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令和7年度 上杉文華館「謙信・景勝に手紙を出す」③

令和7年度 上杉文華館「謙信・景勝に手紙を出す」②

 令和7年度の上杉文華館は「謙信・景勝に手紙を書く」と題して、国宝「上杉家文書」などを展示します。

 戦国時代、書状は一定の規則に則って書かれました。このような規則を書札礼といい、差出人と受取人の関係が反映されていました。それをまとめた書札礼書 も作られました。そこには差出者の社会的地位に応じた規範が示されています。その適用は厳密であり、ゆえに実際の書状の書き方から両者の関係を知ることも できます。東国の大名間では、差出は実名に花押、宛名は名字に殿の尊称という表記が、原則的に対等な関係を示していました。特別な内容や礼状などでは、宛名に「謹上」のような上所、差出の実名に官途や姓などを加えて厚礼とし、より丁寧な気持ちを表すこともありました。

 永禄4年(1561)、謙信(長尾景虎)は上杉憲政から名跡と関東管領の地位を譲られ、上杉氏を名乗ったことはよく知られています。これによって謙信、景勝 はその地位に応じた書状を受け取ることになりました。宛名には、「上杉殿」や「上杉弾正少弼殿」などの名字を冠したもの、「山内殿」や「越府」、「春日山」 などの地名を記すもの、また本人ではなく、報告を求めて側近に宛てたものなどがみられます。これらは差出人の立場によって選ばれますが、その基準をみていくことで、謙信や景勝の地位、諸大名家の権力構造、東国社会の変容などがみえてくると思われます。

2025年度はこの解明に取り組んでいきます。

 

第3回《山内殿Ⅰ…関東》

 

 【展示期間】5月29日(木)~6月24日(火)

  展示目録はこちら

第三回からは、「山内殿」という表現が使われる地域に着目します。今回は関東です。関東では、越相 えっそう 同盟における北条氏を除くと、北条氏と対立していた北 関東・房総の領主が使用していました。これらは北条氏と戦うため、上杉氏の軍事力に期待した領主たちでした。それに応じて謙信が、関東出兵を繰り返したの はよく知られています。  しかし、「山内殿」と記せたのは、室町時代以来、大名と認識された領主や足利氏一族らに限られ、その下の社会的地位にあった国衆らは、ほとんどが「越府」 という表現を用いました。「山内」を用いても「山内江」と表記しました。それは一五世紀前半に形成された、関東公方足利氏を頂点に関東管領山内上杉氏・足 利氏一族吉良 き ら 氏を上位とし、ほかの上杉氏一族と大名(外様)、そして国人 こくじん (国衆 くにしゅう )と続けて編成された関東の礼的秩序に強く規定されていました。

 

▼ コレクショントーク

 日時:6月1日(日)  14:00

 場所:常設展示室 上杉文華館

 ※入館料が必要です。

 

令和7年度上杉文華館展示スケジュールはこちら

 

皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

 

【お問い合わせ】

米沢市上杉博物館  0238-26-8001

2025.05.29:denkoku:[博物館情報]

特別展「上杉家の御殿~城・藩邸・伯爵邸~」展示紹介①

  • 特別展「上杉家の御殿~城・藩邸・伯爵邸~」展示紹介①

特別展「上杉家の御殿~城・藩邸・伯爵邸~」の前期は5/18(日)まで。

室内の様子を少しだけご紹介します。

米沢城と三つの江戸藩邸について、大判の絵図を多数展示中です。 四方から近づいて見たり、他の絵図と見比べたり、古文書から御殿内の動きを想像したり…。

絵図や建築好きの方もぜひ!

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国宝「上杉本洛中洛外図屏風」の原本展示も5月18日まで。

企画展示室の一番最後のコーナーに展示中です。

また、細密に描かれた、上杉伯爵邸の図面類もお見逃しなく。

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特別展の詳細は

https://denkoku-no-mori.yonezawa.yamagata.jp/140goten.html

 

皆様のご来館を心よりお待ちしております!

 

【お問い合わせ】

 米沢市上杉博物館  0238-26-8001

 

2025.05.16:denkoku:[博物館情報]

令和7年度 上杉文華館「謙信・景勝に手紙を出す」②

  • 令和7年度 上杉文華館「謙信・景勝に手紙を出す」②

 令和7年度の上杉文華館は「謙信・景勝に手紙を書く」と題して、国宝「上杉家文書」などを展示します。

 戦国時代、書状は一定の規則に則って書かれました。このような規則を書札礼といい、差出人と受取人の関係が反映されていました。それをまとめた書札礼書 も作られました。そこには差出者の社会的地位に応じた規範が示されています。その適用は厳密であり、ゆえに実際の書状の書き方から両者の関係を知ることも できます。東国の大名間では、差出は実名に花押、宛名は名字に殿の尊称という表記が、原則的に対等な関係を示していました。特別な内容や礼状などでは、宛名に「謹上」のような上所、差出の実名に官途や姓などを加えて厚礼とし、より丁寧な気持ちを表すこともありました。

 永禄4年(1561)、謙信(長尾景虎)は上杉憲政から名跡と関東管領の地位を譲られ、上杉氏を名乗ったことはよく知られています。これによって謙信、景勝 はその地位に応じた書状を受け取ることになりました。宛名には、「上杉殿」や「上杉弾正少弼殿」などの名字を冠したもの、「山内殿」や「越府」、「春日山」 などの地名を記すもの、また本人ではなく、報告を求めて側近に宛てたものなどがみられます。これらは差出人の立場によって選ばれますが、その基準をみていくことで、謙信や景勝の地位、諸大名家の権力構造、東国社会の変容などがみえてくると思われます。

2025年度はこの解明に取り組んでいきます。

 

第2回《「上杉」と「山内」》

 【展示期間】4月24日(木)~5月27日(火)

  展示目録はこちら

 第2回目は、さまざまな宛名表記のなかから「上杉」と「山内」を取り上げます。「上杉」は名字、「山内」は謙信が継承した上杉氏が屋敷を構えた鎌倉の地名 でした。その系統の上杉氏を山内上杉氏と呼び、戦国時代には関東管領を継承する家と認識されていました。北条氏康 ほうじょううじやす ・氏政 うじまさ 父子は、永禄11年(1568)12月から 始まる上杉謙信との同盟交渉で、はじめ「上杉弾正少弼殿」と表記していましたが、途中で「山内殿」に変更しています。また、蘆名 あ し な 盛氏 もりうじ ・盛隆 もりたか 父子の景勝宛書状 の宛名には「上杉殿」と「山内殿」の両方がみられます。  今回は、それらの具体的使用例を確認し、これらの表現の意味や関係をふまえて、その使い分けの理由を探ります。そこには差出者の主張が表現されていました。

 

▼ コレクショントーク

 日時:5月11日(日)  14:00

 場所:常設展示室 上杉文華館

 ※入館料が必要です。

 

令和7年度上杉文華館展示スケジュールはこちら

 

皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

 

【お問い合わせ】

米沢市上杉博物館  0238-26-8001

2025.04.24:denkoku:[博物館情報]

国宝「上杉本洛中洛外図屏風」原本展示のお知らせ

  • 国宝「上杉本洛中洛外図屏風」原本展示のお知らせ

4月19日(土)~5月18日(日)の期間、企画展示室にて

国宝「上杉本洛中洛外図屏風」の原本を展示致します。

 

国宝「上杉本洛中洛外図屏風」は天正2年(1574)に織田信長が上杉謙信に贈ったもので、桃山時代の代表的な絵師である狩野永徳によって描かれました。

この屏風は、京の市街地(洛中)と郊外(洛外)の四季と、そこに生活する人々のすがたを描いたもので、芸術的美術史的価値ばかりでなく、歴史資料としての価値も高く、民俗学的見地からも貴重な史料であることから国宝に指定されました。

ぜひご来館いただき、国宝の魅力をご覧ください。

 

※特別展「上杉家の御殿 ~城・藩邸・伯爵邸~」のチケットでご覧いただけます。

展覧会詳細はこちら

 

皆様のご来館を心よりお待ちしております!

 

【お問い合わせ】

 米沢市上杉博物館  0238-26-8001

2025.04.07:denkoku:[博物館情報]

【次回展示予告】特別展「上杉家の御殿 ~城・藩邸・伯爵邸~」

  • 【次回展示予告】特別展「上杉家の御殿 ~城・藩邸・伯爵邸~」
  • 【次回展示予告】特別展「上杉家の御殿 ~城・藩邸・伯爵邸~」

4月19日(土)よりはじまる特別展のお知らせです。

特別展「上杉家の御殿 ~城・藩邸・伯爵邸~」

 

 江戸時代、米沢城の本丸御殿は、上杉家当主の生活と儀礼の場であり、藩政の中枢としても機能しました。また、二の丸と三の丸には上杉家一族が住む複数の屋敷がありました。江戸には桜田の上屋敷をはじめ、麻布の中屋敷、白金の下屋敷があり、これらの屋敷には上杉家の人々を警固し、暮らしを助け、藩政を担う多数の藩士や奥勤めの女性が働いていました。
 米沢城は大判の城絵図が、江戸藩邸は精緻かつ美麗な平面図が、「上杉文書」(当館蔵)を中心に数多く伝来し、その変遷を知ることができます。本展示では特に第9代藩主上杉鷹山在世中の絵図を通して、鷹山がいつ、どの場所で、どのような生涯を送り、藩政改革に取り組んだのかをご紹介します。また、国宝「上杉家文書」や儀式の手引書などを読み解きながら、表と奥に代表される御殿の空間構成と部屋ごとの機能、上杉家の人々の暮らしと儀礼、そして藩士の職制や仕事ぶりを探ります。
 さらに、当館の西隣には上杉伯爵邸(国登録有形文化財)が現存し、今年は大正14年(1915)の再建から100年にあたります。これを記念し、上杉伯爵邸の特徴と見どころなどを紹介します。 

 

【会期】前期:4月19日(土)~5月18日(日)

    後期:5月24日(土)~6月22日(日)

     ※展示替え:5月19日(月)~5月23日(金)

 

【休館日】4月23日(水)、5月28日(水)

 

【開館時間】9:00~17:00(チケット販売は16:30まで)

 

【入館料】一般800円(640円)/高大生500円(400円)/小中生300円(240円)

    ※( )は20名以上の団体料金

    ※常設展とのセットのみ販売

 

 

♦入館料無料の日

 5月5日(月・祝)   こどもの日 小中高生無料!

 5月18日(日)     国際博物館の日 どなたでも無料!

 

【ギャラリートーク】展示解説 ※申し込み不要

 日   時 : 前期 4月19日(土) 御殿の空間と機能、そして働き方

            5月10日(土) 殿様の暮らし、表と奥

           後期 5月24日(土) 上杉鷹山の改革と御殿

         ※いずれも14:00開始

 会   場 : 米沢市上杉博物館 企画展示室

 定   員 : なし

 参 加 費 : 特別展入館料

 担当学芸員 : 佐藤 正三郎

 

【講演会】 ※事前申込制 4月9日(水)9:00から受付開始

「上杉伯爵邸の魅力と見どころ~近世から近代へ~」

 日   時 : 6月8日(日)14:00~16:00

 会   場 : 伝国の杜 2階大会議室

 定   員 : 80名

 参 加 費 : 無料

 講   師 : 山形大学工学部教授(建築史) 永井 康雄 氏

※お申し込みは TEL:0238-26-8001 へお願い致します。

 

特別展の主な展示資料等、詳しくは当館ホームページをご覧ください。

 

皆様のご来館を心よりお待ちしております!

 

【お問い合わせ】

 米沢市上杉博物館  0238-26-8001

2025.04.04:denkoku:[博物館情報]