(7月)26日に投開票された花巻市議会議員選挙の結果、31人の立候補者の中から、26人が新しい議員に選ばれた。内訳は元職2人を除いた8人が初当選した。新花巻図書館問題が「駅前か病院跡地か」という民意を二分した“立地”論争に発展したきっかけは、2020(令和2)年1月29日、上田東一・前市長が議会や市民の頭越しに突然、公表した住宅付き図書館の「駅前立地」構想だった。一方、この図書館“迷走劇”の当時に在籍していた議員で、今回再選されたのはわずか10人に過ぎない。つまり、全議員26人のうち、実に半数以上の16人が当初からの継続的な図書館”論議”には参加してこなかったことになる。
小原市政は前上田市政の路線を継承し、現在「基本・実施設計」の委託業務が進められている。“駅前図書館”は予定通りに進めば、2030(令和12)年のオープンとなっている。その期間は今回の当選者の任期とすっぽり重なる。この間、令和9年度以降は図書館本体の着工に向けた巨額な予算審議など重要案件が山積している。一方、新図書館の「駅前立地」については、当初の立地候補地の「病院跡地」から現在地に変更になった理由が市側から一切説明されないまま、現在に至っている。さらに、病院跡地への立地を望む6,181筆に及ぶ署名や住民投票の実施要望に対しても小原市政は無視・黙殺の強行姿勢を崩していない。
こうした大プロジェクトを審議する花巻市議会9月定例会は9月9日に開会される(会期は10月5日までの27日間)。とくに、新人議員がイーハトーブ花巻の未来を占う新花巻図書館のあり方について、どんな論戦を挑むかが注目される。他方の小原勝市長は新体制下の初議会において、「駅前立地」に至る経緯について、前市長の”コピペ”発言を繰り返すのではなく、今度こそ自分自身の信念の言葉で説明責任を果たしてほしい。当局側と議会側とが互いに監視し合うという「二元代表制」の真価が問われる時が近づいている。
(写真は6月定例会で答弁に立つ小原市長=花巻市議会議場で=インターネット中継の画像から)
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以下に気まぐれに任せて作成した新図書館略年表(戯曲名「新花巻図書館“迷走”交響曲―「駅前立地」というミステリ=作詞・作曲 宮沢 賢治)を紹介する。
●序章(2013年)―「イーハトーブ」(夢の国)の夜明け
花巻図書館整備市民懇話会が発した「知の泉/豊かな時間(とき)/出会いの広場」―をキャッチフレーズに掲げた「花巻中央図書館基本計画」策定(5月)。旧花巻厚生病院跡地(現総合花巻病院)に「こどもの城」を併設する複合施設の立地を決定。大石満男市政下の議会側も了承
●第1楽章(2014年)―市長交代、政策転換へ
上田東一・新市長の就任に伴い、「旧厚生病院」跡地案を撤回。新たに策定された「花巻市立地適正化計画」(2016年6月1日)の中で、「まなび学園周辺への図書館の移転・整備事業」と「総合花巻病院の(旧厚生病院跡地へ)の移転・新築」を明記。一躍、旧総合花巻病院跡地が図書館立地の有力候補地に
●第2楽章(2015年~16年)―総合花巻病院移転問題が急浮上
「移転整備基本構想」(案)が公表(2015年11月9日)。総事業費99億のうち、市補助金が約30億円。翌年の16年12月2日公表の「移転新築整備・基本構想」(概要)で、総事業費を86・9億円に圧縮、市補助金は19,7500万円(うち、単独補助12億円)
●第3楽章(2017年)―“密室”行政の存在が明るみに
公文書の開示請求をした結果、JR東日本と市側との間で非公開の「花巻市まちづくり勉強会」(6月7日)と「花巻駅周辺整備調査定例会」(12月15日)という組織の存在が判明。花巻駅橋上化(東西自由通路)と新図書館とを「ワンセット」(一体化)にする案などを検討。その一方で、市側は立地候補地を複数個所に拡大する「新花巻図書館整備基本構想」(8月15日)を策定
●第4楽章(2020年)―あっと、驚く「サプライズ」図書館
正月気分も抜けない1月末、「住宅付き」図書館の駅前立地という構想が議会や市民の頭越しに突然、公表。花巻駅前のJR所有地に50年間の定期借地権を設定し、賃貸住宅を併設するという内容。大方が反対し、同年11月に住宅併設と借地権設定については白紙撤回するも「駅前立地」の旗は降ろさず。新築移転の総合花巻病院がオープン(3月1日)
●第5楽章(2021年)―「試案検討会議」という名の世論誘導?
図書館協議会や社会教育委員会議など市側が委嘱する各種団体を主体とする「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」なる組織が誕生。駅前立地へ向けた“地ならし”の先導役に
●第6楽章(2022年)―「駅前立地」への動きが急加速
「試案検討会議」の結論を受け、上田市長が9月定例会で「駅前立地」を正式表明。駅前と病院跡地の二つの「事業費比較」調査の実施へ。立地場所の変更には言及せず
●第7楽章(2023年)―「病院跡地」への立地を求め、署名運動
「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(瀧 成子代表、3団体で構成)が4,730筆の署名を添えて、上田市長に請願書を提出。最終的な署名数は花巻市内在住者だけで、6、181筆に
●第8楽章(2024年)―対話型「市民会議」が発足へ
「事業費比較」調査を受け、立地場所の意見集約を行うための対話型「市民会議」が発足。無作為抽出した3,500人の中から、参加を希望した75人で構成。4回の会議すべてに出席した人はわずか42人で、6人は一度も出席しなかったことが明るみに。集約の結果、「駅前立地」に最終決定。旧花巻病院跡地の譲渡交渉が妥結、価格は約3億2千万円
●第9楽章(2025年)―「新花巻図書館整備基本計画」が正式策定へ
パブリックコメント(意見公募)や市民説明会を経て、市教育委員会議で「基本計画」が原案通りに可決。議会側も「駅前立地」へゴーサイン。公募プロポーザルに応募した61企業体の中から「昭和設計・tデ・山田紗子建設設計事務所共同企業体」が設計業務を受託。上田市長が4選出馬の断念を表明
●第10楽章(2026年)―新市長が「上田」路線の継承を表明
「市民一丸」を掲げた小原勝・新市長が誕生(2月5日)。新図書館の立地については「上田」路線の継承を明言。「市長との対話」(4月16日)、「市長へのメール」(4月20日)、「市政懇談会」(5月22日)の場でも強硬姿勢は崩さず。「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」が6月4日付で求めた市長権限に基づく「住民投票」の実施に対しても拒否回答。「口先だけの公約ではなかったのか」という批判も
●終章(2026年~30年)―銀河の郷 輝く未来へ!
小原市政が強硬路線に転じる中、市民の関心事は7月19日告示、同26日投開票の「夏の陣」(市議会議員選挙)へ。開票の結果、31人の立候補者の中から26人が当選を果たし、令和12年のオープンを目指して新体制がスタート



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