「ひとつの妖怪がイーハトーブを徘徊している。合併特例債という妖怪が」…図書館事業費の15億円アップ、「広報はなまき」にも未だに未掲載~「特段、隠そうとするつもりはなかった」(小原市長)!!??

  • 「ひとつの妖怪がイーハトーブを徘徊している。合併特例債という妖怪が」…図書館事業費の15億円アップ、「広報はなまき」にも未だに未掲載~「特段、隠そうとするつもりはなかった」(小原市長)!!??

 

 「ひとつの妖怪がヨーロッパを徘徊している。共産主義という妖怪が」(マルクス&エンゲルス『共産党宣言』)―。この有名な言葉のひそみに倣(なら)えば、いまの「イーハトーブ」はまさにタイトルのような佇(たたず)まいではあるまいか。「そこのけ、そこのけ。合特債(合併特例債)が通る」…「この紋所が目に入らぬか」と黄門様がかざす印籠(いんろう)じゃあるまいに、令和12年度で期限が切れる合特債が使えなくなったら、図書館建設は永遠にできなくなる。こんな“強迫”観念を植え付けようとするかのような言説がいま、まかり通っている。本末転倒とはこのことである。そもそも、「合特債」とは何なのか。

 

 「新市の一体性の確保と均衡ある発展」―。平成の大合併と呼ばれた全国的な市町村合併は1999(平成11)年から2010(同22)年にかけて行われ、新花巻市は2006((同18)年1月1日、旧花巻市と大迫、石鳥谷、東和の旧3町の「1市3町」を糾合して、誕生した。今年はちょうど、20周年に当たる。

 

 その際、国がその不均衡を是正するために打ち出したのが合特債という“大盤振る舞い”だった。事業費の最大95%まで借り入れができる上、返済時にはその70%が国から交付税措置(キャッシュバック)されるという有利な債権である。上田東一・前市政から財政運営の基盤を支えてきたが、新花巻図書館の想定外の事業費増に直面し、将来の財政見通しに大きな陰りが見えてきた。

 

 当市の場合、合併当初の発行可能額は389億6,820万円で、この20年間の発行総額(令和8度末換算)は321億1,670万円。東日本大震災の発生によって、発行期限が令和12年度(2030年)まで延長されたが、令和9年度以降の発行可能見込み額は68億5,150万円にまで圧縮されている。この間、上田前市政は総合花巻病院の移転・新築や駅橋上化(東西自由通路)、新図書館の駅前立地を3大プロジェクトに掲げ、そのほとんどを合特債と国庫補助に依存してきた。そんな折しも、市財政を直撃したのが、図書館にかかる概算総事業費が当初の39・9億円から一挙に15億円増の55億円に跳ね上がるという“青天の霹靂”(へきれき)だった。さらに、国庫補助の減額がこれに追い打ちをかけた。

 

 

●「39・9億円」の財源内訳は―。国庫補助(15億円見込み)、合特債(24・9億円で、うちキャッシュバック分が16・5億円、市の実質負担分が8・4億円)

 

●「55億円」の財源内訳は―。国庫補助(15億円見込み)、合特債(40億円で、うちキャッシュバック分が26・6億円、市の実質負担分が13・4億円)

 

 

 市側は概算総事業費の増額分を「1・37倍に抑制した」と強調しているが、合特債の充当分が15・1億円、市の実質負担分が5億円づつ、新たに増えたということになる。つまり、有利な財源である合特債の残額が減る一方で、逆に市民の税負担に直接、影響を及ぼす市側の持ち出し分が比例して、増加したことを意味する。この先には「(仮称)子育て複合施設整備事業」や「(仮称)産後ケア施設整備事業」など大型プロジェクトも控えている。果たして、残余は?

 

 「新花巻図書館複合施設整備事業構想」―。令和2(2020)年1月29日、議会や市民の頭越しに突然、いわゆる“住宅付き”図書館の駅前立地構想(上田“私案”とも)が天から降ってきた。「現時点では複合施設部分を除く、図書館本体部分の建設費は20億円強を見込んでいるところであり…」(令和2年3月開催の市議会3月定例会での市長演述)―。上田前市長は当時、こう胸を張ったが、寝耳に水のサプライズは上を下への大騒動になった。結局、1年も持たないうちにセールスポイントだった「住宅付き」と「50年間の借地権の設定」の部分は撤回を余儀なくされ、“儲かる”図書館という上田流「コスパ」図書館構想はあえなく頓(とん)挫した。と、その時は誰もがそう思ったのだったが…

 

 上田市政は就任2年目(平成28年)に策定した「花巻市立地適正化計画」の中で、新図書館の立地場所として「(病院跡地を含む)まなび学園周辺への移転・新築」を明記していた。宮沢賢治ゆかりの地であり、早池峰山を仰ぐという立地環境に加え、当該土地がすでに市有地化されているという「うってつけ」の場所に市民の関心が集まり、立地希望の署名数も6千筆を超えた。ところがどうしたわけか、上田前市政と後継の小原勝市政には「駅前立地」の旗を降ろす気配はみじんもなかった。そんな時期にまるで符節を合わせるように聞こえてきたのが「合併特例債」という“錦の御旗”の大合唱だったというわけである。

 

 「事業費が15億円もアップするという重大案件について、11月1日発行の広報『はなまき』にも、さっき配布されたばかりの市政懇談会の資料にも一切、記述がない。この件については、教育委員会議(9月25日)の最終議決を経たうえで、議員説明会(10月5日)、市民説明会(10月中に4回開催)の場でも説明がなされている。なのに、各戸配布の広報には掲載されていない。(この数字を)広く知られたくないというのが本音ではないのか。また、市民説明会に市長の姿はなかった。市民の知る権利を奪う“背信”行為だと言わざるを得ない」―。私は11月2日に開催された花西地区の市政懇談会の場で、こう迫った。

 

 これに対し、小原市長は「特段、隠そうとするつもりはなかった。広報は編集の日程があるので…。(市民説明会に出席しなかったことについては)担当部局が対応するのが適切だという私の判断だ」と語った。「その判断が間違っているのではないか」と詰め寄ると、「ご指摘ありがとうございます。今後に活かせる部分は参考にさせていただきたい」と答えるに止まった。「慇懃無礼」(いんぎんぶれい)とは、このことではないのか。"市民一丸”(選挙公約)が泣いている。

 

 折しも、永田町界隈では高市首相のG7(主要7ヶ国首脳会議)への欠席をめぐり、国内外から大きな批判が巻き起こっている。「官僚(外務審議官)の代理出席で十分」と開き直る姿勢も小原市長と瓜二つ。直前に公邸で“宴会”が開かれていたことも明らかになり、政権側は関係者に“かん口令”を敷くという前代未聞の措置に踏み切ったが、この一大椿事(ちんじ)が足元の光景に違和感なく、重なった。政治の世界では中央と地方を問わずに「口が裂けても言ってはいけない。言えない」―ことが付きまとうものらしい。いまに至るまでの図書館“迷走劇”が走馬灯のように頭の中をかけめぐった。

 

 上田“私案”が空中分解した際、有利な合特債を「病院跡地」に振り向けていたならば、より事業費を抑えることができたのではないか。そして、市民の多くが納得できるような“夢の図書館”がとっくに、お目見えしていたのではないか。病院跡地から「駅前立地」に計画変更した背景には一体、何があったのか。なぜ、行政トップとしての政治決断を行使できなかったのか…。小原市政は依然として、この辺の事情については石のように口を閉ざしたままである。

 

 「いちまーい、にまーい... 」(『番町皿屋敷』)―。お菊の亡霊が井戸の中で、夜な夜な皿の数をかぞえる“悪夢”にうなされた。「“住宅付き”図書館が約20億円で建つとするなら、今なら同じ規模の図書館が複数館できる計算になるじゃないか」。夢うつつの中で、こんなことをツラツラ考えているうちにバタンキュ―したらしい。「毒を食らわば、皿まで」。夢枕に立った背後霊の声にハッと目覚めた。このところどうも、心身ともに不安定な日々が続いている。

 

 

 

 

 

(写真は市政懇談会が開かれた会場=11月2日午後、花巻市南万丁目の保健センターで)

2026.11.02:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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