HOME > 記事一覧

他人が関わっていいことはない

 たとえ夫婦といえども踏み込めない、踏み込んではいけない事がある事を学びました。

 ガンという病との辛い闘いにおいては、誰にも知られたくない事の方が多くありました。

 病に限った事ではなく、プライバシーに関する事には絶対に他人が踏み込んではいけない領域があると思います。

 人とかかわりを持たずには生きていけないのかもしれませんが、領域を侵して他人が関わって良いことはないと思っています。

 これから・・・微力でも誰かのお役にたちたいと思った時、自己の軌跡への満足だけにおわらないように・・・寄り添い方を間違えないように・・・心に留めておきたい事です。

 

知らない方が幸せ?

主人が発病する半年ほど前から、縁あって医療機関に勤務しています。

 主人が入院して間もない時期に 上司から

 『医療機関で働くのは嫌ではないですか? 知らなくていい事まで知ってしまうのは辛くないですか?』

 と声をかけて頂いたことがありました。

 嫌ではありませんでした。むしろ、もっと知りたいと思っていました。

 事実を現実を・・・ありのままを知りたいと思っていました。

 ある時、主治医に

 「先生の口から直接伝えてもらえない事があることをとても不快に思う」

 と言った事があります。


 その時、医師は

 『知らない方がいい事もあります』と。

 本当にそうだと思います。

 ガンの本人への告知は、ほぼなされるようになったと思います。
 しかし、ガンという病気は、病名告知以上に辛い告知を何度も受ける事もある事を知りました。しかも、一年数ヶ月という短い期間の中で幾度も。

 知ったほうがいいのか、知らない方がいいのか、どこまで知りたいのか、知りたくないのか、これは本当に難しいことだと感じています。

 

ドラえもん

 毎年恒例 春休み ドラえもん映画

 娘が幼稚園に上がったころから毎年観ています。今日も観てきました。

 主人が入院中、私が一番欲しかったものは

 ゛どこでもドア゛

 病院が遠くなればなるほど、あったらいいなぁと本気で思いました。

 ゛夢や希望はいつも口に出して誰かに伝えてね゛と娘達にはよく話をします。
 それは、伝えることで、応援してくれる人が必ず現れると信じているからです。

   

  

 

過酷な日々

 一年三ヶ月超の入院。一度も退院する事無く続いた闘病は主人にとっても家族にとっても過酷な日々でした。

 こんな中でも楽しく過ごせた日々がたくさんあったのも事実ですが、様々な葛藤の連続だったのも事実です。

 残りの時間を・・・生きるための治療に賭けた事は、唯一の光であり希望だったことは間違いありません。しかし、この選択をしたことで更に過酷な日々を送ったと考えるのが、より現実的だと思っています。

 最後まで積極的治療を選んだことを美談としてではなく、選択肢の一つであった事を娘たちには伝えていいこうと考えています。
  
 
  
 

医師は命を救えない?

 数年前ある外科医と雑談していたときのこと・・・

 『医師は唯一命を救える職業ですよねぇ・・・』と言うと、

 『医者が命を救えるなんておこがましい。医者は嘘つきだよ。今、正しいことが 10年後間違いだと覆ることが医学にはままある。医者は今出来る最善の医療を 提供するだけだよ。」と。


 闘病中この会話が何度も頭をよぎりました。

 医師の仕事は最善の医療を提供する事

 やっぱり

 主人は医師に命を救ってもらったと思っています。それも何度も・・・。