HOME > 記事一覧

大粒の涙

職場が異動になってまもなく二ヶ月

夫を亡くしたことを初めて同僚に告げた

今まで隠していたわけではないが

毎日慌しくそんな話をする機会がなかった

今日は珍しく、朝からゆとりがあった

最後までゆっくり話を聞いてくれた同僚の目から

大粒の涙がこぼれた

私は昨日、ガン告知を受けた方に

『Drの前で泣いてしまいました』

と話かけられ

返す言葉が見つからなかっただけでなく

一緒に泣くこともできなかった

医療スタッフとして

心から命に寄り添えるようになりたいと思った

魔法の言葉

数日前から喉が痛い

体調が優れないこともあり

夕飯後テレビを見てゴロゴロしている娘達に

『少しぐらい手伝ってよ!』

と怒りをぶつけた


翌日

いつもと変わらず夕食後テレビをみていた娘が

突然慌ててやってきて


娘 『お母さん何か手伝うことある?』

私 『何で?』

娘 『だって、昨日、何か手伝ってって言ったべした』

私 『あぁ・・・じゃあ、洗濯物たたんでくれる?いっぱいあるけど出来るかな?」

娘 『わかった!出来る』




しばらくして・・・

洗濯物をたたみ終えた娘が


正座をして


『ありがとうございました』


と深々と頭を下げた


理解できない行動にとまどった私は


『何がありがとうなの?』


と聞いてみた


すると


娘 『こんなに、楽しい体験をさせていただいてありがとうございました』


と、これまたご丁寧なお言葉が・・・


私 『いやいや、こちらこそ手伝って頂いてありがとうございました』


娘 『明日もやらせてください』


私 『いやいや、お気遣いなく・・・』


と言ってしまってから、はめられた事に気が付いた(苦笑)

明日は手伝いをしなくていいと言ってしまったではないか・・・


どうも調子の良い娘達にのせられてしまうことが多い


でも

『ありがとう』は

人の心を動かす魔法の言葉だと思う

百ヶ日法要~決意新に~

主人が亡くなってちょうど100日

いろんなことがあったようななかったような

振り返る余裕もなく過ぎた100日

99日目にしてやっと私の夢に主人が現れた

ただ笑っていた  

最後のお別れを言いにきたのだろうか・・・




東京への病院通い、子供達の事、仕事の両立がだんだんきつくなってきて

何か一つを削るとしたら・・・

仕事を休むしかないと思って主人に相談した事があった

病院には来なくても仕事は続けて欲しいと主人は言った

私にとって職場が唯一現実をわすれてホッと出来る場所だと分かっていたから



仕事を続けてこれたのは、職場の方々の理解と協力があったから

勤務時間や勤務日を過分に配慮していただいた

『何で返したらいいかなぁ・・・』

ぼそっと私が言ったとき

『お母さん、仕事で返せばいいじゃない!』

との娘の一言が忘れらない

闘病中たくさんの方々に支えていただいた感謝の気持ちを忘れることなく

真っ暗闇の中に光が差し込んできたときの感動を忘れることなく

明日へ・・・・

新たな一歩を踏み出してみようか・・・

嫁修行

娘のズボンのゴムが伸びきってしまった

少し太めのゴムに入れ替えようとしたが、なかなか上手くいかない

いいところまでいって、ゴム通しからゴムが外れてしまう


『ばあちゃんなら、一発でできるんだけどなぁ・・・』


私がつぶやくと


娘 『お母さん、嫁修行してから結婚した?』


私 『今どき、嫁修行なんてしないでしょ』


娘 『お嫁に来るとき、いろんなものもらってきた?』


私『そりゃあ、めんごい一人娘だもの、たくさん貰ってきたよ。あなた達がお嫁に行くときも、いっぱいけっからな!ついでに、お母さんもつけでけっから・・・』

 最後の一言に娘の顔が引きつったのを私は見逃さなかった(汗)


蛙の合唱

田んぼに水が入り

夜、蛙の声が聞こえるようになった


『お母さん、かえる鳴いてる!』

先に布団に入った娘が

走って知らせにきてくれた

我が家で聞こえたのは今年初

かえるの合唱は毎年、子供達の子守唄になっている

寝付くのにとても心地よいらしい

いつものように・・・・

昨年と同じように・・・・


平凡で変わりない毎日が幸せなんだと

大きな試練を与えられて改めて感じた

変わりのない毎日がいつまでもつづきますように