縁というものは不思議なものである。
米沢市竹井に嫁いだ次女の隣の家黒田家に獅子頭が所蔵されている事が分かり、お話を聞きにお邪魔し
た。作者は六郷町の桐原 竹田秋雄氏その当主の兄だった。腕の良い大工だった竹田秋雄氏は、師匠の川
西町吉田の名大工 島貫弘志氏は獅子頭や神輿の制作も手掛け、秋雄氏は師匠に習って獅子頭を20頭ほど
制作したという。竹井の弟の作業小屋で数年、大工仕事の合間に獅子頭を制作していた。その作業小屋
の隣で仕事をしていたと次女の嫁ぎ先の祖父が、当時の事を思い出しながら語ってくれた。黒田家は竹
井の名家 黒田新兵衛に伝わる古い獅子頭を探しに訪れ新兵衛家を訪ねた際、親切に教えてくれた方で覚
えている。その後、縁あって次女がその隣に嫁いだ訳である。
黒田家の竹田秋雄氏作の獅子頭
以前、米沢市六郷町西江俣地区の稲荷神社の獅子頭調査をしたが、所蔵の二頭の獅子頭の作者は不明だ
った。一頭は塗りの無い木地のもの、赤い神楽系の獅子頭とがあり、黒田家で拝見した獅子頭と比較し
酷似して正に秋雄氏の作という事が判明した。しかも秋雄氏の家と西江俣の稲荷神社はすぐ隣である。
西江俣 稲荷神社の獅子頭
「六郷の民俗」神奈川大学 佐野賢治 2016年出版に、獅子頭について「15年前に35万円で購入した」と
記されている事から平成13年頃に購入されたと思われる。秋雄氏は昭和15年生まれで平成15年頃に亡く
なっている。大工の師匠島貫弘志氏の弟子は他に何人かいて、弟子の一人竹田康雄氏も獅子頭を彫ってい
ると思われる。川西町吉田の妻頭神社の一対の獅子は、師匠の島貫氏と弟子の竹田康雄氏の作と言われて
いる。(妻頭神社の獅子頭については「川西町の獅子頭」渡邊敏和氏著から引用)
黒田家の小振りの獅子頭は、欅材の木目を見せるため艶消しクリアーを塗った獅子頭だった。脳天には宝
珠を表したものを付け、周りに円を描いて白馬毛のタテガミを植えつけている。西江俣の稲荷の獅子も黒
田家の獅子も目の下から軸棒のコブまで曲線を彫り込んでいる。高畠町金原新田の幕末期に獅子頭を制作
している原田弥市の獅子と似通っている。何かこちらにも縁が、繋がっているのかも知れない。
原田弥市の作と思われる獅子(獅子宿コレクション)
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2023.10.05 (獅子宿店主)コメントありがとうございます。
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2023.09.22 (タイム風呂敷)神主様の件
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2020.11.10 (鬼喜來のさっと)追記
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2020.11.10 (鬼喜來のさっと)お返事有難うございます。
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2020.11.05 (獅子宿店主 渋谷)鬼喜來のさっと 様
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