獅子宿燻亭10

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  • キレの良いノミ跡の逸品

         相当技術的に高度な彫りのオーラを発する獅子頭を入手した。 その印象は白鷹町西高玉稲荷神社の夜獅子や川西町犬川龍蔵神社の高山正則作の獅子の 彫りと相通ずるものだ。牙の彫りに伴う頬の隆起、眉やタテガミ顎髭の巻毛の表現、歯や 舌、軸棒の形、内部の平滑さ等に技術を惜しみなく織り込んでいる。 軸棒を歯で噛み、後頭部の紐で頭部に装着した痕跡もみられ、伊勢大神楽系の神楽に用い られたと推測される。タテガミの生え際の三角の短毛や軸棒の端を巻毛の中心に合わせる など細部に渡って計算され彫り込まれている。またタテガミの上部端にカールした彫りは あえて左右非対称に彫られている。 大きさは高さ26cm幅25.5cm奥行き27cmと小振りな がら彫師は神社彫刻も手がけた相当な腕前だっただろう。宮城からの出品だったので西高 玉や犬川の獅子を手掛けた彫師の可能性もある。 作者や年号の記名が見当たらないので残念であるが、獅子彫の手本としても獅子宿のコレ クションの中でも逸品中の逸品となるだろう。
    2026.02.13
  • 長井市五十川薀安神社型の獅子制作

     まだまだ先の完成予定だが、五十川型の薀安神社獅子頭二作目の制作を進めている。 今回は三頭分の大きな木地を用意した。以前制作した隣の地区の成田八幡の二作目の 制作の際も三作制作させてもらい、一頭を神社に、二頭を個人にお渡しした経緯がある。 まさか、また成田五十川型の獅子を制作するとは思わなかった。 モデルの獅子は初代獅子頭の平吹市之丞の作 木地の乾燥が進んでいるので、寒い間に形にしないと大きな割れが発生してしまう ので気がきでない。一昨年の晩秋に柳の丸太を運び、昨年11月13日に丸太から木取 りした。24日に最初の獅子を荒彫りし、年明け13日に顎と耳を作り合わせた。 二作目頭部を2月8日に始め11日に顎と耳を制作している。一作目は毎日自宅に持ち 帰り、晩酌のお供に眺めながら形の狂いや違和感がないかチェックしている。 一昨日は重さを量ってみると13kgもあり昨日2kg減量し、持ち運びが少し楽になった。 前歯の左角が歪んできて隙間が目立ってきた。内部を彫り込むとまだまだ変形するだ ろう。大きな獅子なので全体的に厚みを10mm前後にして極力軽量化したいものだ。 二作目の獅子頭 二作目は昨日、顎と耳を制作したがまだ重くて運ぶ気にもならない。 大型の獅子頭を三頭連続して制作するには、体力や気力の勢いが必要だ。制作していると 行動パターンが半自動化して手の動きや判断が早くなっていく。この動きを忘れないうち に三作目も制作してしまおう。
    2026.02.11
  • 飯豊町坪沼熊野神社の獅子頭

     ご縁あって飯豊町黒沢坪沼熊野山神社の梅津弥兵衛の作の獅子頭をしばらくお借りすることになった。  熊野山神社拝殿内には長井市時庭出身の南画家菅原白龍直筆の親子熊の絵図が板壁に描かれている。 白龍は修験の家に生まれたので坪沼とは近く、法印を務めた縁もあっただろう。 絵師で宝印様であれば大胆に拝殿の壁に墨絵を残したと考えてもおかしく無い。この絵図については 資料や口伝はないが、類を見ない絵図なので貴重な文化遺産ではないだろうか?  熊野山神社の例祭(7月15日)では現在も獅子舞を行なっているが、人手不足で獅子舞の継続も難しく なっている様子である。どの地域も人口減は切実な社会問題だ。  神社所蔵の最古の獅子頭は梅津弥兵衛の作風(推測)で記名には「熊野山神社 文久元年(1861)六月 新調  昭和五十六年塗り直し」とだけ金字で記されている。  この獅子頭の特徴は頭部の高さが異常に高い点だ。計測すると41cmもある。幅は34cm、奥行き39cm と高さの寸方だけが吐出している。通常總宮神社型の獅子頭は高さは35cm前後で6cm高いとタテガミの 膨らみも加え獅子頭はL字型になり、目線は真正面を見据えている。鼻や口は普通で目から上に伸ばした様 な造形はどう言った意図で制作されたか?不思議でならない。以前、坪沼の竹田儀一氏所蔵の渡部 亨氏作の 獅子頭を拝見した際に、その特徴を模した作風だった。  総宮神社所蔵の獅子頭、梅津弥兵衛の作、明治18年(1885)は神社最古の獅子頭「寛文11年改」 に倣って同様のプロポーションで制作されている。梅津弥兵衛は昌利と養子入りした吉蔵が獅子頭を制 作しているので坪沼の獅子は果たしてどちらかなのか資料がないので疑問となる。おそらく年代から 昌利と考えるのが妥当なところだろう。梅津家に取材した際のご子孫のお話では昌利は病弱のため若く して没し、昌利生前に吉蔵が養子に迎えられ家業を継いだと聞いている。 その他、梅津弥兵衛昌利と吉藏は下黒沢高伝寺境内稲荷神社、長井市伊佐沢神社、森観音、河井の若宮 八幡、など市内外の神社に獅子頭を数多く優れた獅子頭を残している。  現在、弥兵衛の作の獅子頭は破損の為、引退している。以前、弥兵衛の獅子を修理した事もあり、割れ を繋ぐ「アリ継ぎ」を駆使しての修理跡を目撃している。差物大工だったという腕前を活かし精巧な修理 だったが、破損は再発していた。獅子頭の木地も硬く重い栃材を仕様していた様で、それが原因の可能性 もあるだろう。また坪沼の獅子も頭部の自重と衝撃で破損を誘引したとも考えられる。  弥兵衛獅子の後に制作された獅子は白鷹町浅立の小形三郎氏の獅子である。平成10年(1998)7月15日 に新調され、弥兵衛の作に倣い頭を高く制作されている。こちらも破損し大修理をさせて頂いている。 塗面を剥がすとポプラ材と思われるものを使用していた為か、各所無数に大小の割れが発生していた。 確か鼻から目、歯から内部、後頭部木口面から耳まで破断し内部もFRPにて補強し再生した。ポプラ材 は短期間で成長し大いに水気を含み火災除けに植栽される樹木で、年輪はほとんど見られない。太くな るが獅子頭には不適材である。当時小形氏は浅立の諏訪神社に奉納する大獅子一対を制作していたので その余材を使用したのとも考えられる。 松村氏制作獅子頭木地 松村氏二頭の奉納 写真は松村氏から提供  令和4年(2024)白鷹町在住の松村智和氏が自作の獅子頭を制作され、神社三頭目の獅子頭をなんと 2頭同時に奉納された。松村氏は坪沼出身という事もあり獅子舞にも参加され、そのご縁での熱い故郷の 想いを込めての奉納となった。その他、松村氏はタテガミの植毛の奉納など坪沼の獅子舞に貢献されて いる。 荒彫り制作  それらの坪沼の熊野山神社の獅子頭の歴史に、また新しい獅子頭が加わろうとしている。 まだ詳細は公表できないが、梅津弥兵衛の作の獅子頭の模刻制作が始まった。 獅子頭の工期は少なくても二年、養生して更に一年、三年先の完成となり道具類も老朽化して整備の必 要があるだろう。この特異な表情を果たして写しとることが出来るだろうか・・・。
    2026.01.30
  • 昨年秋の木地の荒彫りの数々

     2024年晩秋に調達した柳の丸太を、2025年の晩秋に木取りを行った。 なかなか心や手が向かなかったので、木材の最適なコンディションを逃してしまった感が否めない。 そんな焦りを払拭しようと、晦日の獅子頭の納品から正月休みにかけ狂った様に制作した。  重量級の成田五十川型の獅子木地3頭、蛇頭型2頭、龍頭2、それぞれの顎の部材を木取りしたものを用意し 荒彫りを行った。一つの獅子に3日間制作し、次々と取り替えては乾燥させ彫り進めていく。自分の頭の中の 中の立体を司る部位がフル回転し覚醒する様で楽しさも感じる。ふと獅子を見て、気づかなかった歪みを発見 し、苦笑したり、新しい形の美しさを見つけたりと獅子彫は面白いものだ。  川西町の龍蔵神社さんから拝借している赤獅子一対は、昨年10月上山で獅子頭展に展示させて頂いた。 2頭とも高山正則の作で慶應元年と明治29年に奉納されている。置賜の獅子頭の中でも逸品中の逸品の獅子で 明治29年の作は既に模刻を制作し、今回慶應元年の模刻に挑戦している。先日龍蔵神社の方々と打ち合わせする 機会があり、何時迄もお借りする事も失礼と思いお返ししてしまった。その前になんとか模刻の獅子を完成に近 づけたいと必死に制作させて頂いたのだ。手本の獅子は神社の神殿や拝殿の彫刻に秀でた彫師で見れば見るほど 素晴らしい格上の彫りを残していた。  成田五十川型の獅子はとにかく巨大で重い木塊を、なんとか移動し渾身の力を振り絞り、台に乗せるまでが一 仕事。その木塊から外側のフォルムを形どり、内部を削り軽くしてから本格的な彫刻のスタートとなる。それを 3回繰り返しての制作を予定している。二作目の成田八幡の制作も3頭の制作だったが、制作の困難さはあった だろうが記憶からは蘇ってこないので苦笑してしまう。喉元過ぎれば・・なんとやらである。 龍型の獅子頭は、神社の獅子の80パーセントの大きさに縮小し、その表情の目鼻等を同じにし、眉を変え髭を加 えて龍のイメージに彫るつもりである。これは龍蔵神社の慶應元年の獅子に影響されている。神社彫刻にある龍 を彫りたかったのだが、その提案は却下されてしまった。 今度は一昨日辺りから彫り温めていた元治元年の2頭を仕上げ始めた。2頭を塗りに出す準備である。 獅子の細部の形を決め、彫りを更に修正し舌を4mmボルトで固定し、3mmほどにFRPで補強するための溝を彫る。 これはFRPの3mmの厚みと塗面とを段差を無くすものである。2作を仕上げると歯の厚みとか頬の高さ、鼻筋の長 さとか微妙な個性が現れて比べてみると面白い。重さも3.6kgと3.8kgとかなり軽量で総仕上がりは5kg弱になりそ うだ。
    2026.01.29
  • 黒獅子制作 2025年12月

     光陰矢の如し・・いつの間にか年が明け、一月も終わりかけている。 今月は寒波が週替わりで襲来している。  年末に個人様の黒獅子1頭を完成し納品してから怒涛の如く、昨年11月に木取りしていた獅子頭木地 を複数彫り進めていた。まだ雪の降らない昨年中に自宅近くの空家に木地を移動して置いたのは正解 だった。 今回の宮型の獅子頭は一昨年に制作した清水町産の同じ柳の木地4頭で、一つは神社二作目の振り獅子 となる予定で、現在漆工房で間も無く完成である。  個人用の獅子頭は昨年12月29日になんとか正月前に納品できたが、あと2頭はカシュー塗りの下地の段 階で研ぎを待っている。 厳冬期は塗りの環境には適さないので、少し暖かくなってから継続しようと考 えている。獅子頭の制作の適期は冬であり、仕込んだ木地も乾燥が遅く割れも避けられ、集中して制作 出来る様だ。 納品した獅子頭のタテガミには馬毛を使用した。しなやかで先細ながら優雅な曲線を描いて獅子の優 雅さを引き立てている。ボリュームの出るヤクの毛も良いが、獅子の表情が一味違う馬毛独特のマジッ クだ。
    2026.01.29
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