今月も街ネタを2つご用意しました。
生活に取り入れたり、仕事で生かすなどしていただけると本望です。
◎週一日の練習でも
T社長は、小学生から大学生の時まで野球を続けてきました。高校時代には甲子園に出場し、大学ではプロ野球に進んだ仲間と競うほどの腕前でした。
数年前、会社経営のかたわら地元の少年野球の監督を引き受けることになりました。
《 やるからには強いチームを作るぞ 》と意気込み、平日に週4日の練習日を設けました。週末になると、試合をこなしながら練習を積み重ねました。
ところが、T社長のチームは県で下位に位置する成績だったのです。
《 練習量は十分なはず…》と思いながら、練習の様子を見ると、野球が心底好きな子は溌溂(はつらつ)とプレーしますが、義務的にプレーしている子もいました。
そこで週4日の練習を、週1日に切り替えたのです。
すると限られた練習時間で、皆がイキイキとプレーし始めたのです。 《 練習量が足りない 》と思った子は自主練習をし、結果として、チームは県ベスト4にまで上り詰めたのでした。
T社長は、少年野球の監督として、子供たちと向き合ったことを通じて、何かを成し遂げる際には、「心が先行する」ことを学んだのでした。
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<コメント>
週4日を週1日に変更するのは勇気ある決断だったはず。特にご自身が甲子園球児とあれば、練習量の豊富さこそ技能向上の近道、という認識があったでしょうから。
「心が先行する」という意味は、ここでは監督と子供達の両方を指しているのでしょうね。
監督としては『小学生とはいえ自主性はあるはずだ』という信念。子供達からすれば『週1日では上手になるには時間が足りない』という危機感からくる『やりたい、やらねば』と駆り立てられる心。
「人の良い面を引き出す」ということを考える上で、とても参考になる実例だと思いました。
◎私のカアちゃん、バカ母ちゃん! 〈小学校5年生女子の作文より(昭和のお話)〉
私のカアちゃんはバカです。
野菜の煮物をしながら、洗濯物を干しに庭に出たら、煮物が吹きこぼれ、父ちゃんから「オイ、バカ。煮物が溢れてるぞ!」と言われて、慌てて、洗濯物を竿ごと放り出して台所へ駆けこみました。洗濯物は泥だらけです。
「バカだなあ」と言われて、「ごめんね、父ちゃん、カンベンね」とおどける母ちゃんです。
しかし、母ちゃんを叱るその父ちゃんも実はバカ父ちゃんです。
ある朝、慌てて飛び起きて来て、「御飯はいらん」と洋服に着替え、カバンを抱えて玄関から走り去りました。
すると母ちゃんが、「バカだね。父ちゃん。今日は日曜日なのにね。また寝ぼけちゃってまあ!」
そういうバカ母ちゃんとバカ父ちゃんの間に生まれた私が、利口なはずはありません。 弟もバカです。家中みんなバカです。 しかし……
私は大きくなったら、私のバカ母ちゃんのような女性になって、私のバカ父ちゃんのような人と結婚し、私と弟のようなバカ姉弟を産んで、家中みんなでアハハアハハと明るく笑って暮したいと思います。
私の大好きなバカ母ちゃん!!
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<コメント>
とある町の教育委員会が主催した作文コンクールで、母ちゃんの前でこの女の子は堂々と発表し、笑いと涙を誘ったというお話です。
実に昭和チックなお話。泣けてきます。今頃、素敵なご家庭を築いていらっしゃることでしょうね。 今は「バカ」という言葉を使った時点で、選から漏れてしまうのではないでしょうか。このようなくったくのない明るさにはホッとさせられますね。