中秋というのに遠くに雷を聞く。
いや、瞬きに光を見たかもしれない。
秋雷(我が造語)・・・襲来と同音でよかろう。
友人宅に邪魔をし、少し酒の精を頂き、病の友の近況を語り、
雨に打たれるまま、家路を歩いた。
月の満ち欠けにあわせ、病の友の容体も変わる。
苦しみも忘れ、安らかな呼吸とぬくもりだけが救いである。
彼岸を見ているのだろうか、
かける言葉もかすれる。
頑張ったなぁ、疲れたか~・・・・・・
もう、休むか・・・・
家族が、そう言う俺に、ただ頭を下げるばかり。
妙に暖かい雫に打たれ、
ただ一度の稲光が山を一瞬浮かび上がらせた。
紫の空に赤い山。
どこまでも遠く照らすストロボ。
こんな雨は、類い希なる襲来である。
春、凍える冷たさから、暖かい優しさを帯びる季節の変わり目に打たれる雨に哀愁と希望と優しさを感じ得るが。
この雨には、残酷と不安を、
顔を流れる雫が味来に運ぶ。
明日が中秋の名月か。
重い秋だ。