中津川に入ると日陰に雪が残っている程度だ。
途中、高峰の蕎麦屋さんに立ち寄り、近くの稲荷神社に獅子頭があるか確認
する。飯豊町はあちこちに、小さなお堂や石碑が有り信仰深い地域だった。
その後、神社を訪れてみるが獅子頭の気配は無かった。先日訪れた時は猿の
集団を目撃し、尻尾を巻いて逃げてきたのだ。
高峰から白川ダムを見下ろしながら、中津川に近くと日陰に雪が少し残って
いる程度だった。右折すると中津川方面に至るが直進し、間も無く右折し広
河原に向かう。快晴だが2時過ぎると、もう影が長くなり日没まで加速度が
増してくるようだ。道幅の広い道路先に通行止めのバリケードが見えてくる。
左に曲がりしばらく行くと広河原に一軒だけ残った高橋政義氏宅が見えてきた。
![](http://samidare.jp/shishi7/box/IMG_5757-2.jpg)
![](http://samidare.jp/shishi7/box/IMG_5761-2.jpg)
一面うっすら雪が積もり、一足先に冬の様相に変わっていた。高橋家の茅葺の
屋根から青白い煙がユラユラ棚引いて人の気配を感じる。手前に小屋があり薪
が積み上げられて、気忙しい冬仕度の真っ最中なのだろう。
軽トラを停め、薪を貯蔵している部屋の戸が開いていたので声を掛けてみた。
こんな静かな山間で、車の音で訪問者が来た事は、もう住人は察しているだろ
う。
薪の保管部屋に赤く太い犬用のロープがぶら下がっている。熊除けの犬が飛び
出してくるのではと頭を過るが当主が出て来てくれた。先日獅子頭についての
連絡をしていたので憶えてくれて居て居間に寄せてもらう事が出来た。
戸に猫用の入り口穴も有り猫の気配もあるが姿が無い。視線を天井に向けると
居間の梁にカボチャが五個荒縄で縛って吊られている。小型哺乳類げっ歯目の
食害防止だろうか?
お話を聞いて居て重大な事が発覚した。小屋の獅子彫り師 渡部 亨氏はこの
高橋家から養子に行ったのだという。つまり現在の当主は亨氏の甥にあたる、
という事だ。そして肝心の獅子頭拝見のお願いをするのだが、今回は見せられ
ないという展開となってしまった。無理にお願いする雰囲気でも無いので、出
直す事にした。確かに、初対面の何処ぞの馬の骨に家宝の獅子頭を見せる訳に
は行かないのが筋だろう。
帰りは養蚕神社に参拝し、次回は獅子頭拝見出来る様に祈った事は言うまでも
無い。
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