鈴鳴草子 〜鈴の宿 登府屋旅館〜
勝天32 『これぞ天下の上杉節 1番』
兼続 「殿、今日はお唄の稽古でございます。」
景勝 「何の唄じゃ?どじょっこ、ほいか?」
兼続 「違いまする。上杉節でございます。」
景勝 「それは、昔から知っておる。何を今さら。」
兼続 「今日は、一番でございます。」
・・・これぞ天下の上杉節 1番・・・
毘沙門天の旗じるし
われに勝利をたれたまえ
のろしは上がる春日山
謙信出陣 武てい式
兼続 「毘沙門天の旗じるし われに勝利をたれたまえ、ですが・・・。」
景勝 「上杉の旗印じゃ。決まっておろう。」
兼続 「念のため、他の旗の解説もいたしまする。」
景勝 「上杉の旗印じゃ。決まっておろう。」
兼続 「左様でございます。1番隊が持つのが『毘』の旗。上杉の守護神である毘沙門天の頭文字にございます。」
景勝 「先陣を勤める者は、毘と決まっておる。」
兼続 「では、2番隊は?」
景勝 「わしを試す気か。『八幡の御弓』。関東管領上杉家の重宝じゃ。」
兼続 「では、3番隊は?」
景勝 「お主もしつこいのぉ。朝廷から拝領した「紺地日の丸」の旗が、3番隊の持ち物じゃ。」
兼続 「では、毘とともに有名な『龍』の旗は?」
景勝 「懸かり乱れの龍。あの旗は、敵陣への総攻撃のときに使うのじゃ。むやみに出すものではない。」
兼続 「ちなみに、龍は、仏教において不動明王を表します。不動明王の持つ倶梨伽羅剣には龍が巻きついていて、この龍が仏敵を倒すと言われておりまする。ここでも神とつながるのでございます。」
景勝 「ほかにも、『刀八毘沙門』と書かれた旗がある。おぬしの前立てと同じく、『愛』と書かれた旗もあるのぉ。」
兼続 「左様でございます。話を本題に戻しまして・・・。のろしは上がる春日山、謙信出陣武てい式、でございます。さて、この武てい式とは?」
景勝 「謙信公が、合戦に出かける前に必ず行っていた儀式じゃ。」
兼続 「はい。謙信公は、自ら護摩行を行いまする。春日山城内の護摩堂にて五壇護摩を行い、炎で煩悩を焼き尽くすのです。
次に、不識庵という建物に入って座禅を組み、これから行う戦が本当に義に基づく正しい戦いかを自問するそうです。
そして、毘沙門堂にて決意を固め、戦勝を祈願し、神前の霊水を水筒に納めます。」
景勝 「そうじゃ。その一連の行事が、武てい式じゃ。」
兼続 「では、のろしは?」
景勝 「戦の前、城下では『お立ち飯』と呼ばれる大盤振舞いが行わる。その煙じゃ。」
兼続 「はい、山盛りに米が炊かれ、山海の珍味と酒が所狭しと並びまする。
普段は質素な食事をしている謙信公が、合戦に出かける前だけは『大いに酒を飲み、大いに食らうべし』と士気を高めるイベントです。
遠征のための陣中食も作られますので、かまどでは絶え間なく米が炊かれ、その煙がもうもうと立ち上り、のろしがあがる状態となるわけです。」
景勝 「大盤振る舞いをするあたり、まるで石原軍団じゃ。」
兼続 「いきなり石原軍団とは・・・。」
景勝 「そうであろう。石原軍団にもおるではないか、おたちめしが。」
兼続 「殿、それをいうなら、たちひろしでございます。ボケが過ぎますぞ。」
景勝 「与六、くるしゅうないぞ。くるすーない。クールスだけに。」
兼続 「これはしたり。ある年代にしかわからないボケですぞ。」
2009.02.06:
tofuya
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・・・これぞ天下の上杉節 1番・・・
毘沙門天の旗じるし
われに勝利をたれたまえ
のろしは上がる春日山
謙信出陣 武てい式
兼続 「毘沙門天の旗じるし われに勝利をたれたまえ、ですが・・・。」
景勝 「上杉の旗印じゃ。決まっておろう。」
兼続 「念のため、他の旗の解説もいたしまする。」
景勝 「上杉の旗印じゃ。決まっておろう。」
兼続 「左様でございます。1番隊が持つのが『毘』の旗。上杉の守護神である毘沙門天の頭文字にございます。」
景勝 「先陣を勤める者は、毘と決まっておる。」
兼続 「では、2番隊は?」
景勝 「わしを試す気か。『八幡の御弓』。関東管領上杉家の重宝じゃ。」
兼続 「では、3番隊は?」
景勝 「お主もしつこいのぉ。朝廷から拝領した「紺地日の丸」の旗が、3番隊の持ち物じゃ。」
兼続 「では、毘とともに有名な『龍』の旗は?」
景勝 「懸かり乱れの龍。あの旗は、敵陣への総攻撃のときに使うのじゃ。むやみに出すものではない。」
兼続 「ちなみに、龍は、仏教において不動明王を表します。不動明王の持つ倶梨伽羅剣には龍が巻きついていて、この龍が仏敵を倒すと言われておりまする。ここでも神とつながるのでございます。」
景勝 「ほかにも、『刀八毘沙門』と書かれた旗がある。おぬしの前立てと同じく、『愛』と書かれた旗もあるのぉ。」
兼続 「左様でございます。話を本題に戻しまして・・・。のろしは上がる春日山、謙信出陣武てい式、でございます。さて、この武てい式とは?」
景勝 「謙信公が、合戦に出かける前に必ず行っていた儀式じゃ。」
兼続 「はい。謙信公は、自ら護摩行を行いまする。春日山城内の護摩堂にて五壇護摩を行い、炎で煩悩を焼き尽くすのです。
次に、不識庵という建物に入って座禅を組み、これから行う戦が本当に義に基づく正しい戦いかを自問するそうです。
そして、毘沙門堂にて決意を固め、戦勝を祈願し、神前の霊水を水筒に納めます。」
景勝 「そうじゃ。その一連の行事が、武てい式じゃ。」
兼続 「では、のろしは?」
景勝 「戦の前、城下では『お立ち飯』と呼ばれる大盤振舞いが行わる。その煙じゃ。」
兼続 「はい、山盛りに米が炊かれ、山海の珍味と酒が所狭しと並びまする。
普段は質素な食事をしている謙信公が、合戦に出かける前だけは『大いに酒を飲み、大いに食らうべし』と士気を高めるイベントです。
遠征のための陣中食も作られますので、かまどでは絶え間なく米が炊かれ、その煙がもうもうと立ち上り、のろしがあがる状態となるわけです。」
景勝 「大盤振る舞いをするあたり、まるで石原軍団じゃ。」
兼続 「いきなり石原軍団とは・・・。」
景勝 「そうであろう。石原軍団にもおるではないか、おたちめしが。」
兼続 「殿、それをいうなら、たちひろしでございます。ボケが過ぎますぞ。」
景勝 「与六、くるしゅうないぞ。くるすーない。クールスだけに。」
兼続 「これはしたり。ある年代にしかわからないボケですぞ。」