昨日、お願いして飯豊町手ノ子八幡神社の獅子頭を拝見した。
現在はご当地小白川の獅子彫り師故五十嵐氏作の獅子頭を使用しているのだが、
古い時代の獅子頭があると聞き保管していらっしゃる方のお宅にお邪魔した。
通された茶の間には五十嵐氏作の他、テーブルに二頭が風呂敷を被り安置されていた。
一つは長井市の総宮系の獅子頭・・・五十嵐氏がカシューで塗りを加えてしまっていて
記名も塗りつぶされたのか無いが、彫りの特徴から明治期の小関久蔵作と思われる。
しっかりした彫りで逸品なのだが、残念な修復がなされてしまった。
さて目的の古い獅子頭である。
記名には安永九年とあり1780年、天明の前、明和の後であるから今から235年前の作となる。
作者は不明で昭和に塗り替えを行っているのだが、破損の為修理されたが後に五十嵐氏の獅子頭を
新調している。
萩生の諏訪神社と同系のスタイルだが他に類を見ない独特な形だ
眉が特に独特で額の百豪も眉にくっついている
脳天には隆起した丘があり、それで頭の形を調整しているように感じる
長井の成田や五十川の獅子と同じ、耳も柳葉型だ
独創的な彫りは明治期の彫刻家、勧進代の長谷部吉四郎を彷彿させるのだが
時代が古い・・・平吹市之丞の可能性も考えられる。
耳の下にある軸棒は三本あり、表に出ている棒の末端はまん丸に作られていて珍しい
飯豊の獅子頭に良くあるのだが、顎の底の持ち手の紐の部分に溝があるのだが
丸くドーム型に作られ獅子頭を回す操作を容易にしていて、
彫り師はこちらの獅子舞を熟知しているかのようである。
悔やまれるのは三本の軸棒の微妙な位置だ
握ってみないと分からないが、成田の握り方だったりしたら驚きだ!
獅子頭の裏は軽量化の為比較的に薄く彫り込まれて、やはり操作性を考慮したプロの作である。
この獅子頭を見て200年前の祭りの獅子舞いはどんなに賑やかで熱狂したか想像出来るのでは
ないだろうか
獅子頭を拝見した後、手ノ子八幡神社に訪れてみた
祭り前の静かな佇まいだ
長井の川原沢の巨四王神社と似た長い階段
ここを獅子がゆっくり祓い清めて練り歩く・・・
今年は9月19日前夜祭20日が例大祭だそうである。
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