約束

たった一度だけ、最期に・・・
主人の主治医にお願い事をした
彼は条件つきで約束してくれた

主人も私も闘病中
医師に感情をぶつけることはなかった
何を告げられても冷静を装い
想定できる限りのことを考え
どう対処していくのか
いつもその事だけを話し合った

本当に最期
奇跡がおこらない限り
主人を亡くしてしまうかもしれないと思った時

イメージなら・・・
主人を助けて下さいと泣き叫ぶのが普通かもしれないけれど
私は、そうはしなかった

そんな感情も抑えて医師に伝えた最期の思い
残念ながら、その願いも叶わなかった

『約束を果たせないかもしれない・・・・もし、そうなったら、ごめんね』

と告げにきた医師の涙を見たら
私は泣く機会さえも失ってしまった

最期まで不運だったという思いだけが残った
一番の心残りかもしれない
2010.11.23:主人:[白血病から考えたこと]

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