米沢の同級生の知人の近所に、仏師の方が居られると聞いて工房へお邪魔した。
数年前から、お名前と住所は調べていたのだが、念じているとヒョッとその機会が巡ってくる。
米沢市内のラーメンの店「桂町サッポロ」の直ぐ近くで掘立川沿に面し初めて訪れる風情である。
看板も無く一般的な民家なので、仏師の工房と気付くのは玄関を開けてからだろう。玄関には実物
大の犬の木彫や、4分の一縮尺の仁王像模型像が有り仏師の工房を思わせる。
整然とした工房
テレビやSNSではお見かけする仏師の方とお会いするのは初めてである。
初対面の佐藤氏は一見、僧侶。穏やかな口調で淡々と制作についてお話し戴いた。
数年前に高さ3mの仁王像一対の大仕事が入って仙台の寺に納めたという。玄関の仁王像縮尺像はその
為の模型だった。現在も整然とした工房の中央に製作中の檜の塊が座している。
気になる道具である鉋(かんな)、を拝見した。
使い勝手を自分で調整し、反鉋、四方反、などをさらに改造し用途に合わせ改良した豆鉋を見せてくれた。
刃に指を触れ無くても、近づいただけでスパッと切れてしまう殺気を感じる。
刃物の研ぎや、台座や柄の調整も仏師ならではの世界なのだろう。
制作中の仏像の側に、1kgの小さな筋トレ用の鉄アレーが置かれていた。
ノミの佐藤仏師は手首の調子が悪く、その鉄アレーを金槌替りに使用していた。
その思いもよらぬ発想の転換に感心する。
佐藤仏師は東北大の大学院時代、仏教に傾倒し仏師の修行に道を歩み出したのだという。
仏師の道は厳しく仏師として食べれるようになったのは、ここ20年だという。
なんの仕事でも同じ、一生涯をかけた継続が前提の上に技術が積み重なるのだ。
自問自答しながら帰路についた。
もう午後の日差しは夏、風はまだ乾いている。
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