建具(たてぐ)とは、部屋の仕切りや外部との仕切りに用いる、開け閉めすることのできる障子・襖(ふすま)・窓・戸などのことです。
家具と同様に、建具にも造作(ぞうさく)建具と既製品とがあります。
既製品の木製建具を見てみると、欧米に比べて日本製は種類も少なく質も見劣りするようです。木製ならまだましですが、木をまねた樹脂製やアルミ製のものまであり、本物志向の建築主には受け入れられません。
もともと日本住宅の良さは、建具文化にあると考えています。
季節や天候、使う目的によって自由に空間を仕切ったり開放したりして、柔軟性に富んだ住まい方ができます。
この建具文化の良さを、生かすも殺すも設計者の腕にかかっています。
ハウスメーカーさんの場合、使用する建具の多くは標準化されており、比較的自由度が少ないと言われます。
逆に設計事務所の場合、建具は腕の見せ所のひとつであり、建具表といわれる設計図を書きます。
さて、建具や家具の最大の特徴は、建築物の中で唯一“動く”という機能をもっている点です。
そのためデザインのみならず、金物などと組み合わせながら機能性・耐久性が求められます。
それをつくる建具職人さんには、素晴らしい技術と知識があります。
家具職人さんと同様に、山形の建具職人さんは、全国でも最高水準のレベルにあります。
本物志向の建築主には、たいへん喜ばれます。
日本住宅の良さは、建具文化にあり!
「ものづくり」を語る、家具職人
建築と一体で設計され、建築の一部として組み込まれる家具のことを、造作家具(ぞうさくかぐ)または造り付け家具(つくりつけかぐ)と呼びます。
(これに対して、家具屋さんなどで売っているような、あらかじめ形状が決まっているものは既製家具です。)
造作家具は、製作する前に必ず現場の寸法取りをし、その空間条件に合ったものを作業場で製作します。(写真は作業場での製作状況です。)
造作家具の利点は、使い手が求める固有の機能を計画できるだけでなく、建築空間と一体となったデザインが可能な点です。
しかし、コストの問題で既製家具を使う場合もあります。その場合でも、できる限り機能的で空間に合った家具を選択することが大切だと考えます。
山形の家具職人さんは、全国的に見てもレベルが高いのではないでしょうか。
職人魂のある家具職人さんたちと、いろいろ議論しながらものを造っていくというプロセスは、とても楽しく、「ものづくり」の原点に触れることができます。
「壁紙」で究極の贅沢はいかがでしょう!?
「ビニルクロス」と呼ぶと、なんとなく洋風なイメージをもちますが、「壁紙」と呼べばいかにも日本的な感じがします。
写真は、壁紙を傾斜天井に張っているところです。
近年、たくさんのメーカーが、星の数ほどの種類の壁紙を生産しています。
建て主さんのみならず、我々設計者さえもどれを選んでよいのか混乱してしまうほどです。
せっかく選んでも、2~3年もすると生産中止になってしまうものもあり、増築や改修時には別のもので代替しなければならないこともしばしばです。
時代が求める流行や法改正などの外的要因によって、デザイン・仕様がどんどん流れてしまっているような印象を持ちます。これが戦後に大普及した壁紙の歴史の現状です。
これに対して、日本古来の壁紙といえば「和紙」ではないでしょうか。
和紙は非常に手間ひまのかかる工法で製作されますので、今日ではとても高級品です。
その地方で作られる和紙に、その土地で取れる顔料や柿渋などの塗料で染めた壁紙を作ることができたならば、時代に流されることなく、世界唯一のものをつくれると思うのですが・・・
こんな究極の贅沢(?)はいかがでしょうか。
壁にもファンデーション!?
壁や天井に石膏ボードを張り終わると、仕上材を施工する前にパテ処理をします。
パテ処理とは、ボードとボードのジョイント部分や、ビス止めをして表面がデコボコしている部分を平滑にする作業です。
パテ処理をしないまま表面材(クロスや塗装など)を仕上げてしまうと、デコボコしている下地がそのまま表面に表れてしまいます。
まるでお化粧するときのファンデーションと同じですね。
壁にも丁寧にファンデーションをかけ、きめ細かな下地をつくりましょう。
「五感」を刺激する家
子どもたちにとって、毎日多くの時間を過ごす家。
それだけに家の中で過ごした経験が、子どもたちの成長に及ぼす影響は計り知れません。
「三つ子の魂百まで」といいますが、特に幼少期に身に付ける性格や記憶は、大人になっても影響を及ぼします。
ところで、私たちが経験する全ての情報は、私たちの「五感」を通して得られます。
五感とは、視覚・聴覚・臭覚・触覚・味覚の五つの感覚です。
さて、日ごろ私たちは、この五つの感覚をどのような割合で使っていると思いますか?
答えは以下のようになります。
「NECライティング あかりの科学」より
圧倒的に視覚を使っていることが分かります。聴覚と合わせれば、情報のほとんどは視覚・聴覚で得られてしまいます。
しかし、幼少期の記憶は、この二つだけでは残りにくいようです。
情報量としては少ない臭覚・触覚・味覚であっても、それらが加わることで記憶がしっかりと残りやすいといいます。
また幼少期の子どもは、その「五感」をフル回転させてすべてのことを吸収しようとします。これは感性や想像力、体力、知力など、子どもの心と体の成長に必要な栄養分を摂っているのです。
「五感」を刺激する家。それは子どもの未来を創るために、家造りの重要なテーマだと捉えています。
それを実現するために、柔軟に考え、具体的に提案し実践していきたいと考えています。