民俗学研究家の渡部敏和氏の資料から米沢の獅子頭を調査を始めた
渡部氏と待ち合わせして米沢市の中央のとあるお宅にお邪魔した
先代の当主が集めた骨董コレクションの一つである
成島八幡宮の獅子頭が訳有って売りに出たものを他所に拡散してしまうのを憂いで
求めたらしい・・・
渡部氏の資料の写真の印象では、頭に乗せる置賜風の獅子踊りの獅子頭の表情を感じさせるが
実際拝見してみると高さ38cm幅27cm奥行き27cmと中型で重い
注目すべき特徴として
下顎が頭の部分に乗っている形態で、その連結は紐を二つの穴に通す原始的な方法である
紐では耐久性が無く、口の開閉は頻繁ではなかったようだ
がっちりした顎は安定性があり拝殿に飾って守護を目的にされた獅子頭と推測
舌が面白い
器状に造られ、あたかもお神酒や供物を納めるような形だ
その表情の印象からネットで調べてみると似た獅子頭が浮かんで来た
鼻穴の間の溝に金箔があり、目が吊り上がっている特徴から岩手県の早池峰権現舞の
の獅子頭と類似しているような気がする
さらに舐めるように観察すると
一対の耳は軸がそれぞれ別な時期に修理された痕がある
耳の裏に塗られた朱も適当に塗られていたので、この耳の形も疑いたくなる
眉毛の巻き毛が特徴的で毛穴の痕が鼻の下と共にある
金沢の獅子頭で見たような巻き毛だ
顎を裏返してみた
朱の漆で殴り描きしたような、違和感を感じさせるウネウネ・・・蛇腹????
毛が付いている表情を想像してみると異様な感じがするが見てみたい
模刻してみようか?
鼻の輪郭が三重に重なったように見えるのも独特である
威嚇するような鼻のシワを現しているのだろうが、整頓して面白い形にまとめている
顎を裏返してみた
朱の漆で殴り描きしたような、違和感を感じさせるウネウネ・・・ひょっとして蛇腹????
最後に獅子頭の裏に達筆な記名がある
「成島八幡」と書かれているそうだ
大抵記名の定石として年号とや作者名、施行関係者等が書かれている例が多い
神社や寺の名は、誰に見せるものでもないと書かれない事もある
成島八幡宮の古い資料には獅子頭の所蔵は五頭とあり、他の獅子頭との区別するため
年号を記するものと考えるものだが・・はて?
塗り替えはしていない様だし・・・と疑問は残る
さて渡部氏のまとめた資料には60ヶ所100頭近くの獅子頭があることが分かる
梓山白山神社には明治期の長井の彫り師梅津弥兵衛作の二頭も確認されているし
興味深い獅子頭満載である
今後これらの獅子頭をまとめ、後世に残す形にしてみたいと考えている・・・
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