まぁ、寒い一日だった。
剪定仕事も冬装束で行った訳である。
ニットのシャッポにMA1ジャケット。軍手に皮手袋を重ねての重装備。
それでも時々雨が降り、強風にあおられ仕事が中断する。
小雨が降りだすと、カメラを持って山方面へと足が向く。
紅葉は、綺麗な紅葉である、とは言えない。
いまひとつパッとしないところがある。
赤が足りないのか、黄色が鮮やかでないのか、そのどちらでもあるのか・・。
堰堤の溜まりには「コガモ」が佇む。
飛来する鴨を、コンパクトデジカメで写すのは至難の業だ・・・
数枚撮って、何とか写っているのが1枚だけだった。
画面になかったり、白とびして空に同化しちゃったり。
親友が向こうの岸に渡ってしまってから1年立った。
早い。
夕刻、暗くなり車のライトが必要になった頃、缶ビールを持って、彼のお墓に向かった。
自宅には顔を出していない。パフォーマンスじゃないから、生きている人間にお参りに行ってきました、などと言って自分を売るような素直な性格じゃないものだから、お墓に頭を垂れ、ビールと火を点けた煙草を供えただけである。
今日はこれから、町の害獣駆除・パトロールで終日の予定だ。
各地区の猟友会会員と町の職員が毎週木曜日、交代でパトロールをする。
主にニホンザルの駆除な訳だが、発見し、捕殺可能なら銃を向ける。
出来るならば撃ちたくはないのだが、それによる農産物被害はひどく、また、同じ農業者としてその気持ちは十分に理解できる。
撃たなくて済む方法があるのならば、良い知恵や実効的な対策、それに関わる費用などの面で救済があれば良いのだが。
遠くから眺めているだけで、殺生はいかんとか、動物保護だ、とか言うだけでは、人間同士の摩擦になるだけで、動物の保護にはならない。
実効的な行動があってこそ、お互いの理解が深まると言うものである。
その先に、初めて被害農家の痛みの理解・救済と、動物の命の理解・救済があるのだろう。
私自信、クマを追う猟師である。
四国・中国地方ではクマの生存が危機的状況である事や、中部・東日本でさえ、計画的な管理された狩猟・駆除を行わないと絶滅に瀕する危機があると理解している。
クマが好きだし、クマを狩る事もまた、俺の命に活力と精神と神の自然の何たるかを教えてくれる。
それらと、未来的に、共にあれる事が望ましいのである。
いつまでも、クマをはじめとする野生動物たちと、ある時は戦い、ある時は友として、この自然に抱かれた日本という国の上にありたいのである。
共生ではなく、共に死ねる事。
すべてが天寿を全うし、大地に還れる事が望ましい。
その過程で、命の受け渡しとなるやり取りがあっていい訳である。
放射能は、そんな細やかながら激しい、命のやり取りさえ拒絶させるのである。
さて、これからサルを殺さなければならない仕事に出かける訳だが。
願わくば、人里に出なんで欲しいものだ。俺の前や、農家の畑荒らしはやめて、山のドングリとかで我慢していて欲しいものだ。
俺たちは、好んでサルを撃とうなんて気はないのだから。
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