性能の低い住宅では、冬の熱損失や夏の日射熱の侵入が大きく、床や壁・天井の表面温度も、冬は低く、夏は高いために、体感温度に違いが生じるために、設定温度が暖房は高めに、冷房は低くなりがちで、不快さが増すばかりか、光熱費まで大きく上昇してしまうのです。

環境省が推奨するクールチョイス(賢い選択)運動で、冬のウォームビズは20℃・夏のクールビズは28℃が推奨されていますが、普通の家で、冬の20℃は寒く・夏の28℃も暑く、とても快適とは言えないのが、正直な話で、我慢を強いられてしまうのですが、この原因は、家の性能にあると言っても過言ではありません。

夏の時期は、エアコン病になってしまう方も多いのですが、通常、外との温度差はよほど暑い日は別にして、5℃前後が、体調を崩さない目安になっていますが、エアコンの設定温度は、25℃以下にする方の割合も多いようです。

外断熱の家では27℃~28℃で、十分な涼しさが得られますが、普通の家で、この設定温度では、日射熱による熱の侵入と壁面の熱ごもりによる輻射熱の影響で、とても暑いために、設定温度を下げざろうえず、結果、身体の冷えや自律神経に乱れが生じ、体調を崩してしまうのです。

特に、2階にある寝室のエアコンには注意が必要で、日中40℃~50℃に熱せられた小屋裏の熱ごもりで、天井面から熱の侵入が、夜になっても続くために、エアコンではなかなか適温のコントロールは、難しく、つけっぱなしで風邪をひいたり、暑さで目が覚めたりして、寝不足となり、体調を崩す方は少なくありません。

また、冬の暖房時のエアコンの乾燥感にも抵抗感を持つ方も多いようです。

暖房の場合も、身体に直接感じる風や音が大きな理由の一つですが、ファンヒーターの生活に慣れた方は、水蒸気の発生しないエアコンに、どうしても乾燥感を感じるものです。

もちろん湿度も低めになるために、乾燥感は否めませんが、湿度計があって30%台になったりして、インフルエンザのニュースなどを耳にすると、無意識に体が反応してしまい、喉や肌の乾燥が気になったりするのです。

また性能が悪い住宅の場合は、足元がスースーし、上半身ばかりが暑くなったり、ホコリの侵入や、カビやダニが繁殖しやすく、フィルターの清掃をまめにしないと、フィルターが目詰まりし、カビも生えてしまい、つけるたびに、くしゃみや咳が止まらなかったりする方もおり、ホコリを巻き上げるという感覚をもつ方もいらっしゃるのです。

こうした理由もあってか、空気を汚さず、家を足元から暖める床暖房へのニーズも高くなっている傾向があるのですが、残念ながら、床暖房を上手に使いこなしている方は、非常に少ないのが現状で、その多くは宝の持ち腐れとなり、無駄なコストをかけた上に、使わない床暖の税金を毎年払い続けなければならないのです。

要するに、冷暖房に関しては、これまでの意識を変え、使い方を見直すことが大事で、冬や夏の時期は、出来るだけ開放的な暮らしを心がけ、家中の温度差をなくす冷暖房機器の連続運転が必要となるのです。

連続運転といっても、設定した温度に達すれば、運転は停止されたり微風運転となりますので、間欠運転のような負荷はかかりません。いうなれば車の60キロでの連続走行と同じ理屈で、燃費効率も大幅に向上するのです。

しかし、昔のアメ車をいくら連続走行させても、燃費は相当かかるのと同じで、大事なのが、連続運転しても光熱費の負担を最小限にする家の性能が何より重要になるわけです。

考えていただきたいのは、昭和の時代のように、隙間の大きい家で、寒ければ寒いなりの、暑ければ暑いなりの暮らしを送り、換気や掃除を徹底し、家干しもしなければ、現在、発生しているような問題は、ほとんど解消されます。

しかしながら、中途半端に気密性や断熱性が高まった住まいの中で、冷暖房の使い方をはじめとした、これまでの暮らし方を続けていく限り、湿気や結露・カビやダニがもたらす問題の根本的な解決は困難で、様々な弊害と負の連鎖を招き、人の健康ばかりか建物の耐久性も阻害してしまうのです。

度々、紹介させていただいておりますが、気密や断熱・換気や冷暖房などのバランスを満たした家であれば、弊社の外断熱の家でなくとも、これまでの1室分から2室分の冷暖房費で、寒さや暑さ・湿気や臭いに悩まないストレスフリーの暮らしが可能になります。

ある程度の性能を有した家であれば、間取りにもよるものの、120㎡位の家であれば、1台から2台のエアコンで、冬は20℃~22℃・夏は27℃~28℃の温度設定で、家中の温度差を2℃~3℃以内に抑えることが可能で、冷暖房費も24時間連続運転しても、年間で10万円以内で十分収まるはずです。

そうすると、エアコンの風や音も気にならず、暮らしが一変するかのような快適な室内環境となり、どんなホテルや旅館よりも、自宅が一番快適だと実感するはずです。

いつも言っている通り、熱も水蒸気も高い(多い)所から低い(少ない)所へ移動します。

そして、こうした現象は、寒い冬と暑い夏は移動する方向が逆転してしまうのです。

まだ中途半端ではありますが、家の断熱化が進み、冷暖房があたり前になった現代の生活では、こうした熱と水蒸気の動きは、日常的に起こっている現象であり、熱と水蒸気によって生じる様々な弊害を抑えるためにも、気密や断熱・換気や冷暖房のバランスが重要になるのです。

弊社のオーナーでも、時折、少し寒いとか暑いとか臭いと言ったお話を頂戴する場合がございますが、ほとんどが冷暖房の使い方や暮らし方の勘違いや間違いが、大きな要因で、結局、閉鎖的な暮らしに加え、局所と間欠の冷暖房の使い方をなさっているケースが大半です。

閉鎖的な生活は、換気も正常に働かないために、単に寒いとか暑いとか以外にも、様々な影響を及ぼしてしまうのです。

外断熱の家に限らず、どんなにお金をかけても、建てただけで省エネで快適に、健康に暮らせる魔法のような家はありません。

しかし、家の温湿度や換気・光熱費も含め、お客様の理解と工夫によって、簡単にコントロール出来るのも、性能が高く、自然の理に叶ったソーラーサーキットの家であり、外断熱の家なのです。

それぞれの暮らしに合った工夫もまた楽しいものです。

ご家族にとって、ベストな住み心地と健康な暮らしを実現していただくためにも、是非、ご理解下さいます様よろしくお願いいたします。

家のC値(すき間の大きさ)は簡単にわかる

以前も紹介させていただきましたが、家の気密性がいいのか、悪いのかを簡単にチェックする方法はないですかという問い合わせがたまにございます。

気密検査を実施すれば、簡単に気密の良し悪しはわかるのですが、そういう答を求めての問合せではないケースがほとんどですので、簡単にご説明させていただきます。

この季節は、外と室内の温度差が大きいので、非常に分かりやすいのですが、気密の悪い住宅の場合は、部屋を暖房していると暖めれば暖めるほど隙間による換気量(すきま風)が大きくなるので、床と壁の取り合い部や、サッシの下場、コンセントボックスなどに、手をかざすとすきま風を感じるものです。

ただ、温度差が少ない春から秋の時期は、温度差換気は働きにくくなるので、隙間風をあまり感じません。

そんな時は、レンジフードの換気扇をつけることで、気密の良し悪しがわかります。

レンジフードの排気量は、非常に大きく機種によっても違いますが、強運転で、概ね1時間あたり400から500立米位の排気量があります。

例えば、120平米(36.5坪)の建物の場合の気積は、約300立米ですので、台所の換気を強運転すると、家全体の気積以上の排気量となるわけです。

つまり、それだけの量の空気を排気するには、排気する分の空気を外から導入しなければならないのです。

通常、高気密・高断熱住宅の場合、排気に見合った給気をするために、同時吸排タイプという換気を回すと自動的に給気するタイプのレンジフードをつけるか、排気連動シャッターという、換気をつけると、連動して給気口が開くタイプの商品がセットするのが、ある意味常識ですが、残念ながら、設置率はビックリするほど低いのが現状です。

ようするに、そうした家では、換気をつけると、空気を引っ張る力によって、家の隙間から大量の空気が入ってくるという訳です。

よく、パック式の牛乳やジュースを飲み、中身がなくなると、パックが萎んできますが、これは、パックを吸うとパックの外側から空気を引っ張ろうとする力が働くからで、レンジの排気も同じ理屈で、室内に負圧の力がはたらき、隙間から空気を引っ張るのです。

ただ、厄介なのが、計画換気のために設置している給気口が開いていると、吸気口からも給気されるので、わかりにくい側面があるのです。

同時吸排換気も排気連動シャッターもついていない住宅の場合、換気も自然給気の第3種換気が定番で、こうした家でよく聞かれるのが、冬の冷気の侵入で、不快なばかりか、部屋がなかなか暖まらず暖房費が高くなるということです。

そうすると、ほとんどのユーザーは、吸気口を閉じてしまうのですが、閉じた状態でレンジフードをつけると、家の隙間から外の空気が侵入し、リビングやダイニングなどにいると、隙間風がスースーと入ってきます。

コンセントなどの気密処理が不十分だとコンセントの穴や周辺の隙間からも、風が入るのです。

3種換気の隙間をチェックする場合は、

① 計画換気の給気口を閉じる
② レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
③ キッチンに近いダイニングやリビングの床と壁の隅部分やサッシ部・コンセントなどから、空気が入ってこないかチェックする。

こうした形で、チェックすれば、ある程度気密の良し悪しが分かります。冬は空気が冷たいので、手をかざしただけで分かりますが、暖かい時期は、風量が強くないと分かりづらいので、お線香の煙などを使うとはっきりわかるようになります。

一方、1種換気の場合は、給気も排気も機械式で、それぞれ一定量の空気が出入りする設計なので、換気を止めたりする必要はありません。

※ 同時吸排タイプの換気でも、給気される量は排気量の約50%位ですので、同様の現象が生まれます。

今、説明したのが一つ目の方法ですが、もう一つの方法が、玄関ドアの開閉です。

窓が開いていないか確認の上(開いていたら閉める)

① レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
② それぞれの運転時に、玄関ドアを開け閉めしてみる。

先ほど、説明しましたが、レンジの換気を回すと、室内は負圧状態になり、外から空気を引っ張ろうとする力が働くために、家の気密性が高いと玄関ドアの開くときも閉める時も圧力がかかります。

よく、マンションでは、レンジの換気をつけていると玄関が開けづらいというのが、一般的です。

マンションの場合は構造上、気密性が高く、家の隙間は窓などに限定されるために、吸気口を閉じたりしていると開け閉めに圧力がかかるのです。

つまり、レンジの換気をつけると、気密の悪い家は、家の隙間から空気が侵入し、気密が高い家は隙間風が入らない分、玄関ドアの開け閉めに圧力がかかるという訳です。

ご自分の家なら、いろいろ試せそうですが、建売などの物件をチェックする場合は、換気をつけて玄関ドアの開閉をチェックするのが、とりあえずのおススメです。