戦後80年…戦時遺構と公職選挙法のはざまにて~市長の後援会幹部(市議)がまさか!!!???

  • 戦後80年…戦時遺構と公職選挙法のはざまにて~市長の後援会幹部(市議)がまさか!!!???

 

 「花巻防空監視哨聴音壕跡(はなまきぼうくうかんししょうちょうおんごうあと)」―。レンガ積みの円筒形の“戦時遺構”は閑静な住宅街に囲まれるようにして、ひっそりとたたずんでいた。敵機の来襲を音で感知する「聴音壕」である。直径3・5㍍、高さ3・17㍍で、戦時中の昭和17(1942)年に建造された。朽ち果てる「戦争の記憶」に心を痛めた地域住民らが平成30(2018)年8月、「聴音壕跡地」保存会を結成。6年前に浄財を募って、整備保存された。

 

 当市花巻も終戦直前の昭和20(1945)年8月10日、大規模な空襲に見舞われ、42人が犠牲になった。戦後80年、その記憶を確かめようと立ち寄ったのがこの戦時遺構だった。整備事業に協力した70人近い個人や企業の名前が記された看板の中に「照井省三」という名前を見つけた。寄付額は現金1万円となっていた。同姓同名でないとしたら、この該当者は現職の花巻市議その人にちがいないと思った。市議会HPによると、党派は社会民主党で、所属会派は「社民クラブ」(3人)だと判明した。

 

 「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない」(「公職選挙法」第百九十九条の二:公職の候補者等の寄附の禁止)―。いきなり、現実に引き戻された。素人目にも典型的な「公選法」違反ではないか、と。

 

 保存会の関係者によると、寄付の呼びかけは令和元(2019)年6月から行われ、66人から102万円の浄財が寄せられた。その年の7月20日には「環境整備とパネル設置」を祝う落成式が盛大に挙行された。一方、「芳志者」名簿に記載のある照井議員は平成26(2014)年7月に花巻市議に初当選し、現在は3期目。保存会の顧問にも名前を連ねている。

 

 この間、照井議員は上田東一市長の「後援会」事務局長として、一貫して「上田」市政を支えてきた。たとえば、就任直後の上田市長が「新興製作所跡地」の購入を拒否した際は自らの議会報告「市政ニュース」(2015年1月14日号)で、「跡地に建設予定のパチンコ店とホ-ムセンタ-をまちづくりの活性化へ」という持論を展開して擁護した。さらに、JR花巻駅の橋上化(東西自由通路)問題ではいったん、否決された予算案の復活を呼びかけた、いわゆる“やらせ要請”が議会内でも批判を浴びた。

 

 さらに、迷走を続けたうえでやっと市側が「駅前立地」を最終決定した新花巻図書館についても、こんな“誘導”質問をしていたことが分かった。「立地適正化計画」(平成28年8月)において「まなび学園」周辺とされていた立地場所は「新花巻図書館整備基本構想」(平成29年8月)の中で「数箇所」に変更された。以下の照井質問はそのわずか2か月前のことである。

 

 「例えば大通り一丁目、大通り二丁目、末広町、鍛冶町、そして吹張町は都市機能誘導区域の中に入っているのですが、その具体の活性策は見えていないのです。私の出身はたまたま大通り二丁目でして、この間行政区の集まりに呼ばれてお話を聞いたときに、図書館でも持ってきてくれないかという話もありました。それは、商店街が本当にもうなくなっている。したがって、商店街組合も解散をしているのです」(平成29年6月19日、「6月定例市議会」の会議録から)

 

 ところで一貫して、当局側を擁護する姿勢を見せてきた照井議員は開会中の6月定例会の一般質問(6月2日)で、「市の委託事業所での時間外労働に労働基準監督署の調査が入った。どう対応するつもりか」と迫った。「市としても実態を調べたい」―こんなやり取りを聞きながら思わず、眉につばを付けたくなった。「人の振り見て、我が振り直せ」―というではないか。まず、「公職選挙法」違反が疑われる身辺整理が先決ではないのか…。一方、仮に当該事案の時効がすでに成立していたとしても、自らの選挙基盤を支える「後援会」幹部として、この“疑惑”の人物を重用し続けてきた上田市長の“政治責任”は免れない。

 

 所属会派の「社民クラブ」は以前、平和と環境を旗印に掲げて「平和環境社民クラブ」を名乗っていた。ねじれにねじれた地方組織の実態を平和論者の党首、福島瑞穂さんが知ったら一体、どう思うだろうか。「強権」支配で知られる上田市政を下支えする“革新”政党―これが宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」の戦後80年の無惨な姿である。なお、照井議員は開会中の今議会で永年勤続(10年以上)の表彰を授与された。(コメント欄に「聴音壕」の説明)

 

 

 

 

 

(写真は一般質問で、「労働関係法令違反」を取り上げた照井議員=6月2日午前、花巻市議会議場で。インターネット中継の画面から)

 

 

 

≪追記ー1≫~あれっ、もう「駅前立地」に決まったの!!??

 

 「旧総合花巻病院跡地の活用について」―。6月5日に再開された市議会6月定例会での似内一弘議員(緑の風)の一般質問に一瞬、虚を突かれた。「駅前か病院跡地か」と市民を二分した新図書館問題についての賛否は10日の議案審議の中で、議決される予定になっていたからである。もうすでに「駅前立地」を認めたかのような当局側の“露払い”発言ではないか。

 

 教育委員会議(5月19日)で「整備基本計画」を最終的に議決した際、委員の一人である役重真喜子さんは「首長も含めてですが、政治としての議会も含めて、私は非常に極めてその責任は重いと思っていると言わざるを得ないです」と釘を刺した。この日の似内議員と上田東一市長のやり取りはこの「役重」発言などどこ吹く風…「新図書館後」の跡地利用に話題の花が咲いていた。こうして、二元代表制はその双方の当事者によって、音を立てて崩れていったのだった。

 

 

 

≪追記―2≫~花巻市議会議員政治倫理要綱

 

  「議会監視」を名乗る方から、以下のようなコメントが寄せられた。議員の使命は「倫理」観に裏付けられた崇高なものだと改めて、教えられた。

 

 

 議員の皆さんが自分たちで決めたルールに従うと、当の御仁は、誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならないようですし、4人の議員がいれば議長に審査請求ができるようですね。

 

(政治倫理基準)

 第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。 (1) 市民の代表者として、その品位と名誉を損なう一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為をしないこと。

(審査請求の手続)

 第5条 議員は、第3条に規定する政治倫理基準(以下「政治倫理基準」という。)に違反していると認められる議員があるときは、花巻市議会議員政治倫理審査請求書(様式第3号)にこれを証する資料等を添えて、議長に対し審査を請求(以下「審査請求」という。)することができる。2 前項の規定により審査請求しようとする場合は、議員定数の8分の1以上の議員の連署をもってしなければならない。

 

 

 

≪追記―3≫~「選挙区内での寄付」とまたもやの”不規則”発言

 

 「犯罪者?」を名乗る方から「今日の午後の新興跡地問題の答弁で、市長が犯罪者がどうしたこうした、とか言ってました。騙(だま)されなくて正解だったというトーンだったように聞こえましたが…」というコメントが届いた。

 

 この一件は私が市議在職中のことだから、鮮明に記憶している。がれきが放置されたままになっている現状を弁明する際の常套句で、「汚い過去を持つ業者の手に渡ったのが運の尽き。『安物買いの銭失い』を選択しなかった当時の考えは正しかった」と事あるごとに話していた。そして、ハタと気がついた。「公選法」違反も立派な犯罪じゃないか。わが市長はこっちとはウマが合うようで…

 

 

 

≪追記―4≫~よーく見ると

 

 「議会監視」を名乗る方から、以下のようなコメントが寄せられた。まるで、“投稿”ラッシュ。その分、上田市政だけでなく、議会に対する危機感の表れか?

 

 

 「例えば大通り一丁目、大通り二丁目、末広町、鍛冶町、そして吹張町は都市機能誘導区域の中に入っているのですが、その具体の活性策は見えていないのです。私の出身はたまたま大通り二丁目でして、この間行政区の集まりに呼ばれてお話を聞いたときに、図書館でも持ってきてくれないかという話もありました」―。この発言は議員のルールに違反していますよね。いわゆる口利きではありませんか?

 

<花巻市議会議員政治倫理要綱>

 

(政治倫理基準)

  第3条 議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。(2) 市民の代表者として、常にその人格と倫理の向上に努め、その権限又は地位を利用して、不正に影響力を行使し、又は金品を授受しないこと。(3) 市の行政庁の処分又は市が締結する売買、賃貸借、請負その他の契約に関し、個人、特定の企業、団体等を推薦し、紹介する等その地位を利用して有利な取り計らいをしないこと。

 

  

  

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025.06.05:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

防空聴音壕跡地

 所在地は「若葉町2丁目14-15」。聴音壕がほぼ、原形のまま残っているのは全国的にも珍しい。当初は「牧場のサイロ」と思われ、関心が薄かった。隊員の多くは徴兵前の少年たちで、レコードで軍用機の爆音を聞き分ける訓練を受けたという。

 

2025.06.05:[編集/削除]

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