地球温暖化対策、省エネルギーの観点から考えると、住宅における断熱性能の向上は必要不可欠です。
特に北国における、室内間の温度差が誘発する脳梗塞対策としても同様です。
断熱材とは、名前のとおり外部からの熱の出入りを断ち切るものです。
しかし、夏や冬はその効果が顕著ですが、中間期といわれる春や秋は、逆に外部の熱をとり入れるほうが効果的な場合もあります。
元来日本人は、この自然の摂理を上手に利用してきました。
伝統的な日本家屋は屋根をかけ、軒やひさしを出して夏場の日差しを遮断します。
冬場(晩秋)には、高度の低いやわらかい日差しが家の中まで入ってきます。
中間期には家の窓を開け放ち、心地よい風が通りぬけます。
この考え方をパッシブと呼びます。(これに対して、空調機や換気扇を利用することはアクティブです。)
近年、高気密高断熱(本来は高断熱が重要で、高気密ありきには異論があります。)を唱える住宅が増えていますが、軒やひさしもなくのっぺりとした外壁に、サッシだけがついている住宅をよく見かけます。
しかし、軒やひさし、樹木などの遮熱性を上手に活用し、自然のエネルギーを最大限利用することが肝要だと考えます。
風が通る心地よい空間と、しっかりした断熱性・遮熱性とのバランスの良さが、人と地球に優しい住宅だといえるでしょう。
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高断熱だけでは語れない、人と地球に優しい住宅
2005.01.20:kanauchi:[Topics]
三角関係で安定する?
阪神大震災で死者6433人のうち、木造住宅の倒壊で約5000人もの人が亡くなられたという事実をご存知でしょうか?
その後の研究によって、倒壊した木造住宅の大多数について、構造上必要とされる耐力壁が十分確保されていなかったと報告されています。
筋かい(すじかい)は、地震や台風などの外力に抵抗するための耐力壁の一種です。建物全体にバランスよく配置し、筋かい計算による必要量を満たすことが求められます。
それと同時に、筋かい端部の接合部をいかに固定するかが重要です。住宅金融公庫の仕様書でも推奨されている、Zマーク表示金物を使用することが望ましいとされています。
さて、筋かいの本質は何でしょうか?
それは三角の形状を作って、構造的に安定することです。
キャンプ用テントやピラミッドも三角で安定するし、トラス構造も三角の集合体です。
でも我々人間の場合は、三角関係で安定しているとは言い難いですけどね。
2005.01.11:kanauchi:[Topics]
屋根を葺く
屋根に使用する材料は、瓦、金属板、スレートなどさまざまなものがあり、その葺き方も多種多様です。(屋根は葺く(ふく)といいます。)
また、古くから茅葺き(かやぶき)、杉皮葺き、板葺き、石置き屋根など、日本の原風景をつくってきた葺き方がありましたが、防火性能上、建築基準法でその使用を制限されたり、維持管理にコストがかかるなどの理由で、衰退の一途をたどりました。
写真は、ガルバリウム鋼板という金属板の横長尺(よこちょうじゃく)葺きです。
下(水下)から上(水上)へと葺いていきます。
2004.12.27:kanauchi:[Topics]