キャリアカウンセリングの一コマ

昨日、山形県北部の町で6人ほどキャリアカウンセリングをしてきました。
対象者は10代から30代半ばまでの若者です。

このあたりは典型的な農村地帯で三世代同居の方も半数を超えてました。

仙台や山形市内でキャリアカウンセリングをやっても、親の話まではでてくるけど、親戚や近所の人の話まではでてきません。
いい意味でも悪い意味でも人間関係が深いように感じました。

そんな中の一人に二十歳位の女性がいました。
地元の高校を卒業後、首都圏のスーパーに就職、野菜部門の担当で発注や伝票整理、品だしの仕事をしていたそうです。その後、1年ほどして辞めてUターンしてきて、去年一年は実家の農業を手伝いながらすごし、再就職をしようとして活動し始めたとのことです。

キャリアカウンセリングが進んでいって、ある質問をしたら、急に彼女の顔がゆがみ、両の目から涙がどーっ、と溢れてきました。

その質問とは・・・「去年、農業を手伝ってみて何か感じた?」という質問です。

涙の訳を聴いてみると、そこには親への愛情に満ち満ちた、それゆえにちょっと屈折した答えが返ってきました。

「あんなに頑張ってやってるのに、天気のせいで作物が取れなかったり・・」「せっかく収穫してうっても、農薬や肥料代など農協から一杯差っぴかれて・・」「頑張っても、報われない。割りに合わない仕事を選んだもんだ。馬鹿だなぁ、と思っている」とのこと。

私が「じゃぁ、お父さん、お母さん、自分達を不幸だと思ってんの?」と聞くと。

「そうじゃない。お父さんもお母さんもこの土地が好きだし、たまに大変だって愚痴は言うけど、お父さんは作ってるものは食べるは好きだし、お母さんも育てるのは大好きだっていってる。」また涙が、どーっ。

スーパーの仕事で、「腐ったトマトやデロデロになったネギが入ってくると、悲しかったー」て呟くようにいう彼女。

親への愛情が本当に深い、いい子だったなぁ。

でもね、一人ひとりの幸せって、みんな違うんだよ。
それと、長く仕事をやってみないと、仕事も好きになんないし。
君自身がいってたじゃない。「お母さんも最初から作物作るのが好きなわけじゃなかった。やってるうちにだんだん好きになった」って。
2006.09.09::[とびとび日記]