基礎工事もいよいよ大詰め。
コンクリートの打設です。
さて、コンクリートはなじみのある材料ですが、その原料は何でしょうか?
簡単に言ってしまうと、セメント・水・細骨材(砂)・粗骨材(砂利)です。
セメントは水と混ぜることによって化学反応を起こし、凝固・硬化します。
この「のり」のような作用によって、コンクリートは強固に固まります。
では、セメントはどのようにしてできたのでしょう。
想像してみてください。
大昔、我々の祖先は石灰石の上で焚き火をした。そしたら、雨が降ってきた。石灰石が溶けた。雨がやんだらまた固まり始めた。
おそらく、これがルーツでしょう。
セメントの起源は古く、エジプトのピラミッド(紀元前2700年)や、ローマ時代の水道橋や巨大な建造物に用いられました。近代的なセメントは、19世紀前半にイギリス(煉瓦職人Joseph Aspdinの特許)で開発されました。日本では明治8年に、初めてセメントが製造されました。
初めての方のための豆知識
セメントに水を混ぜると→「ペースト」
ペーストに細骨材(砂)を混ぜると→「モルタル」
モルタルに粗骨材(砂利)を混ぜると→「コンクリート」
セメントの起源はピラミッド!?
型枠(かたわく)は、基礎を造るための金型です
型枠(かたわく)は、コンクリートを流し込んで、意図した基礎形状を造るための金型です。
打設したコンクリートを設計どおりの位置・寸法・形状に保ち、コンクリートが必要な強度に達するまで支持する仮設の枠組で、木製型枠と鋼製型枠があります。
写真は、木製型枠です。通常「コンパネ」と呼ばれる合板パネルですが、これはコンクリート型枠用パネルの略称です。
鋳物は金型のとおりに出来上がりますが、コンクリート基礎も型枠のとおりに出来上がります。
鋳物は気に入らなければ型をつくり直し、炉で溶かすこともできますが、基礎はそういうわけにはいきません。
職人さんの腕が問われます。
鉄筋とコンクリートは、おしどり夫婦
続いては、基礎工事です。
写真は、基礎に必要な鉄筋を配筋しているところです。
基礎には、鉄筋コンクリートを使います。
その名の通り、コンクリートの中に鉄筋を入れた構造です。
鉄筋とコンクリートは、とても相性がよく、まるでおしどり夫婦。
コンクリートは、圧縮力にはとても優れていますが、引張り力にはとても弱い。
そこで引張り力に優れた鉄筋が、その弱点を補います。
しかし、鉄筋は酸化すると錆びてもろいため、アルカリ性のコンクリートが優しく包み込みます。
しかし、それだけではありません。
非常にきびしい四季の温度変化にも、ひび割れずに一体でいられるのは、熱変化による膨張の度合いを示す線膨張係数がほぼ同じためです。
(鉄筋とコンクリートの線膨張係数は 1×10-5/℃。アルミはその2倍。ステンレスはその1/10。)
神が与えた、奇跡とでも言うべき偶然です。
現代建築を大きく飛躍させた鉄筋コンクリート造は、この奇跡なくしてはあり得ませんでした。
コンクリートを「捨てる」のは、もったいない?
前回登場した地業工事が完了した後、その上面に厚さ5cm程度のコンクリートを打ちます。
(コンクリートを流し込むことを、「打つ」または「打設する」と言います。)
このコンクリートを、捨てコンクリート(略して捨てコン)と呼びます。
どうして、コンクリートを「捨てる」のでしょうか?
構造耐力上、必ずしも必要ではありませんが、良好な現場では捨ててしまいます。
それは、型枠の正確な位置出し(墨出し)と、鉄筋を配筋するときに、設計で決められた所定の位置を確保するためです。
作業性と精度を向上させるために、捨てるのです。
決してもったいないと、ケチってはいけません。
まずは、地業(じぎょう)工事で地盤固め
着工後しばらくは、建物の良し悪しを左右する重要な工事が続きます。
地業(じぎょう)工事もその一つ。
ある活動が成り立つための足場や勢力を固めるときに、よく「地盤固め」という表現を使いますが、地業工事は、まさに「地盤固め」です。
地業とは、建物の基礎を支え、かつその荷重を確実に支持地盤に伝えるため、地盤の支持力を増強する工事を目指すもので、基礎の下部に施す地盤増強工事の総称です。
住宅では、砂利地業(じゃりじぎょう)や割栗地業(わりぐりじぎょう)がよく使われます。
写真は、砂利事業が完了したところです。比較的良好な地盤の場合、根切り(ねぎり)面に砂利あるいは砕石を10~15cm程度敷き込み、突き固めます。