1月6日からNHKの大河ドラマ『篤姫』が始まった。1回目は薩摩藩を舞台に黒船の来航,藩の財政再建の苦悩,領民の苦しみなど暗雲立ち込める幕末が描かれ,このドラマはその幕末と新しい日本誕生の物語であるとの予告が告げられていた。その変革の時代を生きた人とって,未来への強い願望があっても,それが歴史の流れに沿っているかどうかはわからない。
しかし,歴史の潮目の変化は,まったく同じようなパターンとして警告を発するものだとドラマを見ながら思った。政府機能の低下,財政再建,増税,貧富差の拡大,浮浪者の増大,など幕末と同じようなことが現在現われている。ただ幕末は日本という鎖国していた国が,開国するという苦悩だったが,グローバル化した現代にあっては,日本のみならず全世界がその潮目にあっている。それは18世紀から始まった産業革命とアダム・スミスによってもたらされた「自由放任」という思想でなりたっている資本主義体制,市場主義という体制の終焉を物語っているよう思える。さしずめ幕末の「黒船」にあたるものが,自然環境の破壊といえないこともない。
エネルギーが現在の鉱産資源の石油から太陽光発電にかわり,バイオマス燃料に変われば,産業の中心が温帯地方から熱帯気候帯に変わることは当然である。科学が進歩し,情報が世界を飛び交いする現代では,もはや現在の国家という衣服が窮屈になってきているのではないかとも思う。
このような時代に生きる人にとっては,苦悩の日々である。しかし,この潮目の流れを自覚した人が,次の時代の主人公になる。ゼロからの発想が大切にされる時代じっくりと自分と向き合い挑戦的な生き方をしてほしいと期待している。
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