数年前の事。
私が土地の持ち主にお断りし、肥料を蒔き、草を刈っているワラビ園での話しである。
草を刈り数日。
綺麗な野原にワラビだけがニョキニョキと頭を出し伸びている。
ボチボチ採り頃だなぁ~
ぶどうの管理作業が終わったら獲ろうかなぁ~
などと思っていた頃である。
ブドウ園で作業中、誰かしらそのワラビ園に入ってきた。
そして、そのワラビを採っている。
よく見れば近所のおばさんである。
このおばさん、あちこち近所のブドウ園やら牧草畑やらの脇で、それらの主が楽しみにしている山菜を採りあさり評判がよくないのであったのだが。
明らかに管理されておるその場で堂々と採っている訳だ。
当然ワタクシは注意する訳ですね~
「そこはちゃんと管理して、肥料もまいている訳で採ってはならん」
とですね~。
するとおばさんは
「何だ事~」、と不愉快な顔をして、誤りもしないで、そのワラビ園から出る間も足元のワラビを採取しながら出ていく訳である。
管理されたワラビ園であるから、ほんの数分で相当量をとれる訳だし、注意されたあとも採取するなど論外である。
ある時、この事でその旦那と言い合いになった。
「ワラビなんて毎年出るもんだ、何がとって悪い!!!」
謝るどころか逆切れである。
それ以来、近所であるがこの家とは折り合いが悪い。
一言「悪かった」と言えば済むものを、それがないばかりに和解もない。
この家とは、似たような事やそれ以上の事もあり、ワタシが謝らなければならない事は無いのだが、先方が俺に頭を下げなければならない事が積み重なるのである。
それらに対し、何一つ謝罪も何もない。
言葉を交わすことになれば、「何が悪い!!」
「お前だって○○じゃないか!!」
となるのだ。
俺に落ち度はないし、氏に謝る事は何もない。が、逆切れとは恐ろしいもので、俺に謝罪を要求する訳である。
どちらも悪い喧嘩は長く続かない
と言う言葉があるが、どちらか一方に原因がある場合で、原因側が謝罪なりしないと喧嘩は長く続くと言う事である。
謝る事。
感謝の言葉を知らない事は不幸な事である。
彼の家では、それが子への教えとなり、孫に伝わる。
子は親の鏡と言うが、その通りなのである。
不幸な事だ。
かく言う我が家も、人の振り見て我が振りを省みる事を惜しんではならないのである。