「立地場所の変更の理由は」「民意の認識について」「(駅前立地を)最終的に決定した対話型市民会議の妥当性は」…。10年来、焦眉(しょうび)の急になっていた新花巻図書館の立地問題について、冒頭に掲げた核心部分の説明を「市長との対話」(4月16日)や「市長へのメール」(同20日)などを通じて求めてきたが、平行線をたどったまま現在に至っている。一方、前市政を引き継いだ小原勝市長はメディアなどの媒体ですでに「駅前立地」の実現を内外に表明し、民意の分断に拍車をかけるという最悪の事態を招きつつある。
こうした中、設計業務の受託業者に選定された「昭和設計・tデ・山田紗子建築設計事務所共同企業体」は令和9年3月19日までを履行期間とする「業務委託契約書」(令和8年1月7日付)を市側と締結。市役所近くに設計拠点となる”プレ室”(現地事務所)を設け、業務を続けている。一方、“駅前図書館”を既成事実化するこうした動きに対し、市民の間には日毎に不安と危機感が高まっている。そこで逆に受託業者がどのような経緯で選定されたのか―その背景を「公開質問状」という形で問うことにし、本日(12日)、公開質問状を手渡した。
なお、複雑な紆余曲折を辿った新図書館問題の理解を促す一助にと、拙著『「イーハトーブ”図書館”戦争」従軍記』をプレ室の一般閲覧用に贈呈した。
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2026年5月12日
「昭和設計・tデ・山田紗子建築設計事務所共同企業体」殿
元花巻市議会議員 増子 義久
〈公開質問状〉~新花巻図書館の設計業務について
新花巻図書館の設計業務に日々、精励されておられることに敬意を表します。貴共同企業体は公募プロポーザルに応募した61企業体の中から選ばれたプロ集団で、当市のシンボルである公共図書館の設計業務を貴企業共同体に委ねることができたのは一市民としても大きな喜びです。
そんな中、市側が一方的に進めようとする「駅前立地」の経緯については今なお、疑念を抱く市民は少なくありません。「民主主義の砦」とも言われる公共図書館の未来に禍根(かこん)を残さないためにも以下の諸点についてのお考えをお聞かせいただければ幸いです。この2月に就任した小原勝市長はすでにメディアなどを通じて、駅前立地の実現を内外に表明している折柄、市民の疑念を払拭することが喫緊(きっきん)の課題になっています。お忙しいところ恐縮ですが、今月末(5月末日)までに文書(メール)にてご回答をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
記
1)新花巻図書館の「駅前立地」に至る経緯について、市側からどのような説明がありましたか。もしあったとすれば、「旧花巻病院」跡地への立地を求める、いわゆる“立地”論争への言及はありましたか。また、建設予定地のJR所有地が未だに市有地として、取得されていないという事実については知らされているでしょうか。
2)「業務委託契約書」(建物配置案の作成)の項に「図書館建物と既存及び現在計画中の周辺施設等との調和を考慮し…」という記述があり、計画中の施設の中には今月7日から仮工事が始まった「JR花巻駅東西自由通路(駅橋上化)」事業も含まれています。
ところが、令和7年11月24日に行われた「公開プレゼンテーション」においては、駅橋上化事業についての言及は一切、ありませんでした。そもそも、建築設計のプロフェッショナルが背中合わせに並び立つ二大プロジェクトの相関性に無関心なのは余りにも不自然に思います。この立ち位置の違いの背景に何があったのか、ご説明をお願いします。
3)同じ「業務委託契約書」の中の設計与条件のひとつに「花巻らしい図書館として、宮沢賢治専用スペースの設置方法について検討するものとする」という記述があります。プレゼン資料の中には様々な工夫を凝らした着想もあります。ただ、そのひとつの「又三郎シャフト」という空調設備(ダクト)については、いわゆる“賢治的”な風土感覚に照らしてみても大きな違和感を抱かざるを得ません。
一方、当市では「ふるさと納税」(旅先納税)のひとつとして、「はなまき星めぐりコイン」(電子商品券)を返礼品に当てています。こうしたある種の賢治“利権”に対しては賢治ファンからも「目に余る」という批判が聞かれます。
「賢治ワールド」は銀河宇宙にまで伸びる広大無辺な「物語世界」(ナラティブ)です。駅前のビルの谷間の中で果たして、本当の“賢治”を演出するのは可能でしょうか。建築設計のプロフェッショナルとしての正直なお気持ちをお聞かせください。
以上
(写真は4月28日にオープンした“プレ室”=花巻市花城町のプリミエール花城1階)



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