建築と一体で設計され、建築の一部として組み込まれる家具のことを、造作家具(ぞうさくかぐ)または造り付け家具(つくりつけかぐ)と呼びます。
(これに対して、家具屋さんなどで売っているような、あらかじめ形状が決まっているものは既製家具です。)
造作家具は、製作する前に必ず現場の寸法取りをし、その空間条件に合ったものを作業場で製作します。(写真は作業場での製作状況です。)
造作家具の利点は、使い手が求める固有の機能を計画できるだけでなく、建築空間と一体となったデザインが可能な点です。
しかし、コストの問題で既製家具を使う場合もあります。その場合でも、できる限り機能的で空間に合った家具を選択することが大切だと考えます。
山形の家具職人さんは、全国的に見てもレベルが高いのではないでしょうか。
職人魂のある家具職人さんたちと、いろいろ議論しながらものを造っていくというプロセスは、とても楽しく、「ものづくり」の原点に触れることができます。
「ものづくり」を語る、家具職人
「壁紙」で究極の贅沢はいかがでしょう!?
「ビニルクロス」と呼ぶと、なんとなく洋風なイメージをもちますが、「壁紙」と呼べばいかにも日本的な感じがします。
写真は、壁紙を傾斜天井に張っているところです。
近年、たくさんのメーカーが、星の数ほどの種類の壁紙を生産しています。
建て主さんのみならず、我々設計者さえもどれを選んでよいのか混乱してしまうほどです。
せっかく選んでも、2~3年もすると生産中止になってしまうものもあり、増築や改修時には別のもので代替しなければならないこともしばしばです。
時代が求める流行や法改正などの外的要因によって、デザイン・仕様がどんどん流れてしまっているような印象を持ちます。これが戦後に大普及した壁紙の歴史の現状です。
これに対して、日本古来の壁紙といえば「和紙」ではないでしょうか。
和紙は非常に手間ひまのかかる工法で製作されますので、今日ではとても高級品です。
その地方で作られる和紙に、その土地で取れる顔料や柿渋などの塗料で染めた壁紙を作ることができたならば、時代に流されることなく、世界唯一のものをつくれると思うのですが・・・
こんな究極の贅沢(?)はいかがでしょうか。
壁にもファンデーション!?
壁や天井に石膏ボードを張り終わると、仕上材を施工する前にパテ処理をします。
パテ処理とは、ボードとボードのジョイント部分や、ビス止めをして表面がデコボコしている部分を平滑にする作業です。
パテ処理をしないまま表面材(クロスや塗装など)を仕上げてしまうと、デコボコしている下地がそのまま表面に表れてしまいます。
まるでお化粧するときのファンデーションと同じですね。
壁にも丁寧にファンデーションをかけ、きめ細かな下地をつくりましょう。
「五感」を刺激する家
子どもたちにとって、毎日多くの時間を過ごす家。
それだけに家の中で過ごした経験が、子どもたちの成長に及ぼす影響は計り知れません。
「三つ子の魂百まで」といいますが、特に幼少期に身に付ける性格や記憶は、大人になっても影響を及ぼします。
ところで、私たちが経験する全ての情報は、私たちの「五感」を通して得られます。
五感とは、視覚・聴覚・臭覚・触覚・味覚の五つの感覚です。
さて、日ごろ私たちは、この五つの感覚をどのような割合で使っていると思いますか?
答えは以下のようになります。
「NECライティング あかりの科学」より
圧倒的に視覚を使っていることが分かります。聴覚と合わせれば、情報のほとんどは視覚・聴覚で得られてしまいます。
しかし、幼少期の記憶は、この二つだけでは残りにくいようです。
情報量としては少ない臭覚・触覚・味覚であっても、それらが加わることで記憶がしっかりと残りやすいといいます。
また幼少期の子どもは、その「五感」をフル回転させてすべてのことを吸収しようとします。これは感性や想像力、体力、知力など、子どもの心と体の成長に必要な栄養分を摂っているのです。
「五感」を刺激する家。それは子どもの未来を創るために、家造りの重要なテーマだと捉えています。
それを実現するために、柔軟に考え、具体的に提案し実践していきたいと考えています。
職人さんは「几帳面(きちょうめん)」
土台、柱、梁(はり)、母屋(もや)、垂木(たるき)などの骨組みに使用する木材を構造材と呼びます。
敷居(しきい)、鴨居(かもい)、長押(なげし)、床や壁の板類、戸棚などに使用する木材を造作材(ぞうさくざい)と呼びます。
写真のような造作工事は、正確さと丁寧さが要求されます。出来上がると目に触れる部分なので、やりがいはありますが、几帳面な性格でないとできない仕事です。
ところでこの「几帳面」という言葉は、まさに職人さんの仕事ぶりが語源となった言葉のようです。
几帳面の語源は、平安時代、室内で貴人の座るそばに立て、間仕切りや風除けに用いられた家具「几帳(きちょう)」である。
この几帳の柱の表面を削り角を丸くし、両側に刻み目を入れたものを「几帳面」といった。
几帳面は、細部まで丁寧に仕上げてあることから、江戸時代以降、現在の意味として使われるようになった。
語源由来事典(http://gogen-allguide.com/)より
職人さんもそうですが、設計者も仕事に対しては常に「几帳面」でありたいものです。