クルリひっくり返すだけで、
宇宙の神秘にせまる偶然の美を楽しむことのできるサンドピクチャー。
ダイレクトメール編の中に、
「ストーカーDM」
というのが出てきます。
「ん?」と思いましたが、読んでみればなるほどです。
理由もなく何度も同じDMが来れば、「何だ!」ということになるかもしれません。
しかし、1回だけではインパクトが薄いのも事実。
2回、3回と送られてくるものが開封されるには、それなりの理由が必要なのです。
ターゲットが絞り込まれている場合は、ぜひ開封して読んでほしいですし、
目標とする行動をとってもらいたいわけです。
これは同じ件で3回DMを送っている事例です。
1回目は普通に送るわけですが、2回目がポイントです。
「ゴメンナサイ!! 実は謝らなければならないことがあるんです・・・」
という手紙のタイトルだけが見えるように封入する、というもの。
そう言われると、何を誤るのか、気になるわけです。
そして、開封すると、
「来場をお願いしておきながら、地図を入れるのを忘れました」というお詫び文。
なんだ、そんなことで、と、決して悪い気はしません。
分かる人が見れば、「ははん、これは2回送るための口実だな」とわかりますが、
それとて、決していやらしくないので、むしろ笑って受け入れてくれそうです。
そして3回目が、ダメ押しの来場案内なのですが、2回目のユーモアが効いて、
しつこさはむしろ親近感に変わったのではないかと推察されます。
何しろ実際の来場率が1割を超えたというのですから、大成功だったと言えるでしょう。
この本には、「確かにそうだよなぁ」と共感できる表現がいっぱい。
今回取り上げるエステのチラシなどまさにそのいい事例です。
仙台にあるホテルモントレ最上階のエステサロン。
宿泊客は当然見込客ではありますが、そもそも男性はあまりエステには興味がない、
と米谷氏。
ますその認識が大切ですね。
そこを素っ飛ばして考えるところに伝え手側が陥りやすいワナがあります。
だから、「エステで首・肩・顔スッキリ(45分)9450円」と書かれていても、
そもそも関係ない、と秒殺される(笑)。
自分でもそう思います。
ならばどうすればいいか?
詳細をお尻になりたい方は本書をお読みいただくとして、
およそ次のような流れにするといい、と説明されています。
まず、「個人からのメッセ―ジ」というカタチをとる。
その上で、
①見る人の気持ちになって、まず受け入れる
②問題を認識させる
③その解決策を示す
④行動できるよう肩を押す
という順番にていねいに仕上げるのだそうです。
いかがでしょうか? 伝わりましたか?
今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎ お母さんの請求書
日曜日の朝、ブラッドレーは、お母さんに1枚の紙切れを渡した。その紙にはこのように書いてあった。
〇ブラッドレーのせいきゅう書
おつかいちん 1ドル
おそうじちん 2ドル
音楽のけいこに行ったごほうび 1ドル
合計 4ドル
お母さんは、にっこり笑って、何も言わなかった。
お昼の時間の時、お母さんはブラッドレーに4ドルのお金をのせた。ブラッドレーはそのお金を見て喜んだが、そのお金と一緒に、1枚の小さな請求書があった。その請求書には、次のように書いてあった。
〇お母さんのせいきゅう書
親切にしてあげた代 0ドル
病気したときのかん病代 0ドル
服や、くつや、おもちゃの代 0ドル
食事代と部屋代 0ドル
合計 0ドル
これを読んだブラッドレーは、お母さんの所へ駈けていき 「お母さん、このお金はお返しします。そしてお母さんのために、何でもさせて下さい」と言った。
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<コメント>
小学4年生の道徳の教科書として採用している県もあるようです。その場合は、ブラッドレーを太郎君とし、ドルではなく円にしているようですが。
この話は、子どもももちろんですが、むしろ私たち大人が読んで感じるものだなぁ、と思いました。
無償の愛の恩に気づいた時から本当の親孝行が始まるのだと思います。
◎ 「伝える」と「伝わる」
「CMを編集する際は『隙間』を大切にする」というのは、クリエーティブ・ディレクターの箭内(やない)道彦氏です。
「言いたいことで十五秒を埋めるのでなく、見る人が、感じたり考えたりできる時間を必ず数秒つくります。せりふも、音楽も。『伝える』が、少しでも『伝わる』に変わるように」
箭内氏は、「押し売る」のでなく、「引き込む」ことも広告には必要であり、それを「伝える」と「伝わる」という一文字の違いで表現したのでした。
人と人とのコミュニケ―ションについても、同じことが言えそうです。
相手を説得しようと、大きな声で一方的にまくしたてれば、相手に届くわけではありません。
むしろ聞き役に徹することで、心が響き合うケースも少なくないでしょう。
自分の思いが伝わらないのは、相手が聞いてくれないのではなく、実は、相手の気持ちを素通りしているこちらに問題があるのかもしれません。
時には、自分の伝え方を振り返ってみたいものです。
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<コメント>
たった15秒でも間がないとダメなんですね。
1分間でスピーチや自己紹介を依頼されると、ついつい慌ててしゃべってしまいます。伝わることを意識するならば、それじゃダメってことですね。
「聞き役に徹することで、心が響き合う」というフレーズはまさにそのとおりだと思います。
話したいことがたくさんある時ほど肝に銘じたいことですね。
<ちょっと長めの編集後記>
水合わせの儀というのがあります。古来からの儀式で、新郎新婦の互いの実家の水を汲んできて、ひとつの杯に注ぎ合わせた水を飲むというもの。
別々の水(環境)で育った新郎新婦が、それぞれの家風の違いを乗り越えて一つとなり、二人で新たな家庭、水、環境を築いて行けるようにとの願いが込められているそうです。
これになぞらえ、ある祝賀会で合わせ酒という企画が実施されました。
宮城県内18の支部がそれぞれの地酒を持ち寄り、それを1つにして乾杯しました。
どんな味になるんだろうとドキドキでしたが「意外といけるねぇ」と評判でした。かなりの量がありましたが、見事全部飲み干されました(笑)。
「ハッピーエンドから考える」というフレーズがなるほど、と思いました。
チラシを作る時「まずどう行動してほしいか」から考え、そこを強調するというのです。
例えば、
「電話やFAX、メールで問い合わせをしてもらう」
「ホームページに立ち寄ってもらう」
「来店してもらう」
などなどです。
その際、その行動をする際の不安要素を極力取り除いてあげることにより、
反応率がグッとよくなるとのこと。
アクサダイレクトという保険会社のCMだと、感じのいい女性が電話応対している様子が
伝わってきますね。ああいう雰囲気をチラシでもスペースを割いて必要だ、ということ。
笑顔の女性の写真、最低でもイラストは入れましょうとのことでした。
この本で一貫して著者が言っていることの1つに、
人は誰しも売り込まれるのがイヤ、特に自分に関係のないと思われるものの広告、
これは嫌われる、と。
コメント不要、そのとおりですね。
それでも伝える側はなんとかして手持ちの情報をしかるべき人へしっかり伝えたい。
では、どうするか?
ざっというとそのせめぎ合いにおける基本的な考え方や手法が書かれている本なのです。
まずは事例その1
街頭でチラシ配りをする場合、
ポケットティッシュなどがついていると一応受け取ってもらえますが、
実はそうでなくてもかなりの確率で受け取ってもらえる方法がある、というのです。
実はこれ、私自身も体験済。間違いありません。
それは、号外新聞”風”チラシ、という形をとっての配布です。
用紙のサイズや質感も重要。そして紙面の構成もそれっぽく仕上げます。
そしてスタッフジャンパーを着て配る、というのも重要だ、と言います。
いかがでしょうか?
論より証拠、ぜひトライしてみてください。
新幹線の文字ニュースの中でも、号外ニュース、という言葉には何だか読まなくちゃ損、
といった緊張感(?)が生まれますものね。
友人でもありビジネスパートナーでもある米谷仁さん。
週に最低1回は会っているので、今もっとも接触頻度が高い人物と言えます。
さて、その米谷さんが出版社商業界から依頼され、
これまでの仕事人生の集大成として手掛けてきた事例を、
これでもか、と満載した渾身の初著作がこの写真の「おバカ販促」です。
米谷さんにデザイン編集していただいた弊社の名刺(1つ古いバージョンですが)も
掲載されています。
アマゾンで購入できますので、よろしければぜひ買って読んでみてくださいね。
次週より、少しずつこの本から学び取れることをまとめてみたいと思います。
連休を利用して、神奈川県小田原市にある二宮尊徳記念館に行ってきました。
小田原は相模湾に面した箱根の玄関口。
温暖な気候で交通の要所、栄えることが約束された地という感じを受けました。
さて、二宮金次郎、のちの二宮尊徳とはどういう人物だったのでしょう。
私は、弟子の福住正兄(ふくずみまさえ)氏が著した「二宮翁夜話」のCD版を
何度も何度も聞いていましたが、やはり記念館ではこれまで知らなかった情報を
たくさん知ることができました。
二宮金次郎といえば、誰しも背中に薪を背負いながら書を読む小さな少年の彫像を
思い描くことと思います。
やりたいことも我慢してひたすら勤勉に農作業をするというイメージ。
ところが実際は大きく2つの点でそのイメージとはずいぶん違います。
1つ目は体の大きさ。大人になった金次郎(改め尊徳)は、身長185㎝の大男。
再建の神様と呼ばれた男に相応しい風貌だったのです。
最初の写真が記念館の脇にある尊徳の生家で、実物大の銅像が立っていました。
実にエネルギッシュで苦難をものともしないたくましさを感じました。
氏の教えは報徳仕法としてまとめられ、至誠・勤労・分度・推譲を基本としています。
推譲という言葉がわかりにくいと思いますが、働きによって生まれた力やお金を
自分の将来や社会に譲ること、という意味だそうです。
幸田露伴の幸福三説(惜福・分福・植福)を1つの言葉で言い表したような
ニュアンスが感じられます。
分度は大切としながらも、決して欲を否定してはおらず、むしろそれをエネルギー
として励むことを推奨したのです。これが2つ目のイメージギャップの点です。
とても実際的かつ成功する考え方で、今に通じるものがあると思いました。
小田原市民にどの程度この報徳仕法が浸透しているかはわかりませんが、報徳タクシー
とか、報徳観光など、報徳という名前のついたものをあちらこちらで目にしました。
利用して実感すればよかったなぁ、と思いました。
今月も、「まちネタ」(街で見つけたコラムに潜むコミュニケーションのネタ)をお楽しみください。
◎ 完結力と後始末
仕事をする上で、いくら良い企画であっても、成果に結びつかなくては意味がありません。そのためには、成果を得るまで緊張を緩めないことです。
Tさんは、企画力が抜群で、仕事の手際も良いのですが、完成間際で失敗することがあります。要領がいい分、最後に気を緩めてしまう癖があるからです。
そのようなTさんの仕事ぶりを見て、先輩が、ある助言をしました。それは、後始末を徹底することでした。
半信半疑だったTさんですが、まずは退社時に机を片づけることから始めました。散らかり放題の机を見て、一日の仕事ぶり、後始末の悪さを痛感しました。
その習慣を続けることで、Tさんは少しずつ、緊張感を持続できるようになりました。それが、結果的に、業績の向上につながっていったのです。
後始末は、①物や道具への感謝、②物事の区切り、③次のスタートの準備であると共に、物事を完結させる力を養う訓練にもなります。
生活の一場面ごとの後始末をしっかり行ない、物事をやり遂げ、成果をつかむ力を養いたいものです。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<コメント>
自分がTさんの上司だったら、どのようなアドバイスができただろうか、と思って読みました。
Tさんとこの上司の間には、かなりよい信頼関係があるのでしょう。半信半疑ながらも、やろうと思い、実行し続けたわけですから。
後始末がしっかりできてない人からは、確かに、なんとなく危うい印象を受けてしまいますね。
身の回りの物の整理整頓はもちろん、いただいた名刺、手帳に書き留めたメモ、計画したことなどなど、後始末が必要な場面は限りなくありますので、しっかりとやっていきたいものです。
◎ 南州翁の教え
明治二十三年、旧庄内藩では、西郷隆盛の遺訓集『南州翁遺訓』を作成しました。その遺訓の一つに、次のようなものがあります。
「何程(なにほど)制度方法を論ずる共、其人に非ざれば行われ難し。人有りて後(のち)方法の行はるるものなれば、人は第一の宝にして、己れ其人に成るの心懸け肝要なり」
これは「どんなに制度や方法を論議しても、それを行なう人が立派でなければ、うまく行われない。自分がそのような立派な人になれるよう、心がけることが大事である」という内容です。
私たちの職場には、社則や規約など、様々な決まりごとがあります。しかし実行されなければ、絵に描いた餅にすぎません。
西郷隆盛の教えに倣(なら)って、まず自分が決めごとを守る人となって、よい社風
作りのために率先して実行したいものです。
また、社内に掲げられている理念や社是(しゃぜ)、社訓などの中から、「今日はこの一つを実行しよう」という意気込みで、仕事に臨みましょう。
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<コメント>
スローガンなどが、お題目だけで終わってしまっている事例は数多くあると思います。
いろいろ原因はあるでしょうが、それをやるべき理由が全員にストンと腑に落ちてないとか、1人ひとりに自分事として捉える習慣がないとか、旗揚げをした人が本気じゃない、などが想像されます。
「今日はこの一つを実行しよう」はとても大切な心もちですね。
会社の前に植えてある枇杷の木。
元は小さかったので、タイヤを3つ重ねたところに土を入れ、
そこに植えてなんの違和感もありませんでした。
先日、来社いただいたお客様から、「こんなに繁っていてよく倒れないね」
と言われてハッとしました。
確かにどんな強風が吹いても倒れなかったのですが、今後もそうとは限りません。
ずっと放っておいたので剪定が必要だと思い、休日を利用してやってみました。
気づいたことは即行即止が当社のモットーです。
かなり柔らかい木なので切るのも片づけるのも楽でしたが、ただ単に切るだけじゃなく、
木と会話をしながら剪定していきました。
何しろ、木の方からすれば、せっかく時間をかけて枝を伸ばしてきたのに、バッサバサと
切られるわけですから、面白くないと感じることでしょう。
だからこそ、
「あなたをいじめるためじゃないんですよ。
風が吹いても倒れないようにスリム化しているんですよ。
これからも元気にしていてくださいね」
と語りかけました。
隣から侵入してきた蔓が絡んでいたのですが、もしかしたら、この蔓のおかげで
強風でも倒れなかったのかな、とも思いました。
枇杷と蔓とのイイ関係、いわゆる共生型社会ができていたのでしょうね。
この枇杷の木には、メジロやヒヨドリが実を食べにやってくるので、
そのために存在しているようなものでしたが、あまりにスカスカにしてしまったので、
元気のいいヒヨドリはいいとして、臆病なメジロは来てくれるかな?