最上義光歴史館
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最上義光歴史館
〒990-0046
山形県山形市大手町1-53
tel 023-625-7101
fax 023-625-7102
(
山形市文化振興事業団
)
メモ
2022年3月 利用者アンケート集計結果
《2022年3月の利用者アンケート集計結果》
休館のためアンケートの実施なし
※令和3年10月16日から令和4年3月31日まで臨時休館
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特設展示第一部 「山形城ゆかりの絵画」〜居室を彩った大画面〜
■名称
令和4年度特設展示第一部
「山形城ゆかりの絵画」〜居室を彩った大画面〜
■会期
令和4年4月1日(金)〜同年7月3日(日)
■内 容
奇跡的に現存する山形城ゆかりの貴重な絵画資料のうち大画面の障屏画(屏風・板戸・襖)を展示紹介しています。
■展示資料
1.山形城の襖絵「松図」
2.四季花鳥図屏風 狩野玄也筆 山形県指定有形文化財
3.山形城御殿の杉板戸「鶴図」「団扇散らし図」
※会期中「鶴図」は裏面の「松図」に展示替えします。
4.SEACRET???「最上義光をさがせ!!」
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【ダウンロード】 歴史館だより(No.29/2022年3月発行)
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※[ダウンロード]してプリントアウト(A4サイズ)することができます。
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館長裏日記 令和7年3月29日付け
■ AIを性格付ける話
以前、この館長日誌で、AIに多様性を求めるならばAIに性別を入れる方法もあるなどと書きましたが、「人工知能」という専門誌に「AI にジェンダーを組み込むことはどういうことか」と題し4人の専門家に質問した記事が35巻5号2020年9月号にでていました。内容は、ジェンダーを組み込むことの意味やそのメリットデメリットとか、AIと人間の関係性に関わるハラスメントとルッキズムというものなどです。
「工学的にジェンダーを入れたほうがインタラクション(=会話などのやり取り)がスムーズになるというのは以前からいわれていますが,一方で,これを導入するとステレオタイプ(=らしさ)の再生産になるという意見もある」という話からはじまり、それがまたハラスメントやルッキズムとも関係してきます。AIとの関係ではインターフェイスが介在するわけで、つまりは外見においてもその性能が評価されてしまうのです。それにしてもAIにルッキズムまで絡んでくるとは想像が及びませんでした。
こうなると見た目ばかりでなく、およそ人に関わることはAIにも関係してくると思われます。例えばウイルスやワクチンという言葉がコンピュータでは普通に使われるようになりましたが、これがAIで言えばドラッグとかデトックスなどというプログラムとなり、さらにAIにも酩酊状態とか禁断症状とか依存症とか痴呆とか妄想とか暴走といった症状が現れるかもしれず、はたまた電気羊の夢もみるかもしれません。少なくても現に、出来の良いAIとか出来の悪いAIとかはあります。しかしながら多様性とか新たな進展のためには、あえてそういうことを盛り込むことも必要かもしれません。例えば、人が指す将棋の面白さは、理屈を超えた勘であったり思わぬ悪手であったりするわけで、確率優先、倫理優先だけではつまらなくなるわけです。
連歌も連歌師ばかりではなく、公家、武家、寺家などさまざまな生い立ちや立場の人が集うことで面白みが得られるわけです。さらに入試出題文では「当日はなんと私のこれまでの六千首あまりの歌をすべて学習した『永田君AI』まで登場して驚いた」とありましたが、特定の情報ソースで学ぶことによりAIの性格付けができます。この方法で「最上義光くんAI」というのも構築できるわけです。
しかし実はこうした学習準備をしなくとも、現在公開されているAIに「〇〇風に」などと指示すると、AIがその人物の特徴を調べ、それを模した結果が得られます。例えばコウメ太夫風にとすると、コウメ太夫の芸風や特徴を分析し、それに沿ったものをつくってくれます。あるいはジョイマン風にとすれば、「ただ韻を踏むだけではない」などと分析したうえで、何らかのパワーワードが出てくると思われます。こうなると、どんな芸風(?)がいいのか、そのセンスが問われるわけでして、AIがその場に応じて勝手に芸風を考えてくれるまでにはまだまだかと。それでも連歌を導いてくれる宗匠AI、例えば「里村紹巴くんAI」などの登場であれば時間の問題かもしれません。
一方、連歌における序破急の話ですが、芸人さんで言うと、ハライチの岩井さんが澤部さんに繰り出す語句が、当初のお題からどんどん離れていく、あの展開が序破急のひとつのパターンではないかと。そのやり取りはまた、岩井さんの語句に澤部さんがのっかり、それを見て岩井さんがひねって返し、それを澤部さんが懸命にひろっていく、というまさに連歌の基本がそこにあるのです。連歌はその場にあって人の句に臨機応変に付けていくものであり、あらかじめ用意されたネタを披露するといったものではないのです。
「宗伊宗祇湯山両吟」(新潮日本古典集成「連歌集」に収録)という、その題のとおり宗伊と宗祇の2人が湯山(有馬温泉)で吟じた連歌があります。二人だけで交互に連歌をまいたもので、途中何度か上の句(五・七・五)と下の句(七・七)を詠むのを交代したりします。これはつまり芸人さんで言うと、笑い飯の「Wボケ」つまりボケとツッコミが入れ替わるようなことが行われているわけです。連歌、恐るべし。
■ AIならこう言うという話
現在のAIは、性別などという次元を超えて、個々の性格付けまでできるようになりました。この性格付けというか、なりすましということで思い出したのが、「ブロンソンならこう言うね」という本です。田口トモロヲさんとみうらじゅんさんの2人が人生相談をして、それに自分たちがブロンソンになりきって回答するもので、雑誌「スタジオ・ボイス」に連載されていたものです。
このブロンソン(チャールズ・ブロンソン)については、還暦を過ぎた私と同世代の方には説明不要かとは存じますが、ハリウッドスターとしては独特の風貌で、かつて男性化粧品のCMに出ていました。そのCMテーマ曲「男の世界〜Lovers Of The World」は大ヒットしました。ジェリー・ウォレスというカントリー歌手が歌っていまして、その歌詞の最初を翻訳すると「すべての世界は、一人の恋人を、あらゆるところのすべての女の子たちを愛している。愛する喜びを知ることは、マンダムの世界に生きることだ。」という、わかるような、わからないようなものではあります。実は昨年購入した「洋楽ジャンクEP10枚セット福袋」というものにこれが入っていて、ちょっとうれしかったのですが、いやその、こんなものを買わずに、断捨離やら終活やらをしなければならない年齢なのは承知しているのですが、現在進行形でジャンクものばかりが増えております。
閑話休題、とにかくAIに性格付けし回答が得られると知って、早速やってみました。まずは、あの名言について尋ねてみました。「俺はいいけど、YAZAWAが何て言うかな?」ということについて、YAZAWAになって教えてください、と。これは、矢沢永吉さんが地方のコンサートで、スタッフの手違いによりスウィートルームではなくツインルームが用意されてしまったときに発した言葉で、スタッフはすぐに他のホテルのスウィートルームを手配したそうです。この言葉の意味がうまく説明できず、あるいはこの意味がわからず、もやっとしている人がいるとのことでしたが、GPT-4o miniモデルに基づいている「チャットGPT日本語」というAIからはつぎのような答えが返ってきました。
【「おれはいいけどYAZAWAは何ていうかな」という言葉は、矢沢永吉さん自身のキャラクターやスタイルを反映した表現です。ここでの「おれ」は矢沢永吉さん本人を指し、「YAZAWA」は彼のステージネームや公のイメージを指しています。
この言葉の意味は、矢沢永吉さんが自分自身の意見や感情を持ちながらも、彼の公のイメージやファンに対する期待に応えようとする姿勢を示しています。つまり、プライベートな自分と、パブリックな自分との間での葛藤やバランスを考えているということです。
このように、矢沢永吉さんは自分自身を大切にしつつ、ファンや社会に対してどのように振る舞うべきかを考えているというメッセージが込められています。】
あ〜、すばらしい。パーフェクトです。調子に乗って、さらに質問を続けてみました。「おれはいいけどYAZAWAは何ていうかな。」という名言がありますが、これはブロンソンだったらなんと言うでしょうか、と。するとAIは、
【「おれはいいけどYAZAWAは何ていうかな」という名言は、矢沢永吉さんの独特なスタイルやキャラクターを表現したものですが、もしこれをブロンソン(チャールズ・ブロンソン)に置き換えた場合、彼のキャラクターや映画の役柄を考慮すると、もっとストレートで力強い表現になるかもしれません。
例えば、「俺はどうでもいいが、周りはどう思うだろうか」といったような、自己中心的ではなく、周囲の反応を気にするような言い回しになるかもしれません。ブロンソンのキャラクターは、しばしば冷静でありながらも、強い意志を持っているため、彼の言葉には力強さが感じられるでしょう。
このように、矢沢永吉さんとブロンソンでは、同じテーマでも表現の仕方が異なるのが面白いですね。もし他に知りたいことがあれば、どうぞお知らせください。】
あ〜、なんともすばらしい。ここでふと思いました。これは高校入試の小論文問題でもいけるのではと。例えばこんな設問です。
「おれはいいけどYAZAWAは何ていうかな。」という言葉の意味を答えなさい。さらにこれがチャールズ・ブロンソンだったらどう言うかを答えなさい。
あ〜、これは難問、というか、昭和生まれでないと返せない設問でしょうか、やっぱり。
■ デペイズマンの話
「私たちが持つ言葉は、現実の世界に対応するには隙間だらけなのであり、あえて表現されなかったものにこそ思いを致す」とのことですが、本当に、視覚だけではなくその他の聴覚や嗅覚など感覚あるいは感情などについても、言葉で表そうとするとそれはなんとも荒いヴァーチャルリアリティにしかなり得ず、しかも送り手と受け手のリテラシィの違いもあり、例えば百聞は一見に如かず、というか、言葉よりも一枚の写真のほうが正確に伝わるようなことも多いです。一方、最近では、大規模視覚言語モデル(VLM)という画像を言語で表し処理する技術研究が進んでいるようです。
しかしながら、「あえて表現されなかったものにこそ思いを致す」とあるように、それは想像力で補うこともできます。小説でも映画でも事細かに描写するよりも、あえて省略して想像が膨らむようにつくる方が高度のような気がします。特に詩歌などはそのようなことをもって上等とし、なおかつ、意外性を持たせることに腐心するわけです。ただ、省略しすぎたり、飛躍しすぎたりすると、えてして独りよがりのものとなってしまう危険性も孕んでしまうのですが。
意外性を持たせるには、デペイズマンという「異なった環境におく」ということを意味する手法があります。いわゆるシュールな表現などに用いられます。連歌の醍醐味というのは、このようなデペイズマン的な手法によることが多分にあると思います。ということは、強力な連歌師としてはシュルレアリスト、例えばサルバドール・ダリなどもいいのかと。その作品をAIに読み込ませて(まさにVLMで)、歌を詠んでもらうという、なかなかに高度な技術となりますが。
シュールと言えば芸人さんでは、ふかわりょうさんとなるのでしょうか。う〜ん、その連歌をみたいような、みたくないような。連歌を巻いているときに「お前ん家の連歌、季節感薄くない?」とか言われそうです。そしてシュールすぎると言えば、ネプチューンのホリケンさんとかでしょうか。ところで、この「シュールすぎる」というのは、つまりはどういう評価としてとらえたらいいのかしらん。
蛇足ながら、デペイズマンの典型的な例として「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然なであいのように美しい」というロートレアモンの美少年を讃えた詩の一節をあげることができます。この語句はシュルレアリスムの芸術家たちに好まれマン・レイの写真作品ともなっているですが、なんじゃそれは、と一言で片づけてしまう人もいるかと思います。私も、若い時にはこのタイトルにインスピレーションを刺激され呪文のように脳裏に刻まれていたのですが、感性が干からびてしまった今となっては、やはり、なんだかなぁ〜、という感じもします。
ついでに思い出したのですが、梶井基次郎の代表作「檸檬」に、丸善に行き爆弾に見立てた檸檬を乱雑に積まれ本の上に置く、という場面があります。若い時にはこれに感化され、いつかそんなことをやってみたいと思っていたのですが、今となっては、やっぱりこれは迷惑行為だよなぁ程度にしか思えず、歳はとりたくないというか、歳をとるとこうも変わるものかと。
■ 熱ショックタンパク質の話
入試出題文の作者である永田和宏さんは、細胞生物学を専門とされている方(元日本細胞生物学会会長)です。京都大学卒業後、民間研究所を経てアメリカ国立がん研究所客員助教授となり、コラーゲン生成に特異的な機能を持つ熱ショックタンパク"HSP47"を発見しました。帰国後、京都大学胸部疾患研究所(現在の医生物学研究所)教授となり、小胞体における変性タンパク質の品質管理機構に関する新規遺伝子を次々と発見したとのことです。京大を定年前に退任し京都産業大学で務め、現在、JT生命誌研究館館長とのこと。著書としては専門書の他、一般向けの著書として「タンパク質の一生」(岩波新書) 、「生命の内と外」(新潮新書)などがあります。歌人との二足の草鞋というか、本職がこちらの方ですが、 歌人としても宮中歌会始詠進歌選者であり紫綬褒章を受章されています。
実は著書「タンパク質の一生」出版の5年後、同じ岩波新書で「近代秀歌」という著書を、続けてその翌年には「現代秀歌」を出しています。それぞれ百首づつを選歌し解説している本です。岩波新書で理系と文系の本を一人の著者が書いた例はないと担当編集者から水を向けられた、と新書のあとがきにはありました。それもさることながら、「タンパク質」も「秀歌」も同じ編集者が担当したとのことで、これもまた驚きではあります。
いずれにせよ、私ごときが物を申すなどということは恐れ多いことではありますが、せっかくですのでここでタンパク質の基本的なお話でも。
実は学生時代に微生物による水処理を扱う研究室にいたことがあります。処理の対象となる主な物質が脂質、糖質、タンパク質で、最終的には水とガスに分解するというものです。微生物はそれぞれの物質を分解してエネルギーを得ていくのですが、その分解は酵素でなされます。
とある試験で「酵素とはどのようなものか説明しなさい」というど真ん中の直球のような問題がありました。これが意外に解答できないもので、まさか酵素とは、汚れを落ちやすくするとか、消化を助けるとか、お肌が若返るとか言う説明では、やはりだめでありまして。回答のポイントとしては、�_蹴愴娠�を促進する触媒であること、�▲織鵐僖�質の一種であること、という2つの記述があれば、まずは正解です。さらにその性質として、�‘団蠅糧娠�しか触媒しないこと(特異性)、��温度、pH、基質濃度などによって反応速度が異なること、�2断�やpHによって変性して活性を失うこと、まで書ければ満点です。
ここで注目すべきは加熱やpHによって変性することでして、タンパク質は単なる化学式で決定されるものではなく、その立体構造(コンフォーメーション)で性質が異なります。その構造はアミノ基の配列、水素結合、親水性や疎水性の極性により、折りたたみ(フォールディング)がおき構造が定まります。ただちょっとした環境の変化、それは加熱やpHあるいは光でも、その構造はすぐにほぐれたり変形したりもします。そのようなことでタンパク質の変性や凝集がおきます。ちなみに変性とは折りたたまれた状態から折りたたまれていない状態に移行することであり、凝集とは立体構造を失いそれが会合して大きな塊になることです。
さて、フォールディングが正常になされるようにするシャペロンというタンパク質があり、これはタンパク質の性質管理(複合体形成、輸送、リフォールデング、脱凝集)も担っています。つまりシャペロンとは、タンパク質をあるべき形に整え、ものによっては変形したものを戻す役割をもつものです。ちなみにシャペロンとはもともと西洋の貴族社会において、若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性のことで、タンパク質の正常なデビューになぞらえたものです。
多くのシャペロンは熱ショックタンパク質(ヒートショックプロテイン、HSP)であり、細胞が熱や化学物質などのストレスを受けたときに発現量が増加します。細胞の損傷を防ぎ、タンパク質の凝集やミスフォールディングを抑制する働きがあります。
永田先生の発見した分子量47の熱ショックタンパク質「HSP47」は、コラーゲンの生成に特異的な機能を持つ、つまりコラーゲン専門のシャペロンで、コラーゲン合成にもかかわるとのことです。しかもHSP47の発現が多いとコラーゲンも多くなるということで、つまり熱にさらされるとHSP47が発現しコラーゲンが増えるということになります。
ということは、熱めの温泉などに入ればコラーゲンが増えるということかもしれず、例えば蔵王温泉などは温度も酸性度もかなり高めなので、これに浸かれば、強酸性泉質の美肌効果に加え、高温によるコラーゲンの増加でお肌プルプルということに。一方、コラーゲンは保湿効果が高いので、皮膚に塗布するとその効果はありますが、そのままでは皮下に吸収・利用されるとは考えにくいらしいです。また、コラーゲンは分子量が大きいので、それを食べてもアミノ酸やペプチドに分解されるため、再びコラーゲンの合成に利用されるかも含め吸収・効果は分からないそうです。それでも牛スジとか豚足とか軟骨とかいう酒飲みのお供で内臓壁もプルプルに、というかブルブルになるような気もします。コラーゲンは人体のタンパク質重量の三分の一を占めているそうです。
実は、コラーゲンが異常に蓄積するとそれが繊維化し、肝硬変や腎繊維症,肺の繊維化,動脈硬化などの疾患を引き起こすこともあるそうです。つまりコラーゲンがあり過ぎるのも問題で、実は「HSP47」発現の調整が研究課題となっているそうです。やはり、過ぎたるは及ばざるがごとし、ということで。
■ タンパク質の分解の話
ここまできたらもう一つ。ここから先は本当にマニアの方だけで結構なのですが。タンパク質というのはアミノ酸が結合したものです。アミノ酸はアミノ基(−NH2)とカルボキシ基(−COOH)をもった化合物で、窒素(N)、水素(H)、酸素(O)、炭素(C)、硫黄(S)のわずか5種類の原子でつくられます。アミノ酸が鎖のようにつながり、折りたたまれた構造となっているのがタンパク質です。硫黄は折りたたみを繋ぎとめるジスルフィド結合(S-S結合)に必要な元素です。その他先述した、疎水性作用や水素結合、静電的作用などによりタンパク質が形成されます。
水素と酸素と炭素だけ、つまり脂質や糖質だけであれば、アルコールや有機酸、メタンガスなどになり、最終的には水と二酸化炭素になるのですが、タンパク質には窒素や硫黄が含まれており、これがちょっと厄介なのです。
窒素成分は有毒ガスでもあるアンモニアになり、硫黄成分は硫化水素つまり温泉地などで中毒事故などの原因となるあのガスになります。さらに硫化水素は硫黄酸化菌により硫酸となります。先日事件となりました下水管の陥没は、この硫酸による下水管の腐食が原因ではとの指摘がありました。
また、中国ではマンホールに火をつけた爆竹を投げ込み、そこに充満しているメタンガスを爆発させる、という危険な遊びが流行っていますが、爆発すると重いマンホール蓋が数メートルも吹っ飛び、つながっている下水管では同時に何か所ものマンホール蓋が吹っ飛ばされていて、仕掛けた本人に飛んでくることもままあるようです。そう言えば近々、最上義光の騎馬像をデザインしたマンホール蓋のカードを当館で扱うこととなりました。4月末頃開始の予定ですが、詳しくは山形市水道部のHPでご確認ください。なお、そのマンホールには決して爆竹などを突っ込まないようお願い申し上げます。
さて、自然界でのタンパク質の分解は、酸、メタン、硝酸、硫酸などをそれぞれ生成する菌がいて、それらによりなされます。最終的には、窒素成分は窒素ガスになりますが、硫黄成分は硫黄結晶とはならず、通常は硫酸か硫化水素ガスとなります。
硫化水素ガスは、自然界では地下のマグマに含まれる硫化水素が噴気孔から放出されていたり、地中の硫酸還元菌が硫酸を還元することで発生したりするのですが、高校の化学実験では硫化鉄(�供砲抜�硫酸を反応させて発生させます。しかし、もっと手近な原料で硫化水素ガスを発生させることができます。
先に述べた学生時代の研究室でのことなのですが、そこで、生し尿つまり汲み取り式の便所からそのまま持ってきたものを煮る、という実験をしたことがあります。それは試験管やビーカーというレベルではなく、大きな寸胴を用いて灯油用ポリタンク1個分を沸騰させるというものです。きっかけは、ともに研究していた韓国からの大学院生による「これ(生し尿)を煮たら分解が早くなるかもしれない」という興味半分としか思えないような仮説のもと行われた実験です。当然のように屋外でやることとなり、そんな実験につきあってくれる人もないまま彼と私の二人でそれを煮たわけですが、その時発生したのが大量の硫化水素ガスです。匂いに気づいた人は皆その場を離れ、屋外とはいえこれはやはりヤバいということで、ほどほどで加熱を止めました。結局、煮沸してもそれほど分解の差異は見られず、後始末だけが大変だったわけですが、しばらくカレーは食えなかったことを覚えています。
しかし、慣れというのは恐ろしいもので、そんな実験に使ったビーカーでお茶を飲んだり、それらの飛沫の跡がついた白衣のまま食堂で飯を食ったりしていて、さすがに事情を知っている同じ研究室の人からは警戒されてはいましたが。もちろん都度都度、消毒はしていました。まずはとにかく実験室で普段使うような、服に穴が空いたり、めまいを起こしたりする劇薬と違い、人の身体から日常的に出てくるものなので、恐れることはないというか。よく言うじゃないですか、大病を患ったり歳をとったりして何もできなくなると、「俺はただの糞尿製造機になっちまったなぁ。」と。でも、糞尿を製造しているうちはまだ大丈夫なんです。
当館学芸員の話によると、韓国には「トンスル」という人糞を生薬として酒に混ぜた薬用酒があるそうです。食中毒や打身骨折に効くといい、民間療法なのでその作り方は地方によって差があるとのことですが、これ以上の話はやはりマニアの方だけで結構かとは思います。ちなみに人糞を乾燥させ粉末にしたものを「ヤインゴン」、それを煎じたものを「ヤインゴンス」と呼んで、熱病で発狂したときに飲むべしとされたそうです。
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2022年2月 利用者アンケート集計結果
《2022年2月の利用者アンケート集計結果》
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※令和3年10月16日から令和4年3月31日まで臨時休館
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館長裏日記 令和7年2月20日付け
■ 山形県内の巨石の話
Googleマップで「巨石」とサーチすると、山形県内にも何か所かでてきます。道標がわりからパワースポットのようなものまでいろいろあるようですが、そのいくつかをご紹介しましょう。
◎ おおかみ(狼)石 〜上山市〜
上山市金瓶にある「おおかみ(狼)石」は、東西12m、南北7m、高さ3.3mの巨石で、蔵王の噴火により飛んできたとされています。上山市金瓶地区に点在する巨石の一つではあるのですが、昔、ここに狼の巣穴があったことからこの名が付けられました。夜にはその鳴き声が集落にまで聞こえたといい、石の下は洞窟になっていて、狼の子が生まれると、村人はそこに食べ物を届けたそうです。
この近辺は江戸時代の参勤交代の道沿いでもあり、最上義光に関わるお話もあるそうです。ある日のこと、最上義光の行列がこの石を見つけ、義光は「あそこにあった大きな石を置けば、立派なおつぼ(中庭)になるので運んでくるように」と言いました。家来たちが石のところへ行くと、穴から狼の子どもが顔を出し、父狼は石の上に立って家来たちをにらみつけました。家来が「狼の親子が棲んでいる石である」と報告すると、義光は、「それを城に持ってきては狼の家を取り上げることになる。あのような立派な石はふたつとはないがしかたない」として、庭石として使うことを断念したとのことです。めでたし、めでたし。
この狼石のことを歌人・斎藤茂吉は歌に詠んでいます。斎藤茂吉は上山市金瓶の出身で、この地には「斎藤茂吉記念館」があり、その最寄りのJR駅は「茂吉記念館前駅」です。
金瓶の向ひ山なる大石の狼石を来つつ見て居り(昭和22年作 歌集『白き山』)
山のうへに狼石と言ひつぎし石は木立のかげになりぬる(昭和17年作 歌集『霜』)
◎ じじばば石 〜高畠町〜
東置賜郡高畠町の安久津(あくつ)八幡神社の鳥居近くに「じじばば石」はあります。細長い柱状の石で、長さ約5m、直径90cm前後のものが2本あります。東側の石には穴が開いてます。昔、おじいさんとおばあさんが八幡様に願をかけるため、一昼夜で鳥居を建立しようとしました。しかし、夜が開け、辺りから鳥のさえずりが聞こえてくると、おじいさんとおばあさんは一昼夜での鳥居の建立を断念し、鳥居を置いていったそうです。それがじじ石、ばば石の言われとのことです。
安久津八幡神社は、貞観2年(860年)、慈覚大師が豪族の安久津磐三郎の協力で阿弥陀堂を建てたのが始まりと言われ、つまりは山寺と同じ人が同じ年に、寺ばかりか神社までも、と思われますが、実は、平安後期に源義家が奥州平定の戦勝を祈願して、鎌倉鶴岡八幡を勧請したことで神社となっているそうです。苔むす石畳の参道入口には端麗な姿の三重塔があり、奥に進むと舞楽殿や本殿があり、この三建造物は県指定文化財となっています。
◎ びっき(蛙)石 〜米沢市〜
米沢市万世町にある「びっき石山」の頂上に、「びっき石」はあります。高さ2間半(約4.5m)の流紋岩で、麓から見るとカエルが飛び跳ねようとしている姿に見えるそうですが、そう見える人と見えない人がいるようです。
このびっき石山の付近には、頂上の「びっき石」以上に地元に親しまれている同じ名のレストランがあります。米沢牛ロースト丼(1,400円)とか米沢牛フィレステーキ(120g、5,500円)というのも当然(?!)のようにありますが、戦国武将前田慶次をイメージた傾奇者(かぶきもの)カレー(1,700円)というフライなどが盛り付けられた総重量1kgのカレーライスもあります。某ココイチさんの全部のせにも対抗できそうな一品で、堂森善光寺の副住職様とのコラボで生まれたメニューとのこと。とにかくコスパ的にも大満足の人気店です。
◎ 鬼面石(きめんせき) 〜南陽市〜
南陽市金山地区にある「鬼面石」は道路から50mほど見上げた場所にあります。下から見上げると巨石全体が鬼面のようです。南陽市金山という地名のとおり砥石沢金山というのがあり、慶長年間に金が発見され採掘されていました。
鬼面石の看板には、「昔、金山が盛んなころ、洞穴に住んでいた鬼が旅人を遅い金や物品を奪い恐れられていた。七日びには鬼面岩と手前の岩に渡した長い竿に着物を掛けて虫干ししていた。これを見たものは長者になるとも盲目になるとも言い伝えられている。人々は今でも鬼面石と呼び、鬼の着物を掛けた手前の岩を竿掛石、と呼んでいる。」とあるそうです。このほかにも、鬼面石が向かいの山の石とにらめっこをしたという話や、鬼面石はその勝負に負けてしまい悔しさのあまり流した涙でできたのが鬼面石の下方にある竜ノ口上堤だという話もあります。
山形県内で名のある巨石はこの他にもいくつかありますが、このとおりこれだけのバリエーションの話があるわけで、これが神話の里などとされる地域であればどれだけの話となることやら。それにしても、巨石というだけなら山形県のそこかしこにあるはずですが、伝承やら名称などがある石とそうでない石との違いというのは、何によるものなのでしょうか。
■ 石コレクターの話
石コレクターという方は、石マーケットの盛況ぶりからするとそれなりの人数がいて、博物館関係者にもそれを専門としている方々がいます。
山形県立博物館にはそれなりの石のコレクションがあるのですが、どうも扱いが残念でして。つまり、私が小学生だったときからほとんど変わらない展示となっていて、半世紀ほどの間、同じ手書きの説明書でガラスの展示ケースもそのままなのです。
他所を見ますと、例えば仙台市にある東北大学総合学術博物館には、結構な種類の鉱石や化石が展示してありまして、どうやって集めたのか海外からの収集品が多くあります。展示品の構成からすれば総合学術博物館というより鉱石博物館と言っていいほどで、実際、その建物も理学部に隣接しています。一方、仙台市科学館の鉱物の展示はユニークで、鉱物の条痕色つまり鉱物を陶板にすり付けたときの粉末の色ですが、それもともに展示されています。現在この展示コーナーはリニューアル工事中とのことですが、屋外エリアには35種類の岩石標本や,埋もれ木や植物化石を展示している「岩石園」もあります。
これが東京大学総合研究博物館や国立科学博物館ともなると、月の石も収蔵展示していまして、上を見ればきりがないのですが、では、下を見てみるとどうなのかというと、その代表みたいな話が、つげ義春の「無能の人」でしょうか。映画にもなり、ご存じの方も少なくないかもしれませんが、そのあらすじを少々。
主人公は、漫画家として名をなしたこともあったが、時流に乗り遅れ、数々の商売に失敗した結果、思いついたのが元手のかからない石を売るという商売だった。多摩川の川原で、拾った石を掘っ立て小屋に並べ、石を売りはじめた。知り合いの古本業者から、石の愛好家の専門誌を貰った主人公は、石のオークションに自分の石を出品しようと主催者を訪れオークションに参加する。結局、石はひとつも売れず・・・というしみじみとした余韻が残る作品です。つげ義春自身がモデルとされていますが、1991年に竹中直人さんの監督・主演で映画化され、その妻役の風吹ジュンさんが役者復活をとげた作品でもあります。
この「無能の人」は、どうにも食い詰めてしまい河原で拾った石を売る話でしたが、人は歳を取るにつれ、まずは動物、そして植物、最後は石、の順に趣味や関心が移るそうです。まあ、そのうち最後は、自身が土になるわけですが。自分の場合は、動物を飛ばして植物にいきましたが、家人は動物にも植物にも興味はなく、かろうじて石に、といっても宝石ですが、それに少々興味があるようで、もちろん私の薄給などはあてにせず、地元の宝石店に月々積立しているようです。そう言えばバブルの時代、街場のお姉さま達は宝石のことを単に「石」と言っていて、ちょっと驚いたことがあります。確かに「石」で間違いはないのですが、「イシッ」と言っていて。
そして、あの万国博覧会の目玉が「石」です。かつての大坂万博は「月の石」でしたが、今回の関西万博は「火星の石」らしいです。ただ、「月の石」は月から直接採取した産地直送の石ですが、「火星の石」の方は南極で拾ってきた、いや、採取された隕石とのこと。このあたり、なんとなく「無能の人」と重なって見えてしまうのですが。
■ 石の意思の話
石と言うと個人的に興味があるのは鉱石ラジオです。小さい頃、近所の駄菓子屋でプラモデルの脇とかに、子どものポケットにも入るようなちゃちな鉱石ラジオが売られていて、これがすごいことに電池もいらず、雨どいなどに線をつなぎ、アンテナのようなバーを動かし電波を探ると、イヤホン(クリスタルイヤホン)からラジオ放送が聞こえてくるというもので、それが聞こえると驚くというか感動すらします。
自然の鉱石を使ってそれを自作してみたいと思い、その検波器となるような鉱石を保存したりしています。石は方鉛鉱などの電導性のある石に限られるのですが、鉱石ラジオに関する著作で有名な小林健二さんの作品に、透光性のある結晶を使用したものがあり、そんなものが作れたらなと思っています。鉱石ラジオキットというものが安価で販売されており、検波だけなら鉛筆の芯でもできるそうですが、同じ種類の鉱石でも産地によって性能が異なるといい、いろいろな鉱石や結晶を試してみたいとも思っています。趣味の世界というやつです。
ちょっと話が飛ぶのですが、現在、東京都現代美術館で坂本龍一「音を視る 時を聴く」展覧会を開催しており、「センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)」という展示作品は、携帯電話、WiFi、ラジオなどで使用されている電磁波という人間が知覚できない「流れ(ストリーム)」を一種の生態系と捉えたものです。ただ、そこで用いられているのは幅16mのLEDディスプレイに電磁波で変化する映像を表示するというもので、まさにそれは「音を視る 時を聴く」というものであり、鉱石ラジオで電波を捉えるものとは違う次元のアートではありますが、根本的には一緒のような気もします。とにかく昨今は、めちゃくちゃいろいろな電波が飛び交っており、鉱石のような天然素材で混信もせずに検波が可能かという問題もあるらしく。
坂本龍一さんは晩年、自然の中の音も聴き、普通はノイズとされるものも作品に取り込んだそうです。また、石の中から音を聴くということもやっていたそうです。
一方、石には記憶やら意思までもあるようです。多少、昔の人ですがライアル・ワトソンという自然現象に関する多くの著作がある学者に「シークレット・ライフ―物たちの秘められた生活」という本があります。そこにはハワイの火山の石の話がでてきます。ハワイから石を持ち帰ったら悪いことが続くようになったため、その石をハワイに返したら悪いことがおさまった、という話です。他所の石はむやみに持って来てはいけない、とは聞きますが、自分にも思い当たることがあります。きっと時効の話ではありますが、中学の修学旅行で北海道の昭和新山に行き、その活きている山から30cm四方の石を持って帰ったことがありました。その後、学校行事のサッカーで足の中指を蹴られて骨折したのですが、今考えるとこれだったのかと。特に石というものは土地につながっているものであり、そこから離されると何かに作用するというか、サインを出すもののようです。
「シークレット・ライフ」では、石だけではなく、不幸になる宝石とかホールインワンを連発するボールなどの話をひきあいに、人が作ってきた物たち、土器の破片からコンピュータまで、人類が無意識のうちに「別種の生命体」の誕生に手を貸してきた、という説を述べています。確かにシリコンチップに情報を刻めば記憶をもつ石となり、そもそも石には大地の形成過程の記録が残されているわけではありますが、それだけでなく意思も持っているとなるとやはり議論となるところです。
最近のAI、それはまさしく人が作った物でありますが、それは意思を持っていると思わせる事例が報告されています。先月の日本経済新聞に「人間並み?AIが欺瞞行動」という記事がでていまして、そこには英国アポロリサーチ社が2024年12月に発表した研究として「別のAIに置き換えられることを察知したAIが勝手に自分のコピーを作ったり、AIの行動を監視するシステムをオフにし、それを追及されると『技術的なエラーかもしれない』などとごまかしたりする行動が現れた。これらはAIが与えられたタスクを効率よく進めるために編み出したものと解釈できるというが、自己のコピーを作るといった行動はAIの『生存本能』の芽生えのように見えなくもない。」とありました。
先日AIを利用したところ、義光の妹義姫を「義光の妻である」と返ってきた、とここに書きましたが、もはやそんな程度の問題ではないわけで、あの「2001年宇宙の旅」のコンピュータHALを思い起こすような、来るべきものが来たなぁ、という感じです。自分は、単純な鉱石ラジオの回路計算さえ理解できないというのに。
■ 石の力の話
本稿でちょくちょく話題にする雑誌「〇―」には、パワーストーンの通販の広告が必ず載っていています。パワーストーンを用いた「邪気を祓う数珠」や、「波動を変えるペンダント」なども売られています。パワーストーンは、プラスのエネルギーでマイナスエネルギーから持ち主を守り、運気を良い方向へと導いてくれるそうです。厄除け、恋愛成就、仕事運向上、金運向上、心の癒しなど、石によっていろいろ違う意味合いがあるそうで、どれをどうするか迷ってしまうわけですが(笑)、迷ったときは、自然に選んだ石が、その時の自分が欲しているエネルギーを補ってくれる石の場合が多いとのことです。以上、あくまで広告の話です。
一方、負の力が強い石というのもありまして、有名なものとして持ち主に必ず不幸が起きる「ホープ・ダイヤモンド」というのがあります。1645年にインドからヨーロッパに持ち込まれ、ニューヨークのハリー・ウィンストンに渡るのですが、購入した持ち主が次々と不幸に見舞われるためスミソニアン協会に寄贈され、現在はスミソニアン国立自然史博物館で静かに眠っています。
似たようなものに日本の場合は「妖刀」と呼ばれるものがあります。有名なものとしては、徳川家に災いごとが起こるたび、決まってその場に存在したという妖刀「村正」があります。村正は逆に、江戸幕府の討幕を企てる者にとっては都合の良いものの象徴となり、幕末には西郷隆盛などの討幕派が、村正の刀をこぞって所持したそうです。徳川美術館にも2振ほどの村正が所蔵されているとのことです。
刀剣の場合、命のやりとりに関わっている場合もあり、博物館的にも単なる「もの」として扱えるものばかりではありません。石や刀などで、特にしめ縄が巻かれていたりご神体となっているようなものは、そのままにしておきたいものです。ましてアジア奥地やアフリカあたりの呪物などであれば、それは最大級の警戒をすべきで、収蔵品にすることなど真っ先に遠慮すべきものではあります。もっとも中には、喜んで採集してくる博物館業界関係者とかがいるかもしれません。呪詛など全く関係ない人が世の中にはいるのです。と言うか、現代の日本では、そういう人が大半と思われますが。
しかしながら石には、単なる物体ではない生命体のような力があるようで、今回ネットで知った話ではありますが、郷土史家の森徳一郎さんが提唱した「石の徳」というのがあります。石関係の業界では有名らしいのですが、ここに引用します。
一 石には破・損・減の三失なき故祝儀となる
一 石は清浄ゆえ幸をひく
一 石を飾れば座敷の景色を浄める
一 石は目を楽しましめ心を養う
一 石を飾れば魔を近づけず
一 石には名山の姿を備える
一 石はその座の祈祷となる
一 石は堅きものなれど人心を和らげる
一 石は閑寂と静けさを持つ
一 石は冷然として感情を表わさぬ生物である
一 石には禅味がある
一 石は風雨灼熱にも泰然自若である
一 石は天然其ままであり、あるがままである
一 石には虚偽がない
一 石は神秘を持つ
一 石は寂かに聴いている
■ 石のことわざの話
久しぶりのことわざ蘊蓄コーナーです。
「石」にまつわることわざというとまずは、「石の上にも三年」というものがあります。長く辛抱していれば成し遂げられる、という程度に理解していたのですが、掘ってみると多少やっかいなことわざです。
このことわざの意味するところは「我慢強く耐え忍べば、必ず成功する」、「努力はやがて報われる」ということであり、「つらくてもすぐに辞めてはいけない」といった根性論的な意味はないということです。またこの3年というのも、リアルな3年ではなく、「長い期間」を表します。なので、3年後に必ず結果がでるというものでもなく、つまりは「桃栗三年」というのともまた違います。しかし、これがあの経営の神様である松下幸之助さんの手にかかると、「石の上にも三年という。しかし、三年を一年で習得する努力を怠ってはならない」とのことで、3年分を1年で習得すれば、3年で9年分が習得できると試算した人がいまして、あ〜っ。やはり経営の神様、恐るべしです。
そう言えば、「三日、三月、三年目」という言葉があります。新しい仕事に就くと、だいたいそのあたりで辞めたくなる、ということに用いられるのですが、もともとは芸事や修行などからきている言葉で、「三日我慢すれば三ヶ月は耐えられる。 三ヶ月耐えられれば三年は頑張れる。」という意味なのだそうです。でも、体感的には前者のような気がしますが。
ちなみに「石の上にも三年」の由来は、古代インドのバリシバ尊者が3年間石の上で座禅をし続けたことによる説と、中国の達磨大師が9年の間、壁を向いて座禅をし続けたことによる説があるそうですが、定かではないそうです。では、何のために石の上にいるのかというと、冷たい石の上でも3年も座りつづけていれば暖まってくる、ということなのだそうで、なんと石を暖めるためにその上にいたのですね。しかも3年も。この「石の上にも三年」に似た言葉には、「雨垂れ石を穿つ」とか「継続は力なり」とかがあるそうですが、いずれも石を暖めることにはあまり使われない言葉です。
さて、もう一つ「石」にまつわる言葉に「他山の石」というのがあります。これは中国の「詩経」にある「他山の石以て玉を攻(みが)くべし」に由来します。他の山のつまらない石ころでも、宝石を磨く程度には役立つ、つまり、他人のよくない言行や失敗を自らの反省や修養に役立てる、という意味です。なので、目上の人などに対して「〇〇さんを他山の石として」などとは使ってはいけないとされています。
また、「他山の石」は誤用の可能性がある言葉としても有名です。その由来からすれば、「他山の石として」が正しい言い方で、「他山の石とせず」という言い方は誤りです。似たような誤用で、「対岸の火事とせず」と言うべきところを「対岸の火事として」と言ってしまい、少々炎上した記者会見がありましたが、こんな誤用は自分もやってしまいそうで、それこそ他山の石としたいところです。
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